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Christmas
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しおりを挟むわ~らわが~、夜なべ~をして~扇子~を作り始めた~っ! などと歌いながら龍の鱗を99枚1ブロック出して4人の扇子になるのはどれだ選抜を開催した。
「アンジェリア様は水色っぽいのグループ。コーデリア様は真っ青グループ。セシリア様は黄みが強いのグループ。母上は黒っぽいのグループじゃな!」
青い龍とはいえ鱗は全て同じではなく、どちらかと言えば同じ鱗は1枚とてない。オンリーワンな鱗。一点物である。とりあえず仕分けをして、4つでなくいくつかのグループができた。目的のグループだけを残してしまうとまずは水色っぽいのグループを査定する。
「うーむ、水色っぽいのグループは10枚。中々の素材か集まったの……」
1枚1枚手にとって見つめては鑑定をかけた。どうやらこの青の龍は水龍の仲間らしく水属性が強いらしい。もしかしたら扇子にすれば扇ぐと涼しい風が? よし! 早急に作らねば! …………あー、よし、さっきしまったほんのり赤みのある妾好みの鱗で妾のをちと作ってみるか……。試作品じゃな!
選抜は一先ず休止した。どれもみんな綺麗じゃから落ち着いて決めたい。
尤もな理由をつけたものの本当は扇子がちゃんと作れるか気になっただけである。
「よし、ここら辺じゃろか……。『裁断』! うーむ、切り口が少し危ないみたいじゃな……。うーむ、よし『面取り』! 『研磨』! ふっふっふ、まさか小さい時に無尽蔵に手当たり次第、職人やら冒険者やらのスキルを複製して役に立つ日が来るとはな!」
だが言わせて欲しい。わざとではない。決して意図的に複写したわけではない。なにもできない日々が続き、出会う人出会う人、みんな何かしら出来ていて羨ましかったんじゃもん……。んで良いなぁ……と思ってたら複写していた。決して! わざとではない。
わざと複写したのは劣化版になるとはいえ便利そうな父上の鑑定スキルと、アールの浮遊魔法。執事のは最強版なので複写は通常の身体強化スキル。いつもお世話になってるのじゃ!
父上とアールは特に妾が興味を示したものはその場で体験させてくれて、体験したらしたで知らないうちにスキルが生えてたりする。それに気がついてからは劣化版の複写をするよりも体験して通常版を生やした方がいい。まぁ、領民の仕事を奪うことはしたくないので頼めるものは頼み、無理そうなものは自分で作成を繰り返すこと数百年。妾、膨大なスキルを手にいれたから確認作業が大変で一部を残して大部分を隠すことにした。因みに魔法なども大半は隠されている。
「さてと? ここに小さな穴を開けて? うーんと、上の部分はどうなってたか……」
ガサゴソとポシェットの中を探すと以前買ってもらった物がいくつか出てきた。それを確認するとどうやら上も穴を真ん中にひとつ開けて紐を通してある。うーむ、ドワーフの爺のところで教えてもらった方が良いかの……。開いては閉じてを繰り返しながら思案すること数十分。何とか試作を作り終えた。鑑定してチェックをする。
「『鑑定』」
ブルードラゴンの鱗で出来た扇子。作ろうと思ったお前、凄いね! 硬かったでしょ! この扇子は火の属性も混じってるから扇ぐと暖かい風が来るよ。冬向き。
「妾はなにもつっこまない。ふむ……冬向きか……。今が使い時じゃな」
試しに扇ぐと確かに暖かい……? なんか地味に暖かい風が来る気がする。…………この紫の鱗が火の属性が混じっているとするなら母上にあげようとしてる黒の鱗って……闇……じゃろか……。つまりはアンジェリア様とコーデリア様にあげようと思ってるのは夏向きとなるのか? それにしても龍の鱗の時に鑑定したら見てわかる通り龍の鱗ーーとしか教えてくれなかったくせに扇子に加工したら饒舌じゃの……。ま、お堅いよりは良いか。
「ふにゃ~ぅわ……。うむ、片付けて寝よう……」
妾、ねむねむじゃ。
「えーっと、父上とジェイルの美味しい粉果実をキューブ型にしたじゃろ? 母上たちの扇子も出来た……。お手伝い券と肩たたき券も作った……。ジェイルのおまけのハンカチ刺繍も出来たし……。うーむ? 忘れてないはずなのに忘れた感がするのはなぜじゃ?」
クリスマスはもう目の前に迫っている。てか明日? なのになぜこんなにも釈然としない……。しない………………あーーーーっ!
「ヤバイ……のじゃ」
妾としたことが!侍従と護衛騎士達へのプレゼント用意してなかった! ……のじゃ。よし、作ろう。
「わ~らわが~夜なべ~をして何か~を作ろうとしてる~♪……がなにも浮かばない~♪」
さて、困った。妾の手持ちでサクッとサクサクッと用意または作れるもの……。んで量産できるもの……。
龍の鱗、オーガのお菓子、魔物肉、石英各種、貴金属インゴット、屑石とはいえ魔石。さて、ここから加工するのに時間がかからないものを選んで明日に備えて寝なければ……。
「よし、今年はくじ引きで良いか! 龍の鱗のペンダントと石英のペンダント。魔石のペンダント。引いたもん勝ち! よし、これじゃ!」
決まったらサクサクッと龍の鱗を取り出して長方形などいろんな形に裁断していく。あ、あれ?クマが3つあるが仕方ない。ミスだミス! 切り抜くと面取りと研磨を行いピカピカにする。そして金属を加工して作ったチェーンに通す。余ったら自分で使えばいいので多目に作ることにした。出来上がったものは絡まらないように薄くスライスした小さな木にくくりつけて固定させた。それを全てやると以前可愛かったので大量に買った小さなカードを入れる為の封筒に納めた。しかし封をするのに困った。仕方ないので仰々しいとは思ったものの蝋でやることにした。もちろん印はないのでツルツルした丸いものを作って応用。箱はそこら辺の……。妾の帽子入れで良いかな……。うむ、それにしよう! ザラッと中に入れてポシェットにしまうと転移してきた父上にバッタリ出くわし、「まだ寝てなかったの? 幼い子が夜更かしするんじゃありません!」と怒られた。妾、大人なのに! 不満げにしていると「リアちゃんは悪い子だから黒いサンタさんが来るかな……」と言われた。たしか黒いサンタさんは悪い子に取り出したばかりのような動物や魔物の内蔵を投げつけてプレゼントという嫌がらせをするんじゃったか……。
「うーむ、浄化魔法と処理をすれば投げられたものは焼けばちゃんと食べられるのじゃろうか……。ホルモン焼いたの妾好きじゃし、それはそれで中々嬉しいプレゼントーー」
「違うでしょ! 食べれるとか問題点はそこじゃないでしょ!?」
「ん? ……うーん、じゃあ……部屋が汚れないように結界で被っておけば良いのかの? 何があっても部屋はピカピカじゃし……。因みにサンタを見てみたいから生け捕りするような罠も仕掛けたらいいじゃろか……。泥棒も捕まえられたら一石二鳥じゃし」
「や、め、な、さ、い!」
……何で怒られてるのじゃろう? サンタを生け捕りとか言ったからかな……。でもなぁ……。あれ、サンタって精霊族の中でも聖霊って言われる存在らしくて、神と同等とも言われるとか言われないとかーー。
まぁ、非常に隠密行動が得意らしくて起きているやつにはプレゼントを贈らないという徹底ぶり。妾も何度か貰えていない。しかも子供にしかくれないんじゃよね、サンタって……。まぁ、大人は起きてるからくれないだけとも言うけどーー。
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