72 / 91
遠くにいてもわかる
しおりを挟む
「そりぁあ、オレ賢族だし」
「理由になってなくない?それ」
「常識だよ。ほら、日本人なら常識のこととかあっただろ?」
「そうだね。あったね」
賢族には特徴を知っているのは常識ってことですか。いやー賢族の上位に位置する賢王族のガイオスがそういうところを見せてくれなかったものでしてね。
「で、ユウキはなに?」
ライならオレという存在をバラしてしまっても特に問題はなさそうだけど、それじゃあオレが自由に遊べないからその気はない。
だから、今の外見でおかしくない吸血鬼と答えることにした。
それなら血族に連なるものだからね。
「オレは……」
「あー!主様いたー!」
「なにあれ!」
「テオドール⁉」
なんてタイミングが悪い。すっと変わらないよね、その悪さは。
あのときは結果的にそのタイミングの悪さに救われたと思うけどさ。
「フィーむがっ……」
今度はフィーリアがどうしたのかな?
「なんの用?」
「だから、一人で遊びに行っちゃったから拗ねちゃったの」
「一人で遊びに行くくらい、いいじゃんか」
息抜きというものが必要なのだ。それにしてもさ、フィーリア可愛すぎかよ。オレが一人で遊びに行ったら拗ねるって。
「突然窓を見つめて『新しい友人ができる……』とかつぶやいたかと思うとボクに見に行ってこいって」
女の気配ならそういうふうにテオドールを使って見に行かせるのはいいけど、ライは男だよ?それに、新しい友人をつくっちゃだめなの?
「買っといて良かった……」
甘いものは正義。可愛いは素晴らしい。孫は最高。孫にまさるものは……うん、やめておこう。
「ユウキ?」
「あ、ごめん。少し待ってて」
「う、うん」
さっさとテオドールとの話を切り上げないと。
「帰ったら説教かなー」
「どうかなぁ……とにかく、暗くなる前には帰るようにって」
「わかったよ」
いつもはそんな制限ないんだけど。フィーリアさん、一体帰ってきたらオレに何をするつもりなんでしょうか。オレ怖いなー。
「じゃ、ボクはこれで。主様、楽しんできてね!」
「はいはい……」
「それにしても姿変えてたんだね。見つけづらかったよ」
「……」
わー最後の最後に問題発言して行っちゃった。それでその発言者はちゃっちゃと魔王城に帰って行っちゃったよ。
「姿をかえてる?」
「うー……」
ライがキリッとしだしたよ。
「そうだよ」
はぁ……普通に友だちになりたかったんだけどね。
「ふーん……なんで変えてんの?」
そうくるよね。
「自由に遊びたかったから」
「姿変えないと自由に遊べないの?大変だねー」
「うん」
「なら、しょうがない。遊ぼう、ユウキ」
驚いた。元人間って言うと、正体がどうたらこうたらって秘密をちらつかせると、暴きたがる知りたがるもんだと思ってた。
当然、すべての人間がそうとは限らないということは知っていたけど、九割の人間がそうだと思ってたから。
「いいのか?」
「なに、正体バラしたいの?」
「そういうわけじゃないけど、ライは違うの?」
「知りたいけど無理に教えてくれとはね。別に知らないと仲良くなれないってわけでもないし」
「そっか、ライはいいやつだな」
九割のうち一割くらいがライみたいなやつだとオレは思っている。よかった、ライがその一割の中に入っていて。
オレがそう言うとライは明るい笑顔を見せた。
「それで、このカレーなんだけどさ……」
「匂いだけはカレーだよね」
その匂いに釣られてオレはここまで来たわけだから、匂いだけは違和感がないのだ。その分見た目はやばいことになってるけどね。
「そうなんだよ、そこがどうにかできれば……」
「味は?」
匂いに見た目。後は味だ。味はどうなっているのだろうか。
この三つがその食べ物を評価する際の要となっているはずだ。
「カレーだと思うんだけど、どう?」
「オレが味見すんの……?」
ライにカレー(仮)を入れた器を差し出された。口に入れるのには時間と勇気を要するだろう。
「当たり前だよ、オレは味見すんだから」
「美味しかった?」
「もちろん!後は見た目だけだよ」
自分は味見しないでオレだけにさせるんだったら十万ボルトを放って頭をアフロにしようと思ったんだけど、ライも味見をしたというのならいいか。
「う……」
でも、食欲が削がれる見た目なんだよ。匂いが食欲をそそるんだけど、見た目がそれ以上にそいでいくんだ。
うぅ……だけどカレーというのは興味深いからな。
五分ほど悩んだ上、オレはカレー(仮)を口に入れた。
「辛っ……!」
「え?そんな辛いかな……うわ、辛い!」
「ウォーター……んぐ……知らなかったのか?」
口から火を吹くかと思った。オレとしては中辛くらいかなと思って口に入れたわけだけど、その味は激辛だった。辛いもの好きな人でも辛いって水を飲みたくなるんじゃないかな。
水は美味しいね。血でも良かったけど。
「昨日はこんなに辛くなかったんだよ。むしろ、少し甘かったよ」
「翌日には辛くなったか……何入れたの?」
一応ここは地球からすればファンタジーだからな。ファンタジー食材というものがあるんだよね。例えば、時間が経つと味が変わる食用の草なんかね。
「理由になってなくない?それ」
「常識だよ。ほら、日本人なら常識のこととかあっただろ?」
「そうだね。あったね」
賢族には特徴を知っているのは常識ってことですか。いやー賢族の上位に位置する賢王族のガイオスがそういうところを見せてくれなかったものでしてね。
「で、ユウキはなに?」
ライならオレという存在をバラしてしまっても特に問題はなさそうだけど、それじゃあオレが自由に遊べないからその気はない。
だから、今の外見でおかしくない吸血鬼と答えることにした。
それなら血族に連なるものだからね。
「オレは……」
「あー!主様いたー!」
「なにあれ!」
「テオドール⁉」
なんてタイミングが悪い。すっと変わらないよね、その悪さは。
あのときは結果的にそのタイミングの悪さに救われたと思うけどさ。
「フィーむがっ……」
今度はフィーリアがどうしたのかな?
「なんの用?」
「だから、一人で遊びに行っちゃったから拗ねちゃったの」
「一人で遊びに行くくらい、いいじゃんか」
息抜きというものが必要なのだ。それにしてもさ、フィーリア可愛すぎかよ。オレが一人で遊びに行ったら拗ねるって。
「突然窓を見つめて『新しい友人ができる……』とかつぶやいたかと思うとボクに見に行ってこいって」
女の気配ならそういうふうにテオドールを使って見に行かせるのはいいけど、ライは男だよ?それに、新しい友人をつくっちゃだめなの?
「買っといて良かった……」
甘いものは正義。可愛いは素晴らしい。孫は最高。孫にまさるものは……うん、やめておこう。
「ユウキ?」
「あ、ごめん。少し待ってて」
「う、うん」
さっさとテオドールとの話を切り上げないと。
「帰ったら説教かなー」
「どうかなぁ……とにかく、暗くなる前には帰るようにって」
「わかったよ」
いつもはそんな制限ないんだけど。フィーリアさん、一体帰ってきたらオレに何をするつもりなんでしょうか。オレ怖いなー。
「じゃ、ボクはこれで。主様、楽しんできてね!」
「はいはい……」
「それにしても姿変えてたんだね。見つけづらかったよ」
「……」
わー最後の最後に問題発言して行っちゃった。それでその発言者はちゃっちゃと魔王城に帰って行っちゃったよ。
「姿をかえてる?」
「うー……」
ライがキリッとしだしたよ。
「そうだよ」
はぁ……普通に友だちになりたかったんだけどね。
「ふーん……なんで変えてんの?」
そうくるよね。
「自由に遊びたかったから」
「姿変えないと自由に遊べないの?大変だねー」
「うん」
「なら、しょうがない。遊ぼう、ユウキ」
驚いた。元人間って言うと、正体がどうたらこうたらって秘密をちらつかせると、暴きたがる知りたがるもんだと思ってた。
当然、すべての人間がそうとは限らないということは知っていたけど、九割の人間がそうだと思ってたから。
「いいのか?」
「なに、正体バラしたいの?」
「そういうわけじゃないけど、ライは違うの?」
「知りたいけど無理に教えてくれとはね。別に知らないと仲良くなれないってわけでもないし」
「そっか、ライはいいやつだな」
九割のうち一割くらいがライみたいなやつだとオレは思っている。よかった、ライがその一割の中に入っていて。
オレがそう言うとライは明るい笑顔を見せた。
「それで、このカレーなんだけどさ……」
「匂いだけはカレーだよね」
その匂いに釣られてオレはここまで来たわけだから、匂いだけは違和感がないのだ。その分見た目はやばいことになってるけどね。
「そうなんだよ、そこがどうにかできれば……」
「味は?」
匂いに見た目。後は味だ。味はどうなっているのだろうか。
この三つがその食べ物を評価する際の要となっているはずだ。
「カレーだと思うんだけど、どう?」
「オレが味見すんの……?」
ライにカレー(仮)を入れた器を差し出された。口に入れるのには時間と勇気を要するだろう。
「当たり前だよ、オレは味見すんだから」
「美味しかった?」
「もちろん!後は見た目だけだよ」
自分は味見しないでオレだけにさせるんだったら十万ボルトを放って頭をアフロにしようと思ったんだけど、ライも味見をしたというのならいいか。
「う……」
でも、食欲が削がれる見た目なんだよ。匂いが食欲をそそるんだけど、見た目がそれ以上にそいでいくんだ。
うぅ……だけどカレーというのは興味深いからな。
五分ほど悩んだ上、オレはカレー(仮)を口に入れた。
「辛っ……!」
「え?そんな辛いかな……うわ、辛い!」
「ウォーター……んぐ……知らなかったのか?」
口から火を吹くかと思った。オレとしては中辛くらいかなと思って口に入れたわけだけど、その味は激辛だった。辛いもの好きな人でも辛いって水を飲みたくなるんじゃないかな。
水は美味しいね。血でも良かったけど。
「昨日はこんなに辛くなかったんだよ。むしろ、少し甘かったよ」
「翌日には辛くなったか……何入れたの?」
一応ここは地球からすればファンタジーだからな。ファンタジー食材というものがあるんだよね。例えば、時間が経つと味が変わる食用の草なんかね。
0
お気に入りに追加
1,808
あなたにおすすめの小説
めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜
ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました
誠に申し訳ございません。
—————————————————
前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。
名前は山梨 花。
他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。
動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、
転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、
休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。
それは物心ついた時から生涯を終えるまで。
このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。
—————————————————
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト)
前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した
生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ
魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する
ということで努力していくことにしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる