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セレンティアへ出発
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「キラさん、少しいいですか?」
「いいけど……どうかしたの?」
最初にメイドさんに王子の外見なんかを聞いてみたんだけど、人前に出ることがほとんどなかったらしくメイドさんは知らなかった。
だから騎士団の本拠地であるここまで聞きに来たんだ。これで知らなかったら諦めよう。
「王子様ってどんな方だったのかと思いまして……」
「どうして?」
あれ?聞いちゃいけないことだったかな……。急にキラの雰囲気がピリッとしだした。
「王子様を奪還するときに王子様がどんな方か知らなければ、奪還できるものもできないかなって思いましてね」
これは言葉のとおりで、助けるべき人の姿を知らなければ助けようがない。その人は助けることができないのだ。
オレが王子のことを聞くのはアオイが面倒くさい立場にいないか確かめるため。まぁ、でも、もうアオイは王宮破壊未遂っていう面倒くさい立場にいるのか……。
アオイが王子だったらアオイをどうするべきか、更によくわからなくなっちゃうじゃん?
「そう、よね。ええ、勇者が知らないとね」
キラは話してくれる気になったようだ。
「セルリアン王子……セル王子は、深い空色の瞳と王女様と同じとてもきれいな金髪を持っているの。それで、人懐っこくて……」
王子の名前はセルリアンというらしい。長いからセルって愛称で呼んでるのかな?
空色の瞳をしているって所でドキッとしたんだんだけど、その後王子は金髪だって聞いて安心した。
アオイは金髪ではなく銀髪だもの。どうやっても見間違える色じゃない。
「でも、セル王子は五年前だったかしら……。突然人と関わり合うのが嫌になったみたいで、地下に閉じこもってしまったの」
「引きこもった……」
「だから昔からいる人以外セル王子のことをあまり知らないの」
絶対に五年前に何かあったんだろうな。なんにもなかったらそんな、人が変わったみたいに地下に閉じこもろうとしないもんな。
「あ、話しすぎたわね。まぁ、セル王子は空色の瞳と金髪と覚えてくれれば……」
「はい」
とにかく一安心。アオイが王子じゃないってことがわかったから王宮の目は気にしなくていい。誘拐犯なんてことにはならないとわかって良かった……。
勇者が誘拐犯とか余りにも馬鹿らしい。
「ありがとうございました」
「いいえ、そんな」
はー……オレにフィーリアやガイオスみたいに鑑定できるスキルがあればいいんだけど、ないんだよね。ゲットしようにもどうやって手に入れるのかオレは知らない。
フィーリアがゲットしたときにどういう条件で手に入れたのか聞いてみたんどけど、何回聞いても教えてくれなくってねぇ……。
いつも、「秘密」って顔を赤らめて言われてしまうから、無理に聞き出すことができないんだよね。
ガイオスに至っては、持っていることを死ぬ前まで知らなかった。最後の最後で知らされたときは、ムカついたのをよく覚えている。
「あぁー……思い出したらイライラしてきたし」
思い出し笑いとか思い出し泣きならぬ、思い出し怒り?
「そういえば今日だっけ……」
昨日メンバーを決めたというのに、出発は翌日の今日。できるだけ早く、遅いとレステリアで対処が難しいから。
その他大勢の魔人たちはセレンティア教国から人が来て、そいつらが仕事をする。なんだかねぇ……。
見送るということで、オレは門にやってきた。オレが最後だったみたいで、オレ以外の王宮にいるクラスメイトはもうすでに集まっていて、それぞれ一時の別れの挨拶をしている。
「あ、結城くん」
「あぁ……」
三鷹が、友達と話していたのにそれを中断してオレの方へとやってきた。いいのかな。
「三鷹、怪我しないようにな」
オレの口から出てきたのはなんのひねりもないつまらない言葉。こんな言葉をかけたかったわけじゃないのに。
「うん、気をつけるね。結城くんこそ、倒れないようにね?」
「はは……倒れるのは抵抗不可避だからなぁ」
「生活リズムを整えて、バランス良く食べればいいの」
まるでオレの生活リズムが崩れているとでも……?思い返してみれば、夜に抜け出してなにかやったりが多いような……。
そのことを三鷹は知らないはずですよね。何でもお見通しですって?
「そうだね」
「そうだよー」
クスクスと面白そうに笑う三鷹は可愛いな……あ、悪寒が。どこかでニコリと誰が微笑んだみたいな………。
「国外行くのは初めてなんだし、最低限の警戒は怠らないようにな、三鷹」
「そうだよね、地球と同じじゃないもんね。ありがとう、マオくん」
「え……」
「ふふふ、じゃあね」
何、今の。三鷹がオレのことを名字じゃなくて名前で呼びましたよね?ね?
「主様、女ってすごいね」
「……テオドール!いきなり何を言ってるのかなー?」
テオドールが王宮の人に混じってオレに話しかけてきた。
「女は強かだなーって思っただけだよ」
「そうなのか?」
「そうだけど、主様がわからないならわからなくてもいいんじゃないかな」
「はぁ……?」
全くテオドールは何を言っているんだか……。フィーリアが強かなのはよく知っているけれど、フィーリアが特殊なんじゃないの?
「いいけど……どうかしたの?」
最初にメイドさんに王子の外見なんかを聞いてみたんだけど、人前に出ることがほとんどなかったらしくメイドさんは知らなかった。
だから騎士団の本拠地であるここまで聞きに来たんだ。これで知らなかったら諦めよう。
「王子様ってどんな方だったのかと思いまして……」
「どうして?」
あれ?聞いちゃいけないことだったかな……。急にキラの雰囲気がピリッとしだした。
「王子様を奪還するときに王子様がどんな方か知らなければ、奪還できるものもできないかなって思いましてね」
これは言葉のとおりで、助けるべき人の姿を知らなければ助けようがない。その人は助けることができないのだ。
オレが王子のことを聞くのはアオイが面倒くさい立場にいないか確かめるため。まぁ、でも、もうアオイは王宮破壊未遂っていう面倒くさい立場にいるのか……。
アオイが王子だったらアオイをどうするべきか、更によくわからなくなっちゃうじゃん?
「そう、よね。ええ、勇者が知らないとね」
キラは話してくれる気になったようだ。
「セルリアン王子……セル王子は、深い空色の瞳と王女様と同じとてもきれいな金髪を持っているの。それで、人懐っこくて……」
王子の名前はセルリアンというらしい。長いからセルって愛称で呼んでるのかな?
空色の瞳をしているって所でドキッとしたんだんだけど、その後王子は金髪だって聞いて安心した。
アオイは金髪ではなく銀髪だもの。どうやっても見間違える色じゃない。
「でも、セル王子は五年前だったかしら……。突然人と関わり合うのが嫌になったみたいで、地下に閉じこもってしまったの」
「引きこもった……」
「だから昔からいる人以外セル王子のことをあまり知らないの」
絶対に五年前に何かあったんだろうな。なんにもなかったらそんな、人が変わったみたいに地下に閉じこもろうとしないもんな。
「あ、話しすぎたわね。まぁ、セル王子は空色の瞳と金髪と覚えてくれれば……」
「はい」
とにかく一安心。アオイが王子じゃないってことがわかったから王宮の目は気にしなくていい。誘拐犯なんてことにはならないとわかって良かった……。
勇者が誘拐犯とか余りにも馬鹿らしい。
「ありがとうございました」
「いいえ、そんな」
はー……オレにフィーリアやガイオスみたいに鑑定できるスキルがあればいいんだけど、ないんだよね。ゲットしようにもどうやって手に入れるのかオレは知らない。
フィーリアがゲットしたときにどういう条件で手に入れたのか聞いてみたんどけど、何回聞いても教えてくれなくってねぇ……。
いつも、「秘密」って顔を赤らめて言われてしまうから、無理に聞き出すことができないんだよね。
ガイオスに至っては、持っていることを死ぬ前まで知らなかった。最後の最後で知らされたときは、ムカついたのをよく覚えている。
「あぁー……思い出したらイライラしてきたし」
思い出し笑いとか思い出し泣きならぬ、思い出し怒り?
「そういえば今日だっけ……」
昨日メンバーを決めたというのに、出発は翌日の今日。できるだけ早く、遅いとレステリアで対処が難しいから。
その他大勢の魔人たちはセレンティア教国から人が来て、そいつらが仕事をする。なんだかねぇ……。
見送るということで、オレは門にやってきた。オレが最後だったみたいで、オレ以外の王宮にいるクラスメイトはもうすでに集まっていて、それぞれ一時の別れの挨拶をしている。
「あ、結城くん」
「あぁ……」
三鷹が、友達と話していたのにそれを中断してオレの方へとやってきた。いいのかな。
「三鷹、怪我しないようにな」
オレの口から出てきたのはなんのひねりもないつまらない言葉。こんな言葉をかけたかったわけじゃないのに。
「うん、気をつけるね。結城くんこそ、倒れないようにね?」
「はは……倒れるのは抵抗不可避だからなぁ」
「生活リズムを整えて、バランス良く食べればいいの」
まるでオレの生活リズムが崩れているとでも……?思い返してみれば、夜に抜け出してなにかやったりが多いような……。
そのことを三鷹は知らないはずですよね。何でもお見通しですって?
「そうだね」
「そうだよー」
クスクスと面白そうに笑う三鷹は可愛いな……あ、悪寒が。どこかでニコリと誰が微笑んだみたいな………。
「国外行くのは初めてなんだし、最低限の警戒は怠らないようにな、三鷹」
「そうだよね、地球と同じじゃないもんね。ありがとう、マオくん」
「え……」
「ふふふ、じゃあね」
何、今の。三鷹がオレのことを名字じゃなくて名前で呼びましたよね?ね?
「主様、女ってすごいね」
「……テオドール!いきなり何を言ってるのかなー?」
テオドールが王宮の人に混じってオレに話しかけてきた。
「女は強かだなーって思っただけだよ」
「そうなのか?」
「そうだけど、主様がわからないならわからなくてもいいんじゃないかな」
「はぁ……?」
全くテオドールは何を言っているんだか……。フィーリアが強かなのはよく知っているけれど、フィーリアが特殊なんじゃないの?
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