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後編

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「念のため言っておくけれど、私、幼馴染みの方と会ったこともほとんどないに等しいわよ」
「水面下で虐めるとはより最悪だ」
「だ、か、ら、そんなことしていないのよ」
「まぁいい。嘘つきには何を言っても無駄だろう。俺は君との婚約は破棄するつもりなんだ」

 婚約破棄して損をするのはアダムスの方だというのに。

「婚約は破棄させてもらう」
「損するのはそちらよ?」
「何だそれは。脅しか。やはり悪質だな」

 真実を念のため伝えておいただけではないか。それのどこが脅しなのか。婚約破棄するならこんな風に罰を与える、と言ったわけでもないのに。

「もう結構よ。別れましょう、私たち」
「それがいいな」

 こうして私たちは婚約破棄となった。

 その後、アダムスとその親は、嘘を信じて婚約者にいちゃもんをつけた男として地域で有名になった。というのも、幼馴染みの女が嘘つきであることは有名だったのだ。もっとも、世のことに疎いアダムスはそのことを知らなかったようだが。

 婚約破棄の話によって評判を地に落としたアダムスは、以降幼馴染み以外誰からも相手されず、幼馴染みに金をむしられながら虚しく残念な日々を生きたそうだ。


◆終わり◆
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