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3話
しおりを挟む「でも一歩ずつ進めたいです」
「あ、そうですよね。じゃあ、一つずつ。まずは交流させてください」
「もちろん、喜んで!」
「うわぁ……言ってみて良かったぁ……本当に嬉しいですありがとうございます……!!」
こうしてレッガートと結婚目指して動き出した私は、元々の趣味だった歌も取り戻すことができ、縛りから逃れることができた。
で、やがて彼と結婚。
また、歌手としても成功し、一気に有名人になった。
有名になった頃、ローレンスが私の前へ現れて「出世したようだな、なら話は別だ。俺とやり直さないか? 地位と金があるなら家事だけしろとは言わないから」と言ってきたけれど、私は既に結婚しているので断った。
「結婚している、だと!? もう!? あり得ん、軽すぎる!!」
「お帰りください」
「嘘をつくな! そんなすぐ次が見つかるはずがない!」
「嘘ではないですよ。夫を呼びましょうか?」
「っ……ま、まぁいい。もういい。帰る。お前にはがっかりだ!!」
どうぞ、何とでも仰っていてください。
これがローレンスとの最後の対面となった。
というのも、この翌日、ローレンスの家に泥棒が入ったのだ。
その話はニュースになっていて。
昼過ぎには既に皆が知っているような話になっていた。
で、彼は、泥棒と出くわしてしまって殺められてしまったそうだ。
不運だったな、とは思う。
そんなことになるなんて。
けれども同情はしない、可哀想にとも思わないし思いたくない。
「ニュース、びっくりだったね。前の婚約者さんが亡くなるなんて」
「ええ……」
「可哀想って思う?」
「まさか、それはないわ」
「はっきり言うなぁ」
「ええ。だって彼のことは好きじゃないの」
「そっか。でもま、そうなっても仕方ないよね。酷い人だし」
「そうよ! もう二度と会いたくないわ」
私はレッガートと共に生きてゆく。
◆終わり◆
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