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閑話・今は昔……
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しおりを挟む「クリスはどんな街にしたいの?」
「なんこーふりゃく」
「……あぁ、攻められても負けない街が良いのね? うーん、ならそうだなぁ……。中央に商店とか店を固めて……。フローライトが街を見渡せる高台に住むのを嫌ったからこのままで行くとして……」
大きな紙を広げて色々書き始めるとクリスタリアも鉛筆で書き始めた。
「クリス? ここは?」
「メインシュトリートなのじゃ。飲食店とか服とか宿とかのお店。家賃高め! 裏手はちょっとした小しゃなお店。特に犯罪関係じゃなきゃ不問でメインシュトリートよりは家賃安め! どちりゃも2階に店主が住めたりゃ良い」
「なるほど。これは税金の部署の管轄なのかな?」
「その回りに畑つきの家を建てて家賃として領の税金を納めてもりゃうのじゃ。その他に国の税金もあるかりゃ農民からはお金をあまり取っちゃダメ」
クリスタリアは毎日数冊の本を読み漁るので大人顔負けのことを言うこともしばしばある。それを父であるフローライトも教育係であるルノアールも、執事であるリシャールも褒めこそすれ子供らしさとかけ離れていることには気にもしていなかった。
「確かにフローライトもクリスの作った立派な土の家を見て住めたら良いのにねって言ってたし……。うん、すぐ改良してみんなに暖かい家に住んでもらおうね」
「あい!」
そんなこんなで時間はあまりかからず貸家の魔法は出来上がったのだが、如何せん殺風景なことに気がついた2人だった。
「家具つきにする?」
「あい……」
常識とか色んな面で無視し続けた結果、貸家には備え付けのカーテン、竃、食器棚、テーブルにイスが4脚。簡易ではあるがベッドが4つと暖炉がひとつ。
主に竃や暖炉は土なので何とでもなるが家具は木の為に在庫を確認に出掛けた。
実は小さな村などは土地の半分以上が湿地帯なので作ることは断念し、その代わりに大きな領都を作る方針はここに移住してから何ら変わらない。でも年月が過ぎれば求められる機能も代わり、住人も増えていく。少ないうちにどうにかしてしまいたいのは誰しも同じ思いである。
湿地帯を住む場所にするため、クリスタリアの魔法で乾いた土地に変化させ、いく場所がなくなった水達はルノアールが湖に送った。そして乾いた土地にいた木は一気に水分が抜けて枯れてしまったので「ごめんなさい」をしてから伐採して庭の一角に結界を張ってストックしている。かなり大量だったので使い道を探していたのたが、今回の家具に使ってしまえと言うことになった。
一応管理をしていた執事にその事を言うといっぱいあるので構いませんよと良い返事をもらえた。ので快く使うことにした2人であった。
それから2か月という月日が流れ、住人達も暖かい家で暮らし、領の運営管理も慣れ落ち着いてきた頃。
「ふぇぇ……」
「え、クリス? 怖い夢でも見ちゃった? 大丈夫だよ? ほら、泣き止んで?」
「リアさ……。クリスタリア様? いかがなさいましたか?」
「ふぇぇ……。父上がいないのじゃ~……」
と、泣きじゃくる幼女にルノアールも執事のリシャールもメイドや侍従達も「とうとう来たか……」と、心の中で思っていた。
彼らが王都へ旅立ってから毎日毎日、魔物の手も借りたいくらいに目まぐるしく忙しかったのだ。ソレこそ考える暇などないくらいには。しかし、一通りのことが落ち着いた今、大好きな父親の不在が寂しくなったのだろう。
「ふぇぇ……。わりゃわ、父上が心配しにゃいように頑張ったのじゃあっ!」
どうやら甘っあまに褒められているクリスタリアは2人に褒められていても実質1人欠けた状態では満足も安心もできなかったようだ。
「よし、クリス。先生が髪の毛を結わいてあげる! 寂しくなったら頭を撫でるんだよ? 先生が側にいるからね?」
「ふぇぇ……あい……」
「リア様は甘えん坊ですねぇ……。ではこれを貸してあげますね? このリボンで髪を結べば私もお側にいますよ? 元気出しましょうね?」
「ふぇぇ……あい!」
良い子良い子と頭を撫でられまくって空気を読んだメイドがブラシなどを用意していた。
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