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(元)人妻姫菜さん26歳。初デートです。
左手の薬指のリング?ああ、これはね…。
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やがて姫菜さんは口を開いた。
「実は私、バツイチなの。」
リュウが話を促すように黙っていると、
「ガッカリしちゃった?」と姫菜さん。
「や、全然そんなことないですけど。」リュウは答えた。
これは本心であるが、第一印象で姫菜さんのことを「微妙にダサい」と感じた、自分の気持ちの理由になんとなく説明が着くような気もした。
「離婚とか、そんな感じってことですよね?」どちらかが不倫でもしたのか、であればどっちがしたのだろう、とリュウは考えた。
「ううん。違うの。事故で、ね…。もういないの。」
「えっ、そうだったんですね…。大変ですね…。」なんと返せばいいのかわからないリュウは、出来る限りしみじみとそう答えた。
なお名著「LOVE理論」が、女子との会話は「大変ですね。」という相槌でで大体乗り切れる、と教えを解くのは、これから15年後のことである。
「あの、その左手の薬指に、結婚指輪?をはめているのは、それはどういう…。」と、リュウは会ってからずっと気になっていたことに触れてみた。
「ああこれ…?」姫菜さんは、左手の薬指にはめているリングを眺めた。
「結婚したときから付けているリングなの。」
「別に今でも忘れられないとか、そういうのではなくて。」
「親が決めた結婚相手だったし、年もちょっと離れてたしね。」
「結婚してた時期も、そんなに長くないから。」
「短大出てすぐだから、20歳で結婚したでしょう。」
「一人になったのが23歳の時だから、結婚生活は3年くらいかなぁ。」
じゃあなんで今でも指輪をしてるのだろう、とリュウは思い巡らせた。
「ずっとしてたから、特に外す理由も無いかなってだけなんだけど。」
「ただ、これしてると色々ラク、っていうのはある。」
「まず、男の人が口説いてこようとしないから、煩わしくないよね。」フフっと姫菜さんは笑う。
「配達やら営業やらで結構家に人が訪ねてくるけど、小娘じゃなくて主婦だって勝手に判断されて、対応が丁寧になってる気がする。」
「あと、バイト先で飲み会があったとしても、あの人は結婚してるから、ってパスさせてもらえるし」
「だからこれは、男除けリング、ってことにもなるかな?」
「確かに自分も、もしバイト先にこういう人がいたら、早々に恋愛対象から除外するよなぁ」リュウは姫菜さんの説明をなるほどと思った。
姫菜さんは、伝言ダイヤルで男性を探していたからリュウと知り合ったわけではある。そういう対象として自分から男性に目を向けることもあるが、日常生活の中で関わる男性からいちいち女として意識されるのは少し煩わしい、ということらしい。
バツイチであることを話し、またそれに対するリュウのリアクションが親切なものであったこともあり、姫菜さんはほっとした様子であった。
「この後、予定通りアパートに遊びに来ます?」リュウは、こんな話をした後だけど、という思いから、確認してみた。
「はい、是非。」、姫菜さんは快諾するのであった。
次回、アパート編。
「実は私、バツイチなの。」
リュウが話を促すように黙っていると、
「ガッカリしちゃった?」と姫菜さん。
「や、全然そんなことないですけど。」リュウは答えた。
これは本心であるが、第一印象で姫菜さんのことを「微妙にダサい」と感じた、自分の気持ちの理由になんとなく説明が着くような気もした。
「離婚とか、そんな感じってことですよね?」どちらかが不倫でもしたのか、であればどっちがしたのだろう、とリュウは考えた。
「ううん。違うの。事故で、ね…。もういないの。」
「えっ、そうだったんですね…。大変ですね…。」なんと返せばいいのかわからないリュウは、出来る限りしみじみとそう答えた。
なお名著「LOVE理論」が、女子との会話は「大変ですね。」という相槌でで大体乗り切れる、と教えを解くのは、これから15年後のことである。
「あの、その左手の薬指に、結婚指輪?をはめているのは、それはどういう…。」と、リュウは会ってからずっと気になっていたことに触れてみた。
「ああこれ…?」姫菜さんは、左手の薬指にはめているリングを眺めた。
「結婚したときから付けているリングなの。」
「別に今でも忘れられないとか、そういうのではなくて。」
「親が決めた結婚相手だったし、年もちょっと離れてたしね。」
「結婚してた時期も、そんなに長くないから。」
「短大出てすぐだから、20歳で結婚したでしょう。」
「一人になったのが23歳の時だから、結婚生活は3年くらいかなぁ。」
じゃあなんで今でも指輪をしてるのだろう、とリュウは思い巡らせた。
「ずっとしてたから、特に外す理由も無いかなってだけなんだけど。」
「ただ、これしてると色々ラク、っていうのはある。」
「まず、男の人が口説いてこようとしないから、煩わしくないよね。」フフっと姫菜さんは笑う。
「配達やら営業やらで結構家に人が訪ねてくるけど、小娘じゃなくて主婦だって勝手に判断されて、対応が丁寧になってる気がする。」
「あと、バイト先で飲み会があったとしても、あの人は結婚してるから、ってパスさせてもらえるし」
「だからこれは、男除けリング、ってことにもなるかな?」
「確かに自分も、もしバイト先にこういう人がいたら、早々に恋愛対象から除外するよなぁ」リュウは姫菜さんの説明をなるほどと思った。
姫菜さんは、伝言ダイヤルで男性を探していたからリュウと知り合ったわけではある。そういう対象として自分から男性に目を向けることもあるが、日常生活の中で関わる男性からいちいち女として意識されるのは少し煩わしい、ということらしい。
バツイチであることを話し、またそれに対するリュウのリアクションが親切なものであったこともあり、姫菜さんはほっとした様子であった。
「この後、予定通りアパートに遊びに来ます?」リュウは、こんな話をした後だけど、という思いから、確認してみた。
「はい、是非。」、姫菜さんは快諾するのであった。
次回、アパート編。
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