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第三章 権能覚醒篇
第七十二層目 試験を終えて
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「いただきます」
「いっただっきまーすッ!」
「ごちそうになります......」
三者三様の挨拶をし、運ばれてきたご馳走を食べ始める早織達。
ここは、私立ルーゼンブル学園から少し離れた場所にあるファミリーレストラン。試験が無事終わり、一輝が早織の見送りついでに皆に試験を頑張ったご褒美として食事を奢る提案をしたのだ。
「皆よく頑張ったみたいだね。特に満田さん、だっけ? 凄いじゃないか。弾虎に一撃を入れたなんて」
「えッ!? えっへへ~......でも、その後すぐにやられちゃいましたけど......あむ」
エビフライを咥え、頭を掻きながら恥ずかし気に笑う舞。
弾虎の腕に一撃を入れた舞は嬉しさから思わず気を抜いてしまい、そのまま直ぐに気絶をさせられて終了となった。残りのメンバーも善戦したが、結局残り時間で全滅。それでも、最後まで戦い抜いたリーダーの兵頭は実践試験で一番の成績だった。
ちなみに舞は弾虎の受け持ったAコース三組全41名中11位と大健闘だ。
「それでも凄いですよね。そういえば高崎さんも、先生から褒められたんですよね?」
「あれは偶然みたいなもの。普段なら、気がつけなかったかも......」
静かにそう言った高崎 愛実は目の前のハンバーグを綺麗にナイフで切り分け、口に運ぶ。
「......それに、お兄さんも気がついていたもの。ルーゼンブルなら、それくらい出来なきゃ」
「えぇえッ? そうなんです、兄さん」
「ち、違うよ! 俺はたまたま、あのモンスターの飼育を何度か手伝ってたから判っただけで、普通の生徒はあのモンスターが寄生されてるとか判らないからッ!」
変に学園へのハードルが上がってはいけないと訂正をする一輝。
例のネムロンを指摘した受験生は、驚く事に早織の友人の愛実だった。その事に対し畠平が礼を述べたいと、試験後に声をかけていたのだ。愛実本人はそこまで大したことはしていないと冷静だったが、周囲の受験生からすれば大騒ぎだ。
事情を聴いた源之助によって騒ぎは収束されたが、皆から合格は確定だろうと囁かれることになってしまった。
「はぁ~......こう二人が凄い人だと、私は少し自信を無くしてしまいますねぇ」
「そんなことはないさ。きっと、早織も大丈夫」
「ですかねぇ......もぐもぐ」
チャーハンを口に放り込みつつ、眉をㇵの字にする早織。そんな様子を眺めつつ、一輝はにこやかであった。
実は既に、この三人についての合否は決まっている。そして、その事を源之助から知らされていたのだ。
成績は問題なし。学力、実技共に及第点を上回っており、桜が咲くことは確定している。だが、それは別の問題を解決するためのものでもあった。
(関わり過ぎた、か......満田さんはともかく、高崎さんは間違いなくもう巻き込まれつつあるよな。早織は言わずもがな)
既に源之助には、今回の侵入者が『教会』の関係である可能性が高いということは伝えている。『模造傀儡』という忌まわしき存在も。
城塞蟹の時はお互いの利害もあったし、何より見逃されたこともあって詳しくは話さなかった。しかし、二度目を見逃すほど一輝も阿呆ではない。
向こうから仕掛けてくるのなら、こちらも相応の姿勢で返す。もしも攻め入ってくるのなら、今度こそ死力を尽くして撃退しなければならない。
今回の件が『教会』によるものであれば、既に手が伸びかけた早織は勿論、『模造傀儡』のネムロン自体は知らなくともその一端に関わってしまった愛実。そして二人と仲の良い舞には十中八九、再度何らかのアプローチがあって然るべきと考えた。
なので、本日からしばらくは一輝が早織を。源之助直轄の部下という人物が『重要人物警護任務の訓練の一環』として愛実と舞を警護することになった。
そして、その話をしている所で源之助から、来期より始動するとあるプロジェクトの話があった。
(プロジェクト『Shangri-la』......日本ダンジョン協会独自の、国内外防衛専門部隊の設立、か......)
昨今、ダンジョン災害やモンスター災害が増加の傾向にある中で、『弾虎』というヒーローの存在は人々の心に光を灯した。
誰しもが求めているのだ。この残虐で過酷になってしまった世界に救いの手を。
その結果、『救世の光教』という新興宗教が台頭してきたり、『聖光教会』の様な古くからある宗教へ救いを求める様になってきたのだ。
別段、宗教に祈りを捧げ、救いを求めることに是非はない。今日においても日本国民は信仰、宗教の自由が認められている。だが、中にはそういった組織を蓑として悪事を働き、人の持つ心の闇を利用する輩がいるのだ。
人類の敵は人類。そう言った考え方さえも、いまは一般的に浸透をし始めたくらいである。だが、それではいけない。何も一枚岩になる必要はないが、目の前の脅威に向き合う程度の団結は、人類に求められている状況なのだ。
そこで、源之助の提唱するプロジェクト『Shangri-la』だ。Shangri-laとは、とある有名な小説作品に登場する理想郷の名であり、今では転じて理想郷そのモノを指す単語との認識がされている。
人による人の為の理想郷。そんな大層なものを本当に実現できるとは考えてはいないが、それでも目指すべき世界の在り方を、人類は描いてもいい時期に入っているのではないか。そんな思いでこの名に決めたのだ。
(今回、早織の友達に付けられる人もその創設メンバーの候補らしい。詳細はまだ判らないけど、恐らく一級......いや、下手をすれば特級探索師の起用もあり得るな)
勿論、弾虎は有無を言わせずメンバー入りである。むしろ、旗印だ。
「はぁ~......ごちそうさまでした。ありがとうございます、兄さん」
「いいえ。皆が頑張ったご褒美さ」
満足げな早織に、笑みを返す一輝。
そんな二人の様子を見ていた舞がポツリと溢す。
「お二人って、本当に仲が良いですよね。昔からそうでしたっけ?」
「え? 私はずっとこんな感じだったと思いますけど。兄さんはどうです?」
「ん? あぁ、俺もこんな感じだ。あまり喧嘩もしたことなかったしね」
「兄さんと喧嘩なんて滅相もないッ!」
「そこまで否定することか?」
「そう、っスか......」
何やら腑に落ちない様子の舞。だが、そんな事を言われても困ると一輝は頬を掻いて苦笑いを浮かべる。
「さぁ、そろそろ暗くなりそうだし、帰ろうか。皆は先に出てて」
「はい。ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでしたッ! ありがとうございますッ!!」
「ごちそうさまでした。ありがとうございす、お兄さん」
三人を送り出し、伝票を片手に会計へと向かう一輝。
だが、その足はとあるテーブル席の前で止まる。
「随分と堂々としているじゃないか」
「これはこれは。偶然ですね」
「もぐもぐもぐもぐ......」
四人掛けのテーブル席に所狭しと並べられた料理の数々。そこに座る二人組は、わざとらしい笑みを......いや、一人は料理を食べるのは夢中だ。
グルとヴェール。聖光教会の『天使』二人組がラフな格好で席に座っていた。
「てめぇら......いったい何を企んでやがる。昼間の......」
「おぉっと! 偶然ですね、一輝さんッ! 少し向こうで話しませんかッ!?」
「ちょ、おいッ!」
(合わせてください。こんな人前で話す内容ではありませんので)
(チッ......わかったよ)
「では、ヴェールさん。ちょっと彼と話してきますので、料理を楽しんでいてください」
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ......」
相変わらずの眠そうな目のまま、料理をひたすらに頬張るヴェール。頬がまるでハムスターの様になっている。
そうしてグルに連れられた一輝は、店の入り口付近にあるカウンター席座る。
「妹たちを待たせてるんだ。やるなら早くしようぜ」
「おぉ、怖いですね。でも、そんなに殺気を撒かないでください。私は臆病なのです」
「どの口がッ......」
「急げと言ったのは一輝さんですよ。単刀直入にお話します。私たちに協力してください」
「......あ?」
何を言っているんだ。表情だけでそれの意思を見せる程のがん飛ばしを見せる一輝に、グルは薄笑いを浮かべる。
「依頼ですよ、依頼。探索師、神園一輝さんへの指名依頼です。とある人物を探して貰いたいのです。生死は問いません」
「いっただっきまーすッ!」
「ごちそうになります......」
三者三様の挨拶をし、運ばれてきたご馳走を食べ始める早織達。
ここは、私立ルーゼンブル学園から少し離れた場所にあるファミリーレストラン。試験が無事終わり、一輝が早織の見送りついでに皆に試験を頑張ったご褒美として食事を奢る提案をしたのだ。
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「あれは偶然みたいなもの。普段なら、気がつけなかったかも......」
静かにそう言った高崎 愛実は目の前のハンバーグを綺麗にナイフで切り分け、口に運ぶ。
「......それに、お兄さんも気がついていたもの。ルーゼンブルなら、それくらい出来なきゃ」
「えぇえッ? そうなんです、兄さん」
「ち、違うよ! 俺はたまたま、あのモンスターの飼育を何度か手伝ってたから判っただけで、普通の生徒はあのモンスターが寄生されてるとか判らないからッ!」
変に学園へのハードルが上がってはいけないと訂正をする一輝。
例のネムロンを指摘した受験生は、驚く事に早織の友人の愛実だった。その事に対し畠平が礼を述べたいと、試験後に声をかけていたのだ。愛実本人はそこまで大したことはしていないと冷静だったが、周囲の受験生からすれば大騒ぎだ。
事情を聴いた源之助によって騒ぎは収束されたが、皆から合格は確定だろうと囁かれることになってしまった。
「はぁ~......こう二人が凄い人だと、私は少し自信を無くしてしまいますねぇ」
「そんなことはないさ。きっと、早織も大丈夫」
「ですかねぇ......もぐもぐ」
チャーハンを口に放り込みつつ、眉をㇵの字にする早織。そんな様子を眺めつつ、一輝はにこやかであった。
実は既に、この三人についての合否は決まっている。そして、その事を源之助から知らされていたのだ。
成績は問題なし。学力、実技共に及第点を上回っており、桜が咲くことは確定している。だが、それは別の問題を解決するためのものでもあった。
(関わり過ぎた、か......満田さんはともかく、高崎さんは間違いなくもう巻き込まれつつあるよな。早織は言わずもがな)
既に源之助には、今回の侵入者が『教会』の関係である可能性が高いということは伝えている。『模造傀儡』という忌まわしき存在も。
城塞蟹の時はお互いの利害もあったし、何より見逃されたこともあって詳しくは話さなかった。しかし、二度目を見逃すほど一輝も阿呆ではない。
向こうから仕掛けてくるのなら、こちらも相応の姿勢で返す。もしも攻め入ってくるのなら、今度こそ死力を尽くして撃退しなければならない。
今回の件が『教会』によるものであれば、既に手が伸びかけた早織は勿論、『模造傀儡』のネムロン自体は知らなくともその一端に関わってしまった愛実。そして二人と仲の良い舞には十中八九、再度何らかのアプローチがあって然るべきと考えた。
なので、本日からしばらくは一輝が早織を。源之助直轄の部下という人物が『重要人物警護任務の訓練の一環』として愛実と舞を警護することになった。
そして、その話をしている所で源之助から、来期より始動するとあるプロジェクトの話があった。
(プロジェクト『Shangri-la』......日本ダンジョン協会独自の、国内外防衛専門部隊の設立、か......)
昨今、ダンジョン災害やモンスター災害が増加の傾向にある中で、『弾虎』というヒーローの存在は人々の心に光を灯した。
誰しもが求めているのだ。この残虐で過酷になってしまった世界に救いの手を。
その結果、『救世の光教』という新興宗教が台頭してきたり、『聖光教会』の様な古くからある宗教へ救いを求める様になってきたのだ。
別段、宗教に祈りを捧げ、救いを求めることに是非はない。今日においても日本国民は信仰、宗教の自由が認められている。だが、中にはそういった組織を蓑として悪事を働き、人の持つ心の闇を利用する輩がいるのだ。
人類の敵は人類。そう言った考え方さえも、いまは一般的に浸透をし始めたくらいである。だが、それではいけない。何も一枚岩になる必要はないが、目の前の脅威に向き合う程度の団結は、人類に求められている状況なのだ。
そこで、源之助の提唱するプロジェクト『Shangri-la』だ。Shangri-laとは、とある有名な小説作品に登場する理想郷の名であり、今では転じて理想郷そのモノを指す単語との認識がされている。
人による人の為の理想郷。そんな大層なものを本当に実現できるとは考えてはいないが、それでも目指すべき世界の在り方を、人類は描いてもいい時期に入っているのではないか。そんな思いでこの名に決めたのだ。
(今回、早織の友達に付けられる人もその創設メンバーの候補らしい。詳細はまだ判らないけど、恐らく一級......いや、下手をすれば特級探索師の起用もあり得るな)
勿論、弾虎は有無を言わせずメンバー入りである。むしろ、旗印だ。
「はぁ~......ごちそうさまでした。ありがとうございます、兄さん」
「いいえ。皆が頑張ったご褒美さ」
満足げな早織に、笑みを返す一輝。
そんな二人の様子を見ていた舞がポツリと溢す。
「お二人って、本当に仲が良いですよね。昔からそうでしたっけ?」
「え? 私はずっとこんな感じだったと思いますけど。兄さんはどうです?」
「ん? あぁ、俺もこんな感じだ。あまり喧嘩もしたことなかったしね」
「兄さんと喧嘩なんて滅相もないッ!」
「そこまで否定することか?」
「そう、っスか......」
何やら腑に落ちない様子の舞。だが、そんな事を言われても困ると一輝は頬を掻いて苦笑いを浮かべる。
「さぁ、そろそろ暗くなりそうだし、帰ろうか。皆は先に出てて」
「はい。ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでしたッ! ありがとうございますッ!!」
「ごちそうさまでした。ありがとうございす、お兄さん」
三人を送り出し、伝票を片手に会計へと向かう一輝。
だが、その足はとあるテーブル席の前で止まる。
「随分と堂々としているじゃないか」
「これはこれは。偶然ですね」
「もぐもぐもぐもぐ......」
四人掛けのテーブル席に所狭しと並べられた料理の数々。そこに座る二人組は、わざとらしい笑みを......いや、一人は料理を食べるのは夢中だ。
グルとヴェール。聖光教会の『天使』二人組がラフな格好で席に座っていた。
「てめぇら......いったい何を企んでやがる。昼間の......」
「おぉっと! 偶然ですね、一輝さんッ! 少し向こうで話しませんかッ!?」
「ちょ、おいッ!」
(合わせてください。こんな人前で話す内容ではありませんので)
(チッ......わかったよ)
「では、ヴェールさん。ちょっと彼と話してきますので、料理を楽しんでいてください」
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ......」
相変わらずの眠そうな目のまま、料理をひたすらに頬張るヴェール。頬がまるでハムスターの様になっている。
そうしてグルに連れられた一輝は、店の入り口付近にあるカウンター席座る。
「妹たちを待たせてるんだ。やるなら早くしようぜ」
「おぉ、怖いですね。でも、そんなに殺気を撒かないでください。私は臆病なのです」
「どの口がッ......」
「急げと言ったのは一輝さんですよ。単刀直入にお話します。私たちに協力してください」
「......あ?」
何を言っているんだ。表情だけでそれの意思を見せる程のがん飛ばしを見せる一輝に、グルは薄笑いを浮かべる。
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