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妾じゃなくても……再び?
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しおりを挟む「うにゃぁ……」
朝(昼前)起きると、父上とアラン様が大きな地図を広げていた。
「おはようごじゃ……ございます」
「リアちゃん、おはよう。気分は? 機嫌はなおったかな?」
「………………うぅ……」
思い出したらまた涙が溜まりそうになり、父上が抱っこしてくれた。
「リアちゃん。ルノーは今、学園で教師たちに指示をしてるからもう少ししたらこっちに来て遊んでくれるから我慢しようね? うん、良い子良い子」
思いっきり子供扱いされたが、冷静ではなくても自分の行動を省みれば到底大人とは思えずーー。素直に受け入れてみようかと思う。
じゃって、父上はたぶん無理をして仕事を終わらせたからこうやって甘やかすように遊んでくれるのだろうし……。もちろんアラン様も……。アールも……。
うっ! 妾、物凄く迷惑かけてる! ーーけども!
「父上~っ! 大好きなのじゃ~……」
「ふふっ、パパもリアちゃんのこと大好きだよ」
と話していると側にいたアラン様は何故か凄く優しい目をして見守り体制だった。何だか急に恥ずかしい!
そして話を戻すと今は父上たちは地図でこのエメラール領全体をチェック。しかも領都の詳細な地図も広げられていた。
「…………攻められたら弱そう」
「え!」
……あれ? あ、妾の心の声が駄々漏れしてた。
でも仕方なくないか? 門から一直線で領館に行けるとか……。しかも坂もなし。遮るものなし。アメジールは妾がいろんな人の意見をもとにかなり弄っている。デザインは雲の巣のように放射状ではあるがメインストリートは直線ではないし、緩やかな坂や裏路地は階段もある。水路もあるし迷路っぽくなってるところもある。行き止まりも作ってあるしの……。騎士達の巡回コースは多数あり、メインストリートの警備から迷路っぽくなってるところを重点的に回るコースもある。犯罪は減らしたいからの……。
しかし平和とはいえ辺境伯爵家の領都防衛力が低くて良いものなのだろうか……。もう少し複雑な方が……。いや、住む人からしたら分かりやすいけども、子供に優しくてかなり分かりやすいけれども!
でもなぁ、妾、ここまでバッシングしておいてなんだけど、建造物とか作るのは得意だけど戦略とか防衛とか勉強してないからなぁ……。
ただ妾がエメラール領を攻めるとして罠とか想定しながら進むにしても何かもう……。すぐ落とせそうな気がする。
「お待たせ~……。あ、クリス。起きたの? ホームシックは治ったかな?」
転移してきたアールは一目散に妾のところへ来て抱っこするなり機嫌の確認をしていた。そしてソファーに抱っこしたまま座ると妾の髪を優しくブラシでとかし始めると楽しそうに髪とブラシを片手に笑顔だった。
「クリス、今日は何をするの? 髪はアップにする?」
「うむ! 暑いからアップにするのじゃ」
わかったよ~と、ソファーに妾を残してアールは背後に立つと普通に髪を纏め始めた。それを見た父上とアラン様が「メイドにやらせないんだ……」となんだか複雑な心境と言うのかなんとも言えない表情をしていた。
アールは父上たちが王都に行ってから妾が寂しくてグズった翌日はこうやって髪の毛を結ってくれる。それは年々上達し、メイドを逆に指導していたりする。
「あ、フローライト。反対側のリボンを押さえててよ」
「え、あ、あぁ……」
父上も来るとなると大掛かりなのじゃろか……。今はアールはリボンを巻き込んでいるのか編み込んでいるのか……。サイドの髪を三つ編みにしているようだった。
「ルノー? 何でルノーが髪をやってるの?」
「ん? クリスはフローライトが王都に行ってから寂しくなると昨日みたいに時々グズり出すんだよね……。んで翌日も引き摺るんだけど、こうやって髪をやってあげると側にいなくても髪を纏めたのは俺だから安心するみたい。ほら、仮にも領主だからぬいぐるみをもって仕事はできないでしょ?」
「うっ…………なんか心を抉られた気がする」
とりあえずクリスタリアに水分補給をさせてから馬車ではなく遠乗りスタイルで乗馬にすることになった。理由はクリスタリアが昨日のダンジョン帰りの短距離ではあるのだが、その移動での乗り物酔いが原因だった。本日は曇り。雲も分厚く、太陽が出る気配がないので大丈夫だろうと言う判断なのだが……。もしものためにクリスタリアが大きなマントでグルグル芋虫再び! なのは仕方ないことだと思われる。
「移動手段はわかったけど、今日はどうするの?」
「夜は昨日と同じで道の舗装じゃけど、昼間はダンジョンへ行くのかの?」
「いや、今日はかなり薄暗いどんよりした曇りだし、湖へ行ってみない?」
そうして一行は湖へ行くこととなった。
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