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Christmas
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しおりを挟むさて、やって来ました! プ、レ、ゼ、ン、ト、交換! まぁ、古い習わしによって翌朝開封が鉄則なんじゃけどね! その為に明日は祝日である。
「今年は妾からはくじ引きじゃよ~っ! 女性から引くがよいぞ! 気に入らなければ翌朝誰かと交換しても全然構わなぬからな!」
どーん! とワゴンにのせた。
「「『鑑定』」」
んっ? なんかどさくさに紛れて誰か呟かなかったか? 思わず首をかしげると近くにいた執事に首をまっすぐに戻された。
そして順番が決まったのか一人ずつ引き始め、使用人達の全員が引くとそれらをしまい、新たに出した。
「これはエティ達のな? 年齢順に引くがよいぞ」
「「『鑑定』」」
「ん……?」
あれ? 父上とアールが無言で会話をしている。父上も念話が出来るのか!凄いのじゃ! 良いなぁ……。そんなことを思っていたが実際は「おい、教育係? お前、間違ってるぞ」「いやいや父親のお前がいけないんだろ?」と言うここ最近の争いの種となっている父親と教育係のしょうもない原因追求である。
くじ引きが終わるとまずは争っている父親達ーーは後回しにすることにした。
「母上~っ! セシリア様、コーデリア様、アンジェリア様~っ!」
仲良く歓談していた母親達に近寄った。
「これ、プレゼントなのじゃ!」
それぞれに手渡すと「まぁ! 綺麗な包みね」と褒めてくれた。うふふ~♪褒められたのじゃ~っ! えへへ~……と笑っていると母上に頬にキスをされた。
「リアちゃん、プレゼントありがとう。たくさん貰うだろうからリアちゃんとジェイルはお部屋に届けちゃったの。ごめんなさいね?」
「ううん! 良いのじゃ! 母上、プレゼントありがとうございます」
「やだ! やっぱり可愛い!」
ぎゅーっと抱き締められた。うむ、体に触れる胸が凄く柔らかい。父上達とは違ってこれはこれで良いのじゃ……。ただ、柔らかすぎて顔が埋もれたら妾、窒息死するかも……。
「あ、リアちゃん。ケーキはいつ出しましょうか……」
「うーむ、まだ料理が出てるからの……。次の鐘が鳴ったらでどうじゃろうか」
「ええ、わかったわ」
母上のふにふにから解放されて話をしていたときにふと思い出した。
「そうじゃった! アンジェリア様。これもプレゼントなのじゃ! プレゼントと言うよりも我が儘言ってケーキを作ってもらったお礼なのじゃけど……」
小さな封筒を手渡した。まぁ、中身は半日お手伝い券1枚なんじゃけどね。うむ、お金があまりかかってないの……。
「うふふ、リアちゃんありがとう。明日楽しみに開けるわね?」
「うむ!」
ニコニコと話をして終える頃には父上達の喧嘩は終わっていた。執事とジェイルが仲裁に入ったらしい……。
「父上~……っ! プレゼントなのじゃ」
「わぁ、リアちゃんありがとう」
そっと受け取ると鑑定をすることはなかった。うむ、翌日開封は昔からの慣わしじゃもんな! 鑑定も然りじゃろ。そしてアールにジェイル、執事とプレゼントを手渡した。明日のプレゼント開封が楽しみじゃな~♪
そしてケーキを出すとどよめきと言うかざわめきと言うか……。各々の衝撃がすごかったらしく賑やかだった。材料費は妾が出したとはいえ、時間停止したフルーツを魔導具により乾燥させた数種類のフルーツが盛りだくさんに入れられたパウンドケーキは仄かな酸味のレモン味のアイシングが塗られていてとても美味しかった。
半日ではなく1日券の方がよかったかの……。でも何度もアールの家にお泊まりするわけにもいかぬしの……。せめて半日券を2枚にしておくべきだった……。
パーティーは終わり……ではなく、子供は寝なさいと妾とジェイルは父上によって会場であるサロンから追い出された。
何気に楽しくなってきたところで追い出すとか酷くないか? アールの成人していない子供はアールが先程転移して連れ帰っていた。それはそれで酷いと思う。
「俺、この年でまだ早く寝ろって言われるとは思ってませんでした……」
「ジェイルはまだ良いのじゃ! 妾、生きてる年数だととっくに成人してるのじゃ!」
「いえ、姉上は言われても仕方ないかと……」
仕方なくない! 妾、大人じゃもん!
ドアの向こうは楽しそうである。2人は恨めしそうにドアを見つめながらため息をついた。
「……姉上、今日は一緒に寝てもいいですか……」
「うむ……。これで一人で寝るのは寂しいにもほどがあるからの……」
お互いお風呂に入ってから寝巻きに着替え、妾がジェイルの部屋に行くことにした。
コンコンコンコン……。
「ジェイル、入るぞ?」
「あ、姉上。いらっしゃい。…………久しぶりに見るとなかなかの迫力ですね、そのクマは」
寒かったのでお供にクマのぬいぐるみ(リアルタイプ)を抱っこしてきたのだがジェイルはクマをツンツンつついていた。
「とりあえず姉上。姉上はサンタさんになにかやる予定だったんですか?」
「ん? なんの話じゃ?」
「いえ、置き手紙が……」
ジェイルは手紙を手渡してきたので開いて読み始めると「良い子のジェイルくんへ。本来は寝てからプレゼントを渡すものなのだが、今回は姉君が悪戯を施しそうなのでそれを回避するためにプレゼントは置いていくよ。Merry Christmas」との文章が書かれていた。
「ん? 悪戯?」
「姉君って姉上のことですよね」
「…………あ、もしかして昨日父上と話してたの聞いてたのかの……。黒いサンタが来ても大丈夫な様に部屋に結界を張り巡らせておけば例え泥棒が来たとしても安心って話じゃったのに……」
「………………姉上、聞きましたよ? 前に城で反王家の貴族を生け捕りにしたって……。まさかそれをサンタさんに……」
ジト目で見つめられて「やるわけないじゃろ!」と怒るとにこにこ笑顔で見つめられた。
ちょっと生のカラフルサンタと黒サンタを見てみたい気もするが仕事を頑張っている人を生け捕りにするとかどんな極悪人じゃ! プレゼント配り終えたら労う予定でとりあえずテーブルに時間停止をかけたフードカバーの中に食べ物を入れておいたけど……。この分だと罠だと思って食べてくれないのじゃろうな……。
少し遠い場所にある壁をボーッと見つめていた。
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