吸血鬼領主~体は子供体型でも妾、大人じゃもん!~

けいき

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妾じゃなくても……再び?

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「ただいま」
「ただいまなのじゃ……」
「リアちゃん、お帰り。機嫌はなおったかな? ごめんね? 無理難題を突き付けて……」
「うーむ……。アラン様。妾、魔物肉がほしいから夜までダンジョンで遊ばせてくれたらなおるのじゃ……」

 アラン様の服の裾を掴んで下に小刻みに引っ張るとアラン様に抱っこされた。

「うん、勿論良いよ。…………でもお肉悪くならない?」
「大丈夫! 時間停止出来……………………」

 途中で気がつき言葉を止めたが既に遅かったらしくポーカーフェイスなぞ取り付ける余裕はなく青い顔をしていたと思われる妾。そして自分から暴露するとかアホなの? と言いたげな顔の父上とアール。アラン様は「へぇ? 時間停止とかそんな便利な機能があるんだぁ~……」と呟いているが意地の悪そうな顔をしているのは妾には指摘できそうにない。

「「あーあ……」」

 父上とアールの呆れたような声にやってしまった……と言う現実を突きつけられた気がする。秘密じゃったのに滑らせて言ってしまったのじゃ……。

 アラン様、数分前の部分だけ記憶喪失になぁーれ!

 現実逃避してみたもののアラン様は抱っこしてくれているのでかなり近く、妾の可愛らしいピンクのポシェットを手で持ちながら何故かカバンではなく妾を見つめられていた。

「新しい種類の……。食品専用のアイテムボックスが出たのかと思ったんだけど違うみたいだね」

 ニッコリ笑う姿は父上やアールや執事と同じくらい腹黒い感じだった。

 あれ? 妾の周りは腹黒い感じの人しかいない気がする……。ジェイルは腹黒と言うよりもシスコン? うっすらヤンデレ? まぁ、宜しくはない属性だとは思う。お姉さまとしては可愛い弟ではあるけども……。

 それからと言うもの、妾は顔を真っ青にしたまま大人しく抱っこされていた。

「フローライト様? ルノー様も知ってるみたいですね」

 3人の脳裏に今現在、アメジールで領主の代理の代理をしている執事を彷彿とさせた。

「リーアちゃん♪」
「ぅあい!」
「「「うあい……」」」

 咄嗟に出た声が間抜けな返事だったが何故か可愛いと言われた。…………解せぬ。腑に落ちぬ。何度も言うが妾、体が小さいだけで可愛くない。小動物みたいなこと言われても嬉しくない。

 そしてカバンの説明を求められ、教えてくれないと他の人に時間停止の鞄がどこにあるのか聞いて回っちゃうかもなぁ~と軽く脅され、諦めたアールが簡単に説明をした。

 妾、気を抜きすぎてた! 気を付けねば……。

「お兄ちゃん、仲間はずれみたいで寂しいな……。悲しいな……」
「あ、う……」
「良いなぁ、3人はお揃いかぁ……。良いなぁ……」

 実はコーデリア様。いきなり本番はしない堅実なタイプらしく、父上のタイプとアールのタイプの試作品を作っている。それも妾がもらい受けたのでプレゼント出来ることは出来る。頃合いを見て執事にいつも世話になっているお礼に父上のタイプの物をプレゼントしようと思っていたのだ。ちなみに素材はレアと言えばレアなのだが……。取れる量がなかなか多いので比較的安く売られている素材なのだ。主に帽子や靴に使われているオークのもの。

「リアちゃん。アランを仲間にするために作ってあげたらどうだろう?」
「買収?」
「そうとも言うね」
「買収されてくれるのかの?」

 面倒くさいので直接聞いてみると彼は少し苦笑いをしていた。当たり前か!

「買収されてくれるなら妾、アールと同じ形のポーチ持ってる! コーデリア様がオークの革で出来た試作品をくれたから!」
「同じ加工をしてくれたら買収されちゃおうかな」

 なんと、アラン兄様は買収されるのを口約束だがしてくれそうだ。そして口約束だが約束は守ってくれそうだ。

 妾は早速ポシェットから取り出すと背を向けて加工を始めたが何故か3人に囲まれるようにして見学されていた。

「クリス……。見せられないんだから結界くらい張りなよ……。前に教えたでしょ? 透明じゃない、不透明な中を見せない結界の張り方を……」
「あ、う……」
「何だかエメラール領に来てからリアちゃんはリラックスしてるのかな? 少しお間抜けさんだね。可愛いけど」
「う……。父上~……。妾、父上が言うほど可愛くないのじゃ~……」

 青かった顔を今度は真っ赤にして苦し紛れのような声でそう反応すると大人3人はクスクスと笑っていた。

「クリスは反応するのは可愛いって言葉なんだね……」
「しかも否定するためとか……。なんで自覚しないんだろ」
「女の人ってさ、なんでも可愛いって言えば良いと思ってるからじゃない? 犬や猫、赤ちゃん、子供。綺麗にデコレーションした菓子。うちの奥さんもケーキとか見ては毎度毎度『可愛いですわ~っ! 食べるのがもったいないくらいに!』とか言いつつも少し眺めてからすぐに食べ始めるし……。あれ、意味わからないんだけど……」

 アランのその言葉にフローライトとルノアールは愛想笑いしか出来ないのか何とも言えない顔でハハハッと笑っていた。

「…………つまりはリアちゃんは子供の姿だから無差別に可愛いと言われるって思ってるのか……。俺とマリーの間に生まれた子供にしては恐ろしく整った顔で生まれてるのに……。化粧もなにもしてない状態でコレだから本当は外に出したくないくらい心配なのに……」

 なんか父上が親バカな台詞をはいている気がする……。父上のうちの子可愛いフィルターをどうにかして剥がしたいのぉ……。きっとアールもいつものように便乗して一緒に話始めるだろう。何故かアールも親バカ発言するしーー。

 妾、いつか羞恥心で死ねる!!!!!!

 とりあえず放置することにしたのかクリスタリアは作業を開始した。

「でもフローライト様。リアちゃんが城にちょくちょく来るようになってからバカ共に目をつけられたのか色んな貴族の奴等が来るようになったよね……。いつも仕事サボりまくってるくせにさ……」

 …………うんっ? 聞き捨てならない台詞が……。








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