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13.ピクニック
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気が付けばこちらへ来てから、もう一週間も経っていた。
全然勉強が捗らず最近引きこもり気味な俺を気遣ってか、少し外の世界も見てみようと、今日は珍しく遠出する予定になっている。
なので、気合を入れて作りましたよ!お弁当!
いや~、ちょっと張り切って作り過ぎてしまったもしれない。でもたくさん食べる人がいるから大丈夫。
作ってる時も近くで手元をあまりにも凝視されるから、作業がやりづらかったよ。それだけお弁当を楽しみにしてくれてるってことだし、作りがいもあるってもんだけどね。
見た目はどうあれ、味は大丈夫だと思う。料理はわりと好きで、レシピサイトを見ながら簡単なものならよく作っていたんだ。その経験がこんなところで役に立つとは。
ひっくり返さなくてもいい卵焼きレシピとか考えてくれた人には感謝してます。どうもありがとう。
街の外と言っても、今回はもちろん危ない森にピクニックへ行くわけじゃない。なんでも、数事態は少ないけれど、獣や獣より恐ろしい魔物の現れない安全地帯があるそうだ。
魔物…いるらしいですよ、この世界。さすが異世界。
獣と魔物の違いは、魔力を持っているかどうからしい。
でも魔物はそこまで頻繁に姿を現さないと聞いて、ただの獣に食われそうになった非力な身としては、心底ホッとしたもんだ。
さて、今回のピクニックは乗り物に乗って向かうということで、やって来ました。乗合馬車乗り場です。
馬車と言っても、牽引するのは当然ながら馬ではなく、ピューマのようなどこか猫科の顔立ちをしたやたらとデカい獣だったけど。
ご機嫌そうにゴロゴロ喉を鳴らし、甘えた仕草で行者さんに撫でられている姿が可愛くてしかたない。いいなー、俺もデカいお猫さまを撫でてみたいなー。
「あれはな、見た目だけは可愛いが、魔物よりの生き物で少々気性が荒いんだ。無闇に近付いちゃダメだぞ?」
「う、分かりました…」
あまりにも見つめ過ぎてしまったのか、アレクさんにクスリと笑われて、なぜか俺がかわりに撫でられてしまいました。最近やたら人の頭を撫でるんですよね、アレクさん。
「そろそろ出発の時間みたいだな」
「そう言えば、これから向かう所はどんな所なんですか?」
「目的地はヴェリテという湖だ。折角だから今回は途中で馬車を降りて、少し散策しながら向かおうと思う」
「湖ですか。俺向こうでも有名な湖があったんですけど、結局一度も行ったことなかったんですよ。楽しみだなぁ~」
「まだ泳ぐのには時期が早いが、かなりの規模だからな。十分見応えはあると思うぞ」
「へー、早く見てみたいです!」
はしゃぐ俺を馬車へと促しながら、アレクさんも一緒に乗り込む。座席はほどよく客で埋まっており、家族連れや若い戦士のような装備を纏った男性もチラホラ乗っていた。
しばらくすると馬車が揺れて動き出す。
スプリングが効いた自動車に乗り慣れている身としては、少々尻がキツイけど、我慢できないほどじゃない。向かい側に座っている子供は、母親の膝に抱き抱えられている。やっぱりちょっと痛いよね。分かります。
尻へのダメージを分散させるべくもぞもぞしていたら、隣に座っていたアレクさんに気付かれたのか、突然ヒョイっと抱き寄せられて膝の上に抱え上げられてしまった。
「もう、アレクさん離してくださいよ!俺大丈夫ですから!」
「この後少し歩かなきゃ行けないんだ。黙って大人しくしてなさい」
「で、でも……」
「あー!お兄ちゃんもボクとおんなじだ~!」
「こら!人様を指差しちゃダメよ!」
ネザーランドドワーフのような耳をした3歳ぐらいの男の子が、アレクさんに抱き抱えられている俺のことを指差してニコニコと笑いかけてきた。男の子を抱えていた母親は「ジャマをしてしまい、すみません」と謝ってくる。
……あの、なにか勘違いしてませんか?
恋人同士のイチャイチャとかではないですからね!
俺の尻とハートに、地味にダメージを与えながら馬車は走る。
男の子の好奇心剥き出しなキラキラした目に見つめられるのに耐えられなくて、アレクさんの毛量豊かな胸元に顔を埋めていたらさらに誤解が加速したようだけど、もう知ったこっちゃない。
なんだか同乗している人達から、微笑ましいものでも見るような目で見られている気がするが、無視だ、無視。
少々やけになった俺はアレクさんの獣臭を嗅ぎ心を落ち着けようとしていた。うん、今日もいい香り。
久しぶりに嗅ぐその匂いに興奮して、スーハースーハーと息が少々荒くなり過ぎたのかもしれない。「おやおや、若いっていいわね」「こんな場所でイチャつきやがって…!」「ほっほっほ」などと騒つく周りの反応がよく分かっていなかった。
「お兄ちゃんたち、ラブラブだねー」
「……!?」
男の子の大きな声でやっと周りの目に気が付いたけど、もう遅かった。やめて、恥ずか死ぬ。
短い間だったとはいえ、なかなかに心労が溜まってしまったようで、馬車を降りた後の足取りは重かった。
人生楽勝ですって感じのパリピな連中が、人前で堂々とイチャついていたのを向こうでもよく目にしていたのだけど、こんなに精神をゴリゴリ削られることだったなんて思いもしなかった。
奴等ってメンタルチタン合金とかで出来てるんじゃねーの。俺の偏見ですかね。
アレクさんと整備された道を二人で歩きながら景色を眺める。はじめに出会った森とは違い、どこか穏やかな風景が目に優しくて、時たま遭遇する野生の動物も可愛らしい種類がほとんどで、いつの間にか先程の精神的な疲れが薄れていった。
俺たちのように徒歩で湖へと向かう人達も多いらしく、皆同じ方向へ進んでいる。道中は危険なことも起きず、人目を気にすることなく終始和やかな散策をゆっくりと楽しめた。
しばらく歩くと森が途切れ、見渡す限り視界一杯に広がる湖が現れた。そのバカでかいスケールにテンションが上がる。
「わぁ~!!アレクさん、あれじゃないですか?」
「見えて来たな」
「はぁ、すごい…キレーな湖。あのポツポツ浮かんでる島って、もしかして行けたりするんでしょうか?」
「ああ、あの島か。たしか船で渡れるはずだぞ」
「行きたいです!」
「じゃあ、まずはあそこの建物に行ってみよう」
アレクさんが指差す先にはカフェや屋台が立ち並び、ちょっとした観光施設が出来上がっていた。中でも一番立派な建物には船のマークが掲げられている。あそこが目的の場所らしい。
「まずはあそこから船に乗り、手前の浮き島に渡ろう」
「湖なのに船なんですか。なんか不思議な感じですね。でもこの湖の大きさならアリなのかな」
「ボートも貸し出しているが、人力だと島に渡るには半日以上かかるそうだから今日は船にしよう」
「島に渡るだけで半日って、どんだけデカいんですか…」
湖の桟橋へと伸びる列に並び順番を待つ間、周りの観光客を観察してみると、ちらほらと他の客に混じって転移者の姿を見ることができた。人種も様々で、中にはエヴァンさんのところのような、同性同士のカップルも見受けられる。
転移者とその伴侶、小さな子供を連れた家族の姿を眺めていると、いい知れない違和感を感じる俺は、まだまだこの世界には馴染めていないんだろうな。
幸せそうな家族を見ても、俺の心は一行に晴れなかった。
そんな感傷に浸っている間に着々と列は進み、次は俺たちの番となっていた。整理券などは必要ないのか、係の者に小銭を渡し、桟橋に並ぶ船の船頭に呼ばれるのを待つ。
この人達は今から渡る島の住人らしく、俺たちを乗せてくれたおじさんが船の舵を取りながらこれから向かう島の紹介をしてくれる。
「あんたら、この島に来るのは初めてかい?」
「はい、まだ俺はこちらに来たばかりなんです」
「そうかい、そうかい。そりゃー大変だったねぇ。ここにはあんたみたいな転移者がたくさんやって来るが、少しでも気晴らしになるといいねぇ~」
「ありがとう、おじさん」
「それにねぇ、ここには訪れた者が幸福になるっていう、有名なパワースポットがあるんだよ。二人でぜひとも行ってみな~」
その場所をパワースポットと呼び出したのは、ここに訪れた転移者だったとか。他にもここで遊べるレジャーやよく釣れる釣りスポットなどを教えてくれたおじさんと別れて、俺たちは無事に一つ目の浮き島へ上陸した。
パワースポットか。一体なんのご利益があるんですかね。
安産祈願とかだったら、遠慮したいです。
全然勉強が捗らず最近引きこもり気味な俺を気遣ってか、少し外の世界も見てみようと、今日は珍しく遠出する予定になっている。
なので、気合を入れて作りましたよ!お弁当!
いや~、ちょっと張り切って作り過ぎてしまったもしれない。でもたくさん食べる人がいるから大丈夫。
作ってる時も近くで手元をあまりにも凝視されるから、作業がやりづらかったよ。それだけお弁当を楽しみにしてくれてるってことだし、作りがいもあるってもんだけどね。
見た目はどうあれ、味は大丈夫だと思う。料理はわりと好きで、レシピサイトを見ながら簡単なものならよく作っていたんだ。その経験がこんなところで役に立つとは。
ひっくり返さなくてもいい卵焼きレシピとか考えてくれた人には感謝してます。どうもありがとう。
街の外と言っても、今回はもちろん危ない森にピクニックへ行くわけじゃない。なんでも、数事態は少ないけれど、獣や獣より恐ろしい魔物の現れない安全地帯があるそうだ。
魔物…いるらしいですよ、この世界。さすが異世界。
獣と魔物の違いは、魔力を持っているかどうからしい。
でも魔物はそこまで頻繁に姿を現さないと聞いて、ただの獣に食われそうになった非力な身としては、心底ホッとしたもんだ。
さて、今回のピクニックは乗り物に乗って向かうということで、やって来ました。乗合馬車乗り場です。
馬車と言っても、牽引するのは当然ながら馬ではなく、ピューマのようなどこか猫科の顔立ちをしたやたらとデカい獣だったけど。
ご機嫌そうにゴロゴロ喉を鳴らし、甘えた仕草で行者さんに撫でられている姿が可愛くてしかたない。いいなー、俺もデカいお猫さまを撫でてみたいなー。
「あれはな、見た目だけは可愛いが、魔物よりの生き物で少々気性が荒いんだ。無闇に近付いちゃダメだぞ?」
「う、分かりました…」
あまりにも見つめ過ぎてしまったのか、アレクさんにクスリと笑われて、なぜか俺がかわりに撫でられてしまいました。最近やたら人の頭を撫でるんですよね、アレクさん。
「そろそろ出発の時間みたいだな」
「そう言えば、これから向かう所はどんな所なんですか?」
「目的地はヴェリテという湖だ。折角だから今回は途中で馬車を降りて、少し散策しながら向かおうと思う」
「湖ですか。俺向こうでも有名な湖があったんですけど、結局一度も行ったことなかったんですよ。楽しみだなぁ~」
「まだ泳ぐのには時期が早いが、かなりの規模だからな。十分見応えはあると思うぞ」
「へー、早く見てみたいです!」
はしゃぐ俺を馬車へと促しながら、アレクさんも一緒に乗り込む。座席はほどよく客で埋まっており、家族連れや若い戦士のような装備を纏った男性もチラホラ乗っていた。
しばらくすると馬車が揺れて動き出す。
スプリングが効いた自動車に乗り慣れている身としては、少々尻がキツイけど、我慢できないほどじゃない。向かい側に座っている子供は、母親の膝に抱き抱えられている。やっぱりちょっと痛いよね。分かります。
尻へのダメージを分散させるべくもぞもぞしていたら、隣に座っていたアレクさんに気付かれたのか、突然ヒョイっと抱き寄せられて膝の上に抱え上げられてしまった。
「もう、アレクさん離してくださいよ!俺大丈夫ですから!」
「この後少し歩かなきゃ行けないんだ。黙って大人しくしてなさい」
「で、でも……」
「あー!お兄ちゃんもボクとおんなじだ~!」
「こら!人様を指差しちゃダメよ!」
ネザーランドドワーフのような耳をした3歳ぐらいの男の子が、アレクさんに抱き抱えられている俺のことを指差してニコニコと笑いかけてきた。男の子を抱えていた母親は「ジャマをしてしまい、すみません」と謝ってくる。
……あの、なにか勘違いしてませんか?
恋人同士のイチャイチャとかではないですからね!
俺の尻とハートに、地味にダメージを与えながら馬車は走る。
男の子の好奇心剥き出しなキラキラした目に見つめられるのに耐えられなくて、アレクさんの毛量豊かな胸元に顔を埋めていたらさらに誤解が加速したようだけど、もう知ったこっちゃない。
なんだか同乗している人達から、微笑ましいものでも見るような目で見られている気がするが、無視だ、無視。
少々やけになった俺はアレクさんの獣臭を嗅ぎ心を落ち着けようとしていた。うん、今日もいい香り。
久しぶりに嗅ぐその匂いに興奮して、スーハースーハーと息が少々荒くなり過ぎたのかもしれない。「おやおや、若いっていいわね」「こんな場所でイチャつきやがって…!」「ほっほっほ」などと騒つく周りの反応がよく分かっていなかった。
「お兄ちゃんたち、ラブラブだねー」
「……!?」
男の子の大きな声でやっと周りの目に気が付いたけど、もう遅かった。やめて、恥ずか死ぬ。
短い間だったとはいえ、なかなかに心労が溜まってしまったようで、馬車を降りた後の足取りは重かった。
人生楽勝ですって感じのパリピな連中が、人前で堂々とイチャついていたのを向こうでもよく目にしていたのだけど、こんなに精神をゴリゴリ削られることだったなんて思いもしなかった。
奴等ってメンタルチタン合金とかで出来てるんじゃねーの。俺の偏見ですかね。
アレクさんと整備された道を二人で歩きながら景色を眺める。はじめに出会った森とは違い、どこか穏やかな風景が目に優しくて、時たま遭遇する野生の動物も可愛らしい種類がほとんどで、いつの間にか先程の精神的な疲れが薄れていった。
俺たちのように徒歩で湖へと向かう人達も多いらしく、皆同じ方向へ進んでいる。道中は危険なことも起きず、人目を気にすることなく終始和やかな散策をゆっくりと楽しめた。
しばらく歩くと森が途切れ、見渡す限り視界一杯に広がる湖が現れた。そのバカでかいスケールにテンションが上がる。
「わぁ~!!アレクさん、あれじゃないですか?」
「見えて来たな」
「はぁ、すごい…キレーな湖。あのポツポツ浮かんでる島って、もしかして行けたりするんでしょうか?」
「ああ、あの島か。たしか船で渡れるはずだぞ」
「行きたいです!」
「じゃあ、まずはあそこの建物に行ってみよう」
アレクさんが指差す先にはカフェや屋台が立ち並び、ちょっとした観光施設が出来上がっていた。中でも一番立派な建物には船のマークが掲げられている。あそこが目的の場所らしい。
「まずはあそこから船に乗り、手前の浮き島に渡ろう」
「湖なのに船なんですか。なんか不思議な感じですね。でもこの湖の大きさならアリなのかな」
「ボートも貸し出しているが、人力だと島に渡るには半日以上かかるそうだから今日は船にしよう」
「島に渡るだけで半日って、どんだけデカいんですか…」
湖の桟橋へと伸びる列に並び順番を待つ間、周りの観光客を観察してみると、ちらほらと他の客に混じって転移者の姿を見ることができた。人種も様々で、中にはエヴァンさんのところのような、同性同士のカップルも見受けられる。
転移者とその伴侶、小さな子供を連れた家族の姿を眺めていると、いい知れない違和感を感じる俺は、まだまだこの世界には馴染めていないんだろうな。
幸せそうな家族を見ても、俺の心は一行に晴れなかった。
そんな感傷に浸っている間に着々と列は進み、次は俺たちの番となっていた。整理券などは必要ないのか、係の者に小銭を渡し、桟橋に並ぶ船の船頭に呼ばれるのを待つ。
この人達は今から渡る島の住人らしく、俺たちを乗せてくれたおじさんが船の舵を取りながらこれから向かう島の紹介をしてくれる。
「あんたら、この島に来るのは初めてかい?」
「はい、まだ俺はこちらに来たばかりなんです」
「そうかい、そうかい。そりゃー大変だったねぇ。ここにはあんたみたいな転移者がたくさんやって来るが、少しでも気晴らしになるといいねぇ~」
「ありがとう、おじさん」
「それにねぇ、ここには訪れた者が幸福になるっていう、有名なパワースポットがあるんだよ。二人でぜひとも行ってみな~」
その場所をパワースポットと呼び出したのは、ここに訪れた転移者だったとか。他にもここで遊べるレジャーやよく釣れる釣りスポットなどを教えてくれたおじさんと別れて、俺たちは無事に一つ目の浮き島へ上陸した。
パワースポットか。一体なんのご利益があるんですかね。
安産祈願とかだったら、遠慮したいです。
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