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第二章 大阪カニ騒動篇
第六十二話 神の御使い
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「『弾虎、大阪の街を救う』……か」
源之助はテーブルの上に新聞紙を放り投げてから背もたれに体重をかける。
グランド・シザースが引き起こした年末の大事件、通称『大阪カニ騒動』。その顛末について書かれた記事で、どの新聞紙もテレビもこのニュースで賑わいを見せていた。
弾虎というヒーローが現れてから、初めて起こった大きなモンスター災害。市民はその動向を固唾を飲んで見守っていた。
大暴れをするグランド・シザースに対し、自衛隊の新兵器『DM-04』が新規導入。15発の砲弾はグランド・シザースの甲殻を大きく破壊して見せたのだ。
このニュースは日本だけでなく、世界中でも報道されることになった。
持たざる者の武器。今後はそう呼ばれ、世界中で使用されることだろうと。
「だが……そうは上手く行かんわな」
来客用のソファに腰掛けて茶を啜るボブ。
その手にあるタブレットには、自衛隊の対応と、『DM-04』の問題点が記事になっていた。
「『大規模通信障害及び、魔力汚染問題。それに、弾虎が内部に侵入していたにも関わらず、大規模決戦兵器を使用した杜撰な作戦』か。好き勝手書いとるのう」
「まぁ、おおむねその通りだからな。あの相良には直々に正式な抗議を入れておる。やりすぎじゃ」
「まぁ向こうさんも問題を知っていて使った節があるからのう。結局責任を取らされたのは現場にいた総司令の男じゃろ? なんでも若くして司令官に指名されたやり手だったそうじゃないか。まーた恨みを買うことしおって」
「その強かさがなければ、あんな魔窟で生きていけんからな。いつものことだ」
「お前さんもそこの住人みたいなもんだろう。だが……いまはそんな事を話しておる場合ではないのう」
タブレットを置いたボブは、窓際で佇む一輝を見る。
ぼんやりと外を眺める一輝。二人の会話にも、心ここにあらずといった感じだ。
「まさか、一輝が負けるとはのう」
「相手はあの『天使』だったんだ。生きて帰ってきただけでも儲けものだろうよ」
「その『天使』ってやつだ。儂はあまりそういう分野に詳しくはないのじゃが、そりゃあいったい何なんだ?」
「『天使』は、簡単に言えば奇跡の体現者だ」
ダンジョンがこの世に現界した時、『悪魔』が現れた。
その時、彼らはこう言った。
『俺たちはダンジョンの支配者にして、ゲームマスターだ』、と。
その言葉の意味は未だに謎であるが、『悪魔』が確かに存在するのは協会の上層部にとっては周知の事実である。ただ、市民に余計な不安を与えない様にと、都市伝説的な話になってはいるのだが。
そんな『悪魔』達は、モンスター同様に通常の兵器が効かなかった。いや、同様にではない。一切効かなかった。なので、悪魔が現れて消えるまでの間、人類はただ指を咥えて眺めているしかなかったのだ。
しかし、それを許さない存在がいた。
この世界は『主』の奇跡によって創造され、人は皆神の子であるという教えを持つ『聖光教会』だ。
彼らはひたすらに強く祈った。『悪魔』を祓い、世に光をと。
そして、その祈りに応える者があった。
「それが『天使』なのか?」
「正確には神の御使いだな。神の御使いは聖光教会に秘匿の技術を授けたと聞く。曰く、試練を乗り越えし者は神の恩寵を授かり、人から『天使』に到るとな」
「ほうー……だが、その御使いとやらが本当に神の使いだったのか? そんなもの、なんとでもいえるじゃろう?」
「はっは、それを外で言うなよ、ボブ。明日の朝日を拝めなくなるからな。まぁそんなわけで、『天使』ってやつはとんでもない存在だ。探索師が人間兵器なら、あれらは人間核兵器じゃわ。見ただろう? あのカニをぶち抜いた光を」
そう言って新聞を指差す源之助。
新聞の一面に写っていたのは、グランド・シザースから黄金の光が伸びていくシーンだ。
「ありゃあ度肝抜かれたわ。一輝が『須佐之男』でも使ったのかと思ったぞ」
「同等……いや、それ以上かもしれんな。どうだ、一輝君よ?」
「…………」
一輝はあの敗北事件から堅く口を閉ざしていた。
それはグルに言われた通りに秘密を守ろうとしてではない。
己の油断故に敗北を喫した情けなさと、『天使』の力について考えていたからだ。
(あれは……悪魔の権能と同じだ。感覚が、俺の中にある二つの権能がそう言っている)
一輝の中にある権能。ひとつはベルゼブブから授かった『暴食の権能』。そしてもう一つは、ツイントゥースドラゴンを食った時に手に入れた『憤怒の権能』だ。
二つの権能を手にし、更なる能力の向上があると思った。だが、何故か『憤怒の権能』は発動しないのだが。
(一度、ベルゼブブさんに会う必要がある。その為には、ダンジョンに潜らなければいけない)
「……会長。話があります」
「ん? なんだ?」
「俺は……詳しい事は話せませんが、『天使』の少女……ヴェールと呼ばれていた子と同じような能力が、俺にもあります」
「ふむ……続けなさい」
「ですが、俺はそのすべてを使えるわけではありません。恐らく、表面だけしか使えていない……なんとなく、そう感じるんです」
「表面だけ、か。それでほとんどの探索師の上をいくのだ。やはり、化け物だな」
「それは否定しません。ですが、今後俺たちの前には聖光教会の『天使』は何度も立ちはだかる……いえ、俺が彼らを止めなければいけない時が来ます。会長がどの様な取引をしたのかは知りませんが、情報を掴んでいるのでしょう?」
一輝の問いに源之助は否定も肯定もせず、ただニヤリと口ひげを曲げる。
「なので、俺はこの力を使いこなす為に、修行に出ようと思います。勿論、要請があれば駆けつけますが」
「構わんよ。どうせ学園に来たところで君が学ぶ事はあまりないだろう。ダンジョン探索を理由に行くと良い。許可は私が出しておく。しかし、宛はあるのか?」
「はい……旧墨田区サブ・ダンジョンです」
「「!?」」
源之助とボブは驚愕に目を見開く。なぜなら、旧墨田区サブ・ダンジョンはあの一件以降、崩壊して入れなくなっているからだ。
「これは……俺の勘ですが、あそこは生きています。というより、ダンジョンはコアが破壊されてもたぶん死んでいません」
それはダンジョンコアを体内に入れたせいなのだろう。一輝の中にある予想には、確信の様なものがあった。
「なんと……いや、そうか。誰も崩壊後のダンジョンに足を踏み入れた事がなかったから、調べた事が……調べようとも思わなかった。うむ……これは確かに、一考の余地がある。わかった、是非行ってみてくれ」
「ありがとうございます。その間なんですが、妹の事を……」
「あぁ、大丈夫だ。というより、隣人ならば事情を察してくれるのではないか?」
一輝が弾虎だという事を知る者は、源之助とボブの他にもう一人いる。
それは、幼馴染みの恵だ。ボブ同様に一輝の装備を見ていた恵は、当然ながら弾虎の正体を知っている。なので、恵に関しても源之助は『お願い』という形で協力を要請している。身も蓋もない言い方をすれば、圧力なのだが。
恵も元々そのつもりだった様で、一輝の事に関しては口にしてはいない。それでも流石に一件以降は接し方が少し変わったようだが。
「そうですね……頼んでみます」
「何か良い素材が手に入ったら連絡をしてくれよ。あぁ、ボディスーツの修理は一週間程かかるからのう」
「わかりました。では、二週間後に潜るようにします」
「む? 二週間後? そんなに早いのか」
「え、えぇ。何かまずいことでも?」
「いや、多分忘れているかと思うが……例の入試試験の件があるぞ」
「あっ」
一輝はすっかりと頭から抜けていたが、一月の第二週にある私立ルーゼンブル学園の入試試験で、弾虎として登場する依頼があったのだ。
(つうか、あの格好で早織の前に出るのかよ……バレないよな?)
「……仕方ないですね。入試後に出発します」
「うむ。そういえば、早織君も受験するんだったな。どれ、ひとつ私が……」
「結構です。早織は俺と違って優秀ですから、自分の力でなんとかします」
「ふっ、冗談だよ、冗談。兄妹揃って通う事を楽しみにしているよ」
頬を緩める源之助。まるで孫の成長を楽しみにする老人のようだ。
その様子を見た一輝は、『謀をめぐらしていない時はいい人なんだけどなぁ』などと、若干失礼な事を考えつつ自分の分の茶を啜るのであった。
源之助はテーブルの上に新聞紙を放り投げてから背もたれに体重をかける。
グランド・シザースが引き起こした年末の大事件、通称『大阪カニ騒動』。その顛末について書かれた記事で、どの新聞紙もテレビもこのニュースで賑わいを見せていた。
弾虎というヒーローが現れてから、初めて起こった大きなモンスター災害。市民はその動向を固唾を飲んで見守っていた。
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「その強かさがなければ、あんな魔窟で生きていけんからな。いつものことだ」
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ぼんやりと外を眺める一輝。二人の会話にも、心ここにあらずといった感じだ。
「まさか、一輝が負けるとはのう」
「相手はあの『天使』だったんだ。生きて帰ってきただけでも儲けものだろうよ」
「その『天使』ってやつだ。儂はあまりそういう分野に詳しくはないのじゃが、そりゃあいったい何なんだ?」
「『天使』は、簡単に言えば奇跡の体現者だ」
ダンジョンがこの世に現界した時、『悪魔』が現れた。
その時、彼らはこう言った。
『俺たちはダンジョンの支配者にして、ゲームマスターだ』、と。
その言葉の意味は未だに謎であるが、『悪魔』が確かに存在するのは協会の上層部にとっては周知の事実である。ただ、市民に余計な不安を与えない様にと、都市伝説的な話になってはいるのだが。
そんな『悪魔』達は、モンスター同様に通常の兵器が効かなかった。いや、同様にではない。一切効かなかった。なので、悪魔が現れて消えるまでの間、人類はただ指を咥えて眺めているしかなかったのだ。
しかし、それを許さない存在がいた。
この世界は『主』の奇跡によって創造され、人は皆神の子であるという教えを持つ『聖光教会』だ。
彼らはひたすらに強く祈った。『悪魔』を祓い、世に光をと。
そして、その祈りに応える者があった。
「それが『天使』なのか?」
「正確には神の御使いだな。神の御使いは聖光教会に秘匿の技術を授けたと聞く。曰く、試練を乗り越えし者は神の恩寵を授かり、人から『天使』に到るとな」
「ほうー……だが、その御使いとやらが本当に神の使いだったのか? そんなもの、なんとでもいえるじゃろう?」
「はっは、それを外で言うなよ、ボブ。明日の朝日を拝めなくなるからな。まぁそんなわけで、『天使』ってやつはとんでもない存在だ。探索師が人間兵器なら、あれらは人間核兵器じゃわ。見ただろう? あのカニをぶち抜いた光を」
そう言って新聞を指差す源之助。
新聞の一面に写っていたのは、グランド・シザースから黄金の光が伸びていくシーンだ。
「ありゃあ度肝抜かれたわ。一輝が『須佐之男』でも使ったのかと思ったぞ」
「同等……いや、それ以上かもしれんな。どうだ、一輝君よ?」
「…………」
一輝はあの敗北事件から堅く口を閉ざしていた。
それはグルに言われた通りに秘密を守ろうとしてではない。
己の油断故に敗北を喫した情けなさと、『天使』の力について考えていたからだ。
(あれは……悪魔の権能と同じだ。感覚が、俺の中にある二つの権能がそう言っている)
一輝の中にある権能。ひとつはベルゼブブから授かった『暴食の権能』。そしてもう一つは、ツイントゥースドラゴンを食った時に手に入れた『憤怒の権能』だ。
二つの権能を手にし、更なる能力の向上があると思った。だが、何故か『憤怒の権能』は発動しないのだが。
(一度、ベルゼブブさんに会う必要がある。その為には、ダンジョンに潜らなければいけない)
「……会長。話があります」
「ん? なんだ?」
「俺は……詳しい事は話せませんが、『天使』の少女……ヴェールと呼ばれていた子と同じような能力が、俺にもあります」
「ふむ……続けなさい」
「ですが、俺はそのすべてを使えるわけではありません。恐らく、表面だけしか使えていない……なんとなく、そう感じるんです」
「表面だけ、か。それでほとんどの探索師の上をいくのだ。やはり、化け物だな」
「それは否定しません。ですが、今後俺たちの前には聖光教会の『天使』は何度も立ちはだかる……いえ、俺が彼らを止めなければいけない時が来ます。会長がどの様な取引をしたのかは知りませんが、情報を掴んでいるのでしょう?」
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「「!?」」
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「なんと……いや、そうか。誰も崩壊後のダンジョンに足を踏み入れた事がなかったから、調べた事が……調べようとも思わなかった。うむ……これは確かに、一考の余地がある。わかった、是非行ってみてくれ」
「ありがとうございます。その間なんですが、妹の事を……」
「あぁ、大丈夫だ。というより、隣人ならば事情を察してくれるのではないか?」
一輝が弾虎だという事を知る者は、源之助とボブの他にもう一人いる。
それは、幼馴染みの恵だ。ボブ同様に一輝の装備を見ていた恵は、当然ながら弾虎の正体を知っている。なので、恵に関しても源之助は『お願い』という形で協力を要請している。身も蓋もない言い方をすれば、圧力なのだが。
恵も元々そのつもりだった様で、一輝の事に関しては口にしてはいない。それでも流石に一件以降は接し方が少し変わったようだが。
「そうですね……頼んでみます」
「何か良い素材が手に入ったら連絡をしてくれよ。あぁ、ボディスーツの修理は一週間程かかるからのう」
「わかりました。では、二週間後に潜るようにします」
「む? 二週間後? そんなに早いのか」
「え、えぇ。何かまずいことでも?」
「いや、多分忘れているかと思うが……例の入試試験の件があるぞ」
「あっ」
一輝はすっかりと頭から抜けていたが、一月の第二週にある私立ルーゼンブル学園の入試試験で、弾虎として登場する依頼があったのだ。
(つうか、あの格好で早織の前に出るのかよ……バレないよな?)
「……仕方ないですね。入試後に出発します」
「うむ。そういえば、早織君も受験するんだったな。どれ、ひとつ私が……」
「結構です。早織は俺と違って優秀ですから、自分の力でなんとかします」
「ふっ、冗談だよ、冗談。兄妹揃って通う事を楽しみにしているよ」
頬を緩める源之助。まるで孫の成長を楽しみにする老人のようだ。
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