吸血鬼領主~体は子供体型でも妾、大人じゃもん!~

けいき

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フラワーフェスティバル

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「と、言うわけでリアちゃん。3人の溺愛あまっあまなパパたちには内緒よ? 前に頼まれていた物をこっそり持ってきたわ?」

 コーデリア様は小声で人差し指を立ててシーっと大声を出すなと言うジェスチャーしながらそう言った。

「本当ですか? ウェストポーチの事じゃよね?」
「ええ、頼まれた通りにウェストポーチを作ったわよ? 中々の出来だと思うわ? 私の天職スキルが大役立ちだったもの」

 クリスタリアとコーデリアは近くでヒソヒソと話している間、セシリアとアンジェリアは「このお部屋可愛いですわ~!」とカモフラージュのようにはしゃぎながら話をしていた。何とも素晴らしい連携である。

 コーデリア様の天職は材料とデザインさえ出来ていれば意図も簡単に服や鞄。小物が作れてしまうと言う服飾デザイナーらしい。

 そのスキルは主に服を作るのに適しているのだが鞄は複雑でなければ作れるらしい。

 王都に居たら貴族のお抱えになれること間違いなしの少し珍しい職業である。ただ、服を作るスキルしかないのでメリットとデメリットが凄かったりする。メリットは王都に居たら貴族のお抱えになれること間違いなし。金には困らない。デメリットは田舎に居たらただの持ち腐れ。
 コーデリア様は戦える服飾デザイナーなので気が向いたら服を作ると言う変わった人なので田舎でも全然気にせず楽しく暮らせるらしい。

 若いときは妖精国の王都に居たらしいが貴族の感性が自分と合わなくて悩んだ日々が続き、そんなときにアールに拾われたのたとか……。

「あぁ、イラスト通りに作ってくれてありがとうございます」
「いえいえ。それでね? お願いがあるのよ」
「ん? なんじゃろ? お礼に妾のできることなら何でもするよ?」

 首をかしげていると布団の上に鞄を新たに3つ出された。
 どれもウェストポーチなのだがベルトに3つのポーチがついているものだった。 

「鞄? ……ウェストポーチでも小さめで女物のようじゃけれど……。あぁ、お三方のかの?」
「ええ、そうよ? お願いと言うのは時間がある時で良いの。これらもマジックバッグにしてもらえないかしら。実を言うとね? 家にダンジョンができたのは知ってるでしょう? そこでも魔物肉がドロップするの。学園とは違うね……。それらを店で使えるようにストックしておきたいのよ……。ダメかしら……」

 おぉ、学園とは魔物が違うのか……。今度絶対にアールにつれていってもらおう!
 生肉の保存となると時間停止と言う機能が欲しいのじゃな? フムフムと納得していると鞄のなかを見つめた。

「ポーチが3つに分かれてるということは食品とその他で分けると言うことかの?」
「ええ、そうよ? ダメかしら……。でも1つだけはなにもしないで欲しいの。ハンカチとかを入れて普通のウェストポーチと見せかけたいの。つまりはマジックバッグと言うのをわからないように偽装ね……」
「……なるほど、わかりました。それくらいの加工なら大丈夫じゃよ? あとこっちで手を加えても良いのかの?」

 奥方達は全員構わないとのことで了解を得た。使い勝手の良いようにやってしまおう。
 預かった鞄は全て自分のマジックバッグにしまうと、それからはアンジェリア様に入れてもらった紅茶を飲みながら店での話を聞いたり色々と話が聞けて有意義な時間だった。

「あ、そう言えばリアちゃん。ここ最近はずっと雨でしょう?」
「まぁ、雨季じゃからなぁ……」
「フェスティバルが終わるまで何とかしてもらえないかしら。街の人も作業が進まないみたいよ? それに私達もお店の洗濯物も乾かしたいわ?」

 そんな話をして彼女達は去っていった。

「失礼します」

 ノックと共に執事が顔を出した。

「リア様。おや、随分と楽しかったみたいですねぇ。食事をお持ちしましたよ?」
「ありがとうなのじゃよ……。あ、そうだ。のお? 仕事はどんな感じなのじゃ? フェスティバルの準備は……。街の声は?」
「そうですねぇ……。やはりここ最近の連日降り続く雨で準備は遅れてる気がしますね。体調を崩してる者もいると聞きますし……」

 そんな報告を聞きながら魔物肉を細かく切り、野菜と煮込んだ栄養が多そうなスープを食べていた。

「クリス、良い子にしてた? 奥さん達が無理を強いたりしなかったかな?」
「あ、アール、良いところに!」
「ん?」

 食べる手を止めると執事が何故かあーんをして食べさせるため、とりあえず食事を終えるまで待って貰うことにした。

「えっと、それで?」
「雨で準備が遅れてるそうなのじゃよ……。じゃからな? 妾が屋根と灯りを創るから、アールは街を弱い風で乾かすように魔法をな?」
「それは構わないけれど……。寝てるときは無理だよ?」

 そんなことはわかっている。眠ってしまえば魔法のイメージが出来なくなり跡形もなく消える。つまりは起きていれば良いと言う話だ。









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