吸血鬼領主~体は子供体型でも妾、大人じゃもん!~

けいき

文字の大きさ
上 下
83 / 134
妾じゃなくても……再び?

しおりを挟む

「リアちゃん。土の様子はどうですか?」
「ふむ、全体的にこの農地一帯と言うよりもここら一帯は地面が粘土質みたいじゃの……。コレでは水捌けが悪くて野菜が育たないのも仕方ない。でも水を与えないとカッチカチに固まるしの……」
「そうでしたか……」
「……と、言うわけで湖に行こうなのじゃ!」

 妾の突発的な言葉に父上以外は困惑していた。

「あ、あの? アメジールと比べると小さいですし、かなり汚れてるようですよ?」
「うむ! なら更に理想的!」
「は?」
「ちなみにアールが粘土質で育つのは里芋と米って言ってたのじゃけど、育ててみる価値はあるのではないかと妾は思う」

 そう言うととりあえず湖は明日にして今は屋敷に戻って夕食にしようと言うことになり、妾は父上に抱っこされていた。

「妾、歩けるのじゃ!」
「リアちゃんは可愛いからパパが心配なの。ほら、ちゃんと傘を持って? 夕方とはいえ太陽が出てるんだから……」
「うぐぐ……。そう言えばここの道は領都なのに舗装してないのかの? 馬車に居たときガタガタと凄かったのじゃけど……」

 アメジール領は妾が赤ん坊と言うよりも幼児期に魔法の練習でアールと夜な夜な土魔法で舗装したのでデコボコがいっさい無い道であり、時間が経つに連れ人が増え、煉瓦を敷くようになった綺麗な道路である。
 もしやこの道が普通でアメジールが特別なの……?

「リアちゃん。あのね? 王都は栄えてるし国の中心だから当たり前と言うとアレだけど、アメジールが特別なだけだからね?」
「でも土魔法でどうとでもなるんじゃろ? アールがそう言ってたのじゃ!」
「ルノーもあの頃は世間知らずだったからね……。仕方ないよ……」

 まさかのアールが世間知らずだった事実!

 妾がポカーンと口を開いて呆然としていると道路の舗装は土魔法でどうとでもなると言う言葉に唖然とするアラン様がいた。

「えっと、フローライト様? どう言うことですか……。舗装って魔法でできるのかな……。だって魔法って寝たら消えるよね」
「だから、土の中の水分に対して土魔法で攻撃するらしいよ?」
「……は?」

 屋敷につくと見せてほしいと言われ、玄関から門までのアプローチを舗装することにした。

 玄関の前にある段差に座り込み、土をペタンペタン叩きながら水分量を感じ取るとどうやら水捌けが悪いらしい。さすがは粘土質。

「よし、やるかの! あ、誰も範囲内に乗らないでくれなのじゃ! 死んでしまうのでの?」
『え、死ぬっ?』

 使用人含め顔を真っ青にして一斉に離れるとフローライトはクスクス笑っていた。

「よし、では! 『岩の雨ロックプリュイ』」

 妾の天敵ーーではないが地面の水分に向けて攻撃をすると岩で地面はボッコボコ。周りは更に酷くなった道に呆然と立ち尽くしていた。

「ふっふふ~ん♪ 『大気圧アトモスフェール』」

 空気中の圧縮した物を地面に垂直に叩きつけると一瞬だけ振動が来たが見事に岩が潰され、上からの圧力により地面はまっ平らになった。まぁ、俗に言うパワープレイ。プレス加工である。

「うわぁ、久しぶりに見たなぁ……。この魔法……。前はルノーが担当してたんだよね? これ、無属性魔法だもんね……」

 楽しそうなのはフローライトだけで周囲の人はアラン含めて何も言えない状態。数人は気絶しているものもいそうだ。

 実際、この舗装方法は副産物でクリスタリアが放った岩達を証拠隠滅のために当事教育係だったルノアールが素早く証拠隠滅に魔法を使ったら綺麗な地面が出来上がったと言うのが始まりである。
 当初から少しばかり雑な2人組であった。

『………………』





 ……あれ? 妾、なんでここにポツンと立ってるんじゃろ? 妾でないとダメな理由が思い付かない。

 そしてふと我に返った。ーーと言うか飽きただけとも言う。

 しかも魔法の種類を教えたのだから後は好きにヤったら良いんじゃないかと思うのじゃが……。ーーだめ?









しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~

saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。 前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。 国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。 自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。 幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。 自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。 前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。 ※小説家になろう様でも公開しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人Aの俺は女主人公を助けたらハーレムを築いていた

山田空
ファンタジー
絶対に報われない鬱ゲーというキャッチコピーで売り出されていたゲームを買った俺はそのゲームの主人公に惚れてしまう。 ゲームの女主人公が報われてほしいそう思う。 だがもちろん報われることはなく友人は死ぬし助けてくれて恋人になったやつに裏切られていじめを受ける。 そしてようやく努力が報われたかと思ったら最後は主人公が車にひかれて死ぬ。 ……1ミリも報われてねえどころかゲームをする前の方が報われてたんじゃ。 そう考えてしまうほど報われない鬱ゲーの友人キャラに俺は転生してしまった。 俺が転生した山田啓介は第1章のラストで殺される不幸の始まりとされるキャラクターだ。 最初はまだ楽しそうな雰囲気があったが山田啓介が死んだことで雰囲気が変わり鬱ゲーらしくなる。 そんな友人Aに転生した俺は半年を筋トレに費やす。 俺は女主人公を影で助ける。 そしたらいつのまにか俺の周りにはハーレムが築かれていて

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

処理中です...