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妾じゃなくても……再び?

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「あ、マンティコア! 久しぶりじゃの! マンティコア! 妾に毒針おくれ~っ! あと毛皮と爪~っ! と言うか全部~っ!」

 久しぶりの再会のような笑顔でクリスタリアはハグしそうな勢いのまま双短剣ツインダガーを持って突進するなり君は女の子なんだよね? と、困惑しそうな短剣捌きでマンティコアを倒し始めた。それこそ蠍のような尻尾を中心に部位破壊をしながらである。

「ねぇ、フローライト様。初めて会う俺が言うことじゃないと思うけど、毒針って可愛い女の子が欲しがるものなの?」
「うん……。俺もさすがに同意だよ。毒針なんて何に使うつもりなんだろう」

 そしてマンティコアを双短剣ツインダガーであっさりと瞬殺したクリスタリアに2人がドン引きしたのは言わずもがなである。しかも魔法は一切使わない物理攻撃のみで倒したのだから苦笑いはしたくなる。

「えへへ、10本手に入れたのじゃ」

 クリスタリアは自分の鞄の中をチェックしてホクホクしているとフローライトに鞄を奪われて中身をチェックされた。

 その中は女の子とは到底思えない内容のアイテムだらけでフローライトは軽く目眩を覚えたほどであった。

 ・マンティコアの毒針・99個が4つと23個。
 ・大スズメバチの毒針・99個が3つと12個。
 ・大アシナガバチの毒針・99個が1つ。

 まだまだ続く毒物・毒針コーナー。それ以外にも毒を持つ植物系魔物の毒袋やら……。毒と言う毒が集まっていた。

「リアちゃん……。毒なんて集めて何するの?」
「ん? マンティコアの針は大きいから加工してクロスボウ用の毒矢じゃな。蜂類は針が細くて長いから毒と分離させて縫い針に……。毒は解毒薬を作る研究に学校の方ーーと言うかアールに格安で売り付けとるよ?」

 まともな答えに男2人は本気でホッとしていた。本気で暗殺とかに使われていたらショックが強すぎる……。
 そんな話をしていると目の前にマンティコアを従えたレア魔物のキマイラが現れた。

「あ、キマイラじゃ……。久しぶりに見たの……。出る度に牙しかくれないレアなケチ魔物め……」
「「キマイラ……。そろそろ終わりにした方が良くない?」」
「確かにお腹すいてきたのじゃ……」

 鞄の中にアンジェリア様お手製の料理がたくさんあるけども……。
 エメラール領のご飯が気になるから出さない。美味しいのかなぁ……。ワクワクし始めると何故か父上とアラン様がマンティコアを半分以上倒していた。

 あ、妾の毒針が……。毛皮が……。爪が……。ーーそう言えばキマイラって何落とすんじゃろ……。

 一人で考え事をしていると王様と宰相のペアがすべてを殺して戻ってきた。あれ、凄く早い……。アラン様は貴族でもやはり辺境伯爵家と言うことなのだろうか……。それにしてもキマイラって牙以外は落とすのか……?

「リーアちゃん。何考えてるのかな?」
「父上~っ! キマイラって何を落とすのじゃ?」
「え? ……えっとね、ちょっと待ってね?ーー牙と爪と………………」

 父上が無言で言わないところを見ると妾には教えたくないものらしい。てか、牙以外落ちたの? え、ズルいのじゃ……。
 しかもその顔を見る限り教えたくないと言うよりも教えられないと言うか、言いたくない代物らしく、妾も聞いたらいけないと本能が警告してくれたので聞くのはやめた。そんな妾の行動に父上が気をよくしたのか頭を撫でて爪をくれた。

 やった! 初アイテムゲット! キマイラの爪、もらったどーーーーっ!!

 まぁ、教えてくれなかったものがそんなにヤバイものなら魔力がどれだけ消耗するかわからないが朝のお勤めでキマイラの何かが無くなるように願えば良いと思う……とは言えないクリスタリアは魔物部屋が消滅したので一人で片付けを始めるとアランがそっと声をかけていた。

「何が出たの?」
「……女性に効く催淫剤。でも属性は何だかんだといっても毒だからかなり薄めて使うらしい。そんなことはリアちゃんは知る必要ないと思うんだ」
「ぶはっ! マジかぁ……。キマイラってそんなの落とすの?」
「……コレ、世の中に出たらヤバくないか? 性犯罪も増えるし、証拠隠滅で毒殺もできるぞ?」

 そして2人は城に戻ったらキマイラの生息地を密かに調べて虐殺か封印をしようと心に誓った。ハッキリ言って自分の愛するものに使われたら堪ったものではない。しかも催淫剤と言えど毒は毒。多用して体に蓄積されれば最終的には死ぬと思われる。そんなものはこの世に必要ない。

 だがしかし、キマイラを倒せる実力の持ち主などたかが知れていて、冒険者だとしても複数チームで勝てるか勝てないかと言うランクなのには気付いていない模様である。








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