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妾じゃなくても……再び?

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「わぁ、クリス良かったねぇ。良い感じに濁ってるね~っ!」
「うむ! 理想的なのじゃ!」
「理想的……ですか……? 汚れてるのに……?」

 前もって言われていた通り少し小さめの湖は少しというか濁っていた。いつも思うが雪解け水や湧き水が溜まった湖はどうしたらヘドロが溜まったり濁ったりして汚くなるのか……。もしかして水中魔物? それとも雑食の魚?

 とりあえずアメジールの拡大させてしまった湖と比べると小振りだが立派な湖なのは違いない。ついでにいえばそこには何が埋まっているのか……。考えただけでもワクワクする。以前、アールからもらった湖底の土は大ハズレ(出てきたものが石英な時点で世間的には大当たり)だったから今回の期待値はでかい。

「それにしてもかなり濁ってるけど綺麗になるのかな……。なるんだろうけど……」
「クリス。フローライト達の暇潰し用にダンジョン魔物部屋用のテントを張ろうか。雨降ったら凌げるし……。あとテーブルセットと本棚ね? あぁ、そうだった。今日のお昼はね、アンが手によりをかけて昨日手に入れた肉で作ってくれたよ? 新作だって。お外で食べようね」
「っ! やったぁ! 父上~っ! お昼、魔物肉ジビエ~っ!」

 嬉しさのあまり抱きつくと「良かったねぇ」と思いきり頭を撫でられた。

 そして一瞬忘れかけたがアラン様に「湖底の土を少しください」と言うと笑顔で「どうぞ」と言われたので気が変わらないうちに少しと言ったわりにはごっそり頂いたクリスタリアであった。

「少しって言ったわりにはガッツリもらったね……。水、増やしておこうか」

 慣れた手つきでルノアールは水に対して大量の水で攻撃をすると水かさは一気に高くなり、水不足? なにそれ、美味しいの? 状態だった。

「リアちゃん、少しって言ったのにあんなに水かさが減るくらい貰うって……。ダメでしょ? もぉ……。アラン、すまないね」
「いえ、構いませんよ。湖を綺麗にしてもらえる礼としては少ないかと思っていましたし……」

そう言うと微妙に怒られたクリスタリアはしょぼくれていたのだがアランの言葉により笑顔に戻った。そこからは元気に波打ち際に座り込み片手を水の中に、片手は陸に伸ばしていた。そして少しするとキューブ状の何かをポンっと排出していた。

「……あの、風邪をひかないですよね……。夏場とはいえ、湖の水温は低かったはずですが……」
「たぶん大丈夫でしょ。リアちゃんは土属性が最強のせいで雨の日に傘や雨具を着けないで外に出ても一切濡れないから……。それに熱を出しても可愛いだけだから全然構わないよ」
「確かに可愛かったよねぇ……。薬、ヤじゃ~って言いながら涙で目をウルウルさせて結局飲むし、ご褒美の甘いものを与えたら笑顔に戻ってスヤスヤ寝始めるもんね……。あれは奥さんたちも凄く癒されてたよ?」

 男三人はテーブルセットでお茶を楽しんでいた。
 そして話の内容は魔物肉だった。なぜあそこまで魔物肉を集めているのか……から始まった。それをルノアールが説明するとフローライトはクスクス笑い始め、アランは何度目なのかと言うくらい目を見開いて驚いていた。
 簡単に言えば天変地異がいつ起こるかわからないので備蓄である。ただし、何年分なのかは不明である。

「あ、たまってきたから手伝ってくるよ」

 ルノアールは席を立ち、クリスタリアに声をかけると鞄を受け取ってキューブ状の吸い出したヘドロをしまっていた。

「昨日思ったけど、オーガってもしかして美食家なのかな……」
「オーガと一緒にしたら大ひんしゅくを買うけど魔人族の種族で鬼人族と言われる種族は美食家が多いよ? 食に凄くこだわりがあるみたいで天職でも料理人がかなり多くいるよね。しかも体力のある種族だよ? 私の専属だった執事で名前がリシャールって言うんだけど、今はアメジールの館の執事長。いや、家令と言うべきかな? まぁ、そんなのが居るんだけど彼も鬼人の種族だしね……。私が小さいときは同じ年なのに背も高くて力も強くて「なに、コイツ……」って思ったくらいだよ。ほら、吸血鬼は魔人族の中でも長命だけど一番病弱だから余計だろうけどね……」







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