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フラワーフェスティバル
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しおりを挟むそれからしばらくの時間が経ち、山積みの書類は大分無くなった。
無くなったのだが、秘書のエティは会議が白熱しているのか戻ってこない。
難航してるのか? それとも……。
心配じゃし、妾も少し顔を出した方がよいのだろうか……。
「リアちゃん。遊びに来たよ~……」
ここ最近、毎度のように遊びに来る客がタイミングよく? やって来た。
いや本当。毎日毎日夜中に遊びに来る。ショートスリーパー羨ましい。
「父上、いらっしゃいなのじゃ」
「あ、城の料理人にお菓子をたくさん作らせたから休憩したらどうかな……」
お菓子という言葉に皆の期待の顔が妾に向けられた。
「父上……」
「ん? あぁ、もちろん全員が食べても余るくらいだよ?」
「父上、ありがとうございます。よし、休憩にしようかの……」
ベルで執事を呼ぶと解っていたのかワゴンを運びつつやって来た。
温かい紅茶にホッとしつつ、手土産のマフィンをじっと見つめる。
「これ? ほら、前にリアちゃんがレシピくれたでしょう? 今、城でブームでね……。これならマリーも笑顔で食べてくれるし……。何よりも健康的で美味しいよ?」
「あぁ、アンジェリア様に頂いたものじゃな……」
書類に目を通しながら父上と会話をしていると何故か途中で返事はなく、顔をあげるとソファーでいじけ……拗ねていた。
「父上?」
「休憩って言ったのに仕事をしてるなんて……。うちの娘はワーカーホリックなんだろうか……」
拗ねているのではなくガックリと力なく心配していたらしい。
「違いますよ? ご主人様の過保護により城で長居したため、領主の仕事が溜まっただけです」
元父上の従者。父上専属の執事だった、現在我が家の執事にキッパリ言われ、妾もダメージが来たが父上はなにやらナイフで抉られたようだった。
しばらくしてなんとか立ち直ると執事に文句を言い始め、ソレを執事はなんともない顔で諌めていた。
「お前はなんでいっつも、いっつも!」
「ご主人様の為でしょう? 手紙の送る回数を減らしたのはアン……失礼。ご主人様が仕事放棄して戻ってきそうになるからでしょう? 連絡がないのは元気な証拠と言いますし、現にクリスタリア様はお元気ではないですか」
「ぐぬぬ」
アンタと言おうとしたのか取り繕った執事に父上はイラッとしたようでヒートアップした。
しかし幼いときからの付き合いのせいか、父上の扱いは心得ている執事に端から見ても父上が勝てそうにないので、父上の事は執事に任せて妾は茶を飲みつつ仕事を再開する。
えっと、南の森の奥で魔物のコロニーなりかけていそうなオークの団体を発見。
おや、これは危ないの……。今度、様子を……。
「おやおや、フローライト様は拗ねてしまったようですねぇ。私に勝とうだなんて甘いですよ」
執事は誰もいないその場で笑顔で手を振っていた。
どうやら拗ねて城に帰ってしまったらしい。
そして執事の口撃は凄く強いな。
それにしても父上でも拗ねることはあるんじゃなぁ……って、抽選会の後はしばらく拗ねてるか……。
うん、いつも通りかもしれんし、放っておこう。
そんな結論に達したためコロニーの書類を見つめた。
「執事? これは誰が適任じゃろか……」
書類を手渡すと即座に「学園」と返事が来た。
「つまりはアールが引率しつつ後方で補助。担任の先生含めて冒険者学科の3年生にやらせるということかの?」
「そうですね。もし、ヤバイのがいたら学園長が瞬殺するでしょうし、見せたくない物があったとしても気を抜くとこうなるというのを見せるのも授業でしょうね。彼らは今年、卒業するのですから……」
ふむ、何事も体験しろと言うことかの……。
見せたくない物……と言うと、苗床とか捕食と言うところかの……。
確かに見せたくはないが、こうなる前にという勉強には良いかもしれんなぁ……。それで冒険者を諦めるなら諦めるでその者の人生じゃし。
「うーん、まぁ……アールにはエティに伝えてもらおうかの……」
手土産のマフィンに手を伸ばしてパクリと一口。なんとカボチャ味だった。
「あ、さつま芋かとおもったらカボチャじゃ……」
「それは良かったですね。クリスタリア様はカボチャが大好きですものね……」
「うむっ! うまうま」
ニッコニッコしながらモグモグと美味しくいただきました。
父上、ありがとう。
そしてニッコニッコしている妾を何故か父上の代わりに笑顔で見守る執事がお茶のおかわりを入れてくれた。
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