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妾じゃなくても……再び?

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「あー、エメラール領に来る前日に不幸の手紙が来たような……。嫌な予感しかしなくて、開けたくなくて少し放置したくらいかの……。開けたら開けたで執事が鬼に変化したのじゃ。妾、ビックリした!」

 そう言うと大人3人は「彼は変身するもなにも鬼人族だよ」と心のなかで思ったとか……。

 クリスタリアはとりあえず手紙が届いてからの説明を事細かに話始めると目の前にはハイエルフの鬼、エルフの鬼、吸血鬼の鬼……あれ? 吸血鬼はある種、もうすでに鬼じゃね? と思いながらも止めることなく見つめていた。

 彼らは低ランクではあるがその場にいた無害とは言えないが魔物を見るも無惨な……。いや、影も形もない……。ミンチ? ペースト? 咄嗟に張ったクリスタリアの結界のなかで魔物が一匹、怯えまくっているのはどうしたものか……。
 そして彼らはペーストなのにまだまだ攻撃している。

 ワラワ、怖スギテ、気絶シソウ……。

 次のターンで殺されるのは決定している魔物を守りながら意識はどこかに旅立とうとしていた。

「フローライト。お前、子供の教育どうなってんの?」
「家庭教師をつけまくって俺は仕事に専念してた。どちらかと言えば母親の仕事だろう」
「…………はぁ? クソガキの悪戯に堕ちた奴に何が出来るって?」
「…………ちっ、俺は上がってきた報告しか知らねぇんだよ! 家庭教師が金積まれて成績を改竄しろと言われて改竄したら仕事に追われた合間にチェックする俺はどうもできねぇよ!」

 ペーストに攻撃して裏ごししたかのような滑らかなそれはダンジョンに直ぐ様吸収された。…………が、ダンジョンが空気を読んだのか魔物が全く現れないのは何故だろう……。

 喧嘩している2人の間に入ることはなく冷静を取り戻したのか、もしくは無理矢理押さえ込んだのか……。
 冷静になったアランだけは体を魔法で綺麗にしてから安全地帯に戻り、怯えてはいないが現実逃避をしていたクリスタリアを膝にのせてくつろぎ始めた。

「リアちゃん、俺とクッキーでも食べようか……。はい、あーん」
「あーむ……。モグモグ…………」

 冷静になった彼は彼で子供らしい彼女を今は甘やかして愛でることにしたらしい。

「あ、牛が出た! あれを一体だけ守らねば!」

 突然クリスタリアは我に返り、守っていた魔物を解放して牛の魔物を一体だけ守り始めた。そしていまだに鬼の彼らは現れた魔物を倒して倒して、倒して倒して、倒しまくっていた。

「リアちゃん。とりあえず魔物狩りはパパ達に任せて、残ってる土を分解しちゃおうか」
「うむ……」

 岩盤を分解する姿は公園で砂いじりをする子供と何ら変わらないのでアランは微笑ましく間近で見守ることにした。

 フローライトとルノアールが冷静になった頃には彼らの鞄に魔物肉ジビエが大量にストックされた状態で結構な時間が経っていたのは笑い話である。





「あー、クリス。ゴメンね? 牛さんいっぱい殺っちゃって」
「リアちゃん、楽しみとっちゃってゴメンね?」

 クリスタリアは今現在、かなり前に作業を終えたためアランの膝の上で紅茶を飲みながらクッキーを味わっていた。

「お肉……」
「んーとね、だいぶ貯まってたよ? 99個が5個かな」
「あ、俺も同じくらいだよ」

 次の瞬間、ただでさえ無表情でも可愛い顔が綻ぶような笑みを見せたので皆で愛でることにした。





 その日の夜。
 クリスタリアはルノアールと海に土を勝手に貰うために転移をし、フローライトとアランはクリスタリアの鞄から中庭に置き去りにされた玄武岩の山々とクッションのように平らに敷くための砂の山を見つめていた。

 一応、置いていかれたソレは道路に敷く事にしたのでクリスタリアとルノアールが加工した角が取れ、比較的平らな大きめの石に統一されているが如何せん中庭を埋め尽くすように山積みにされているので誰にも見られないようにアランのほぼ空っぽな鞄にせっせとしまっていた。

 乱暴に放り込んでも鞄の中は異空間。
 入れた時の姿を保っているので割れたり欠けたりなどしないので気兼ねなく放り込める。

「やっぱり便利だなぁ……。この鞄……」
「ですね……」








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