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妾じゃなくても……
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しおりを挟む「さてと? ところで寝る前にリアちゃん? いつの間に魔法でガラスの器を作れるようになったの? 普通なら作られた器をアイテムボックス等から取り出すくらいだよね……」
「えっと、あの……その……。かなり前にガラスの器を割ってしまってな? それを直そうと魔法を使ったら間違ったの使ってしまって、逆に硝子を分解しちゃって……」
やだ! うっかりぃ~……みたいな事はなく、せっかく分解したのだから鑑定をしてしまえと研究してしまったのだった。
うっかり分解でわかったのは材料がそこら辺にある砂に混じっている透明な極小の粒と海草を燃やした灰。そして石灰石と言うのがわかった。
そしてなにやら土と火属性のため、材料さえ集めれば簡単なものならばイメージで手間なく作れるようになった。
まぁ、父上にバレてしまったが職人の仕事がなくなるので秘密じゃけども……。
あ、使用人の前で作ってしまった……。
あらやだ! 妾ったら眠くてウッカリ~っ!
………………見た奴等の記憶を消すか。
とりあえず材料を集めてマジックバッグに突っ込んでおくと取り出さなくても自然と無くなっていく。
なんと言うべきか、魔法と言うよりもスキルに近そうだ。
作成する魔法を使うとマジックバッグから必要な分だけ減っていくので、不思議なこともあるものだ……とアールに言ったら盛大な溜め息を吐かれた。
どうやらマジックバッグが原因らしい。
そのマジックバッグは普段使いにとアールの手助けなしで自分一人だけで製作したもの。
それ故に自分の扱う魔法とのリンク率が100%と言う奇跡がおきたのだろうと……。
あ、ちなみに手違いでガラスを分解したものはアールが原型を知ってるものだったので簡単に復元してくれた。
「色々お話があるけれど、起きてからにしようね」
「あ、う……」
そして逃げないようになのか、久しぶりだからなのか……。
ギュっと抱き締められてベッドに横になった。
妾、コレでも500年は生きてるんじゃけど……。300の新成人より上なんじゃけど……。
……でも今まであまり甘えてこなかったからいっか……。
なんだかここ最近は特に周りが常に子供扱いするから流されちゃうし……。
起きたら頑張るから今は甘えても良いじゃろ……。
心の中で言い訳をしながら父上に抱きついて目を閉じると魔力がいつもより消費したためか、すぐに眠りについた。
「寝るの早いなぁ……。魔力、消費しすぎたのかな……。寝顔、可愛いな……」
「だからさ? それはイメージでぇ……」
「はぁ? お前ね、リアちゃんが部屋に転移し来てくるのにイメージなわけないだろ?」
「うぅ……」
なんじゃ? なんじゃろ? 周りが騒がしいの……。
妾が心地よく寝てるのにの……。
「理由聞いていい? どうして知りたいの」
「……アメジール領が隠し通せないくらいにやらかしてるから、この目で見ないとさすがに周りを誤魔化せない。強いて言えば視察として領へ行くとなると護衛含めて貴族が引っ付いてきて露呈する。なら、短時間でも転移してこの目で見ていけば俺も最善の言い訳ができる」
「ぐっ……。正論だよ……」
「ついでにお前のところのダンジョンで魔法をぶっ放させろ。俺、最近、ストレス、過剰」
「何で片言っ!?」
ん? 父上はストレスなのかの……?
父上の魔法なぁ……。崩壊レベルの広範囲魔法多いんじゃよねぇ……。
ダンジョン崩壊しないと良いんじゃけど……。
「…………あれ? リアちゃん、起きたの? おはよう」
「おはようごじゃますなのじゃ……」
「クリス、おはよ。小さい時から寝起きはよく噛むねぇ……」
あれ? アールがおる……。どうしたんじゃろ……。
領で何かあったのかと聞くと帰りが遅かったから皆が心配してたよと教えてくれた。
ついでにお迎えなのだそうだ。
妾、本当にこれでも成人なんじゃけど……。なんで皆本当に子供扱いするんじゃろ……。
「あ、そうだ。クリス、あのね? フローライトが転移の魔法を知りたいんだって。教えてくれないと、貴族引き連れて視察になるらしいよ?」
「……なぬっ!? 視察はダメじゃ! あーー、父上なら使えると思う! 氷もすぐに使えるようになったし!」
「ところで、この魔法は誰が知ってたの? それとも作った?」
ニコニコとなかなか好感度の高い笑みを浮かべるの父上は目の奥が全く笑っていないと言う恐ろしい状態だった。
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