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今日は何の日
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しおりを挟む「それにしても母上に呪いを施したのは姉上が口を濁しつつも今日、手に入るとなるとやはり……」
「いや、4択だろう? 一応……。とりあえずあり得ないけれども、5択にしておくがな」
「あー、成程。だとしてもやはり4番が有力ですかね……」
1、次男のジェファード。
2、次女のロージア。
3、三男のティリウス。
4、三人全員。
5、三人以外のその他多数。
親子は思わずため息をつく。そして遠い目をしたままフローライトは「4だろうなぁ」と呟いた。
とりあえずジェイルは部屋に戻ってから母へのプレゼントを手に戻ってきた。
「まぁ! ジェイル! 有難う。これ、私が欲しがっていた刺繍のデザイン本よね? 嬉しいわっ!」
「ふふっ、マリー。良かったね。これは私からだよ?」
フローライトはローズマリーにブローチをプレゼントした。
本日は母の日。
日頃の感謝を込めて母親や奥さんにプレゼントするのだ。花をプレゼントでもいいし、本やハンカチ。手紙などでもいい。とにかく感謝を伝える日なのだ。
コンコンコンコン……。
部屋にいた3人は「来たっ!」と目配せをした。手筈通り「はーい?」と部屋の主であるローズマリーが返事をすると残りの3人の子供たちがいて中へと笑顔で入って来た。しかし、部屋で待ち構えていた2名の存在により困った顔をしていた。
「あら! あなた達も母の日のプレゼントを持ってきてくれたの? ありがとう。そうだわ? お茶を用意してちょうだいな!」
「畏まりました」
お茶を淹れることでまずは逃げ道を無くすことにした。
「あ、あの? 父上と兄上はどうして……」
「ん? あぁ、俺は母上が欲しがっていた本を渡しにね? そうしたら父上がいたんだ。それでプレゼントをしたと言うブローチを見せてもらってね? さすがは父上だよね。綺麗なカメオのブローチでね……」
「ふふ、そうだろう? 一目見たときにマリーに似合うと思ったんだ!」
と話をしていると紅茶がテーブルに出された。
「そうだわ? 後ろに隠してるものを見せて頂戴な! 貴方達のも母の日のプレゼントなのでしょう? 嬉しいわっ!」
催促すると3人はなんとも言えない表情でおずおずと前に出した。
「はい、アウト!」
「うわ、なにこれ! 嫌な感じしかしないっ! 気持ち悪っ! 気持ち悪っ!!」
鑑定スキルを使ったフローライトは3人を拘束してため息をつき、勘の鋭いジェイルは3人のプレゼントを全員から遠くへ放り投げて遠ざけていた。
「やっぱり4番だったか……」
「全く、困ったものねぇ……。リアちゃんに感謝しないと……」
腕に巻かれたブレスレットを優しく撫でていた。
「リアちゃんのプレゼントが実は一番の高額商品なのかな?」
「そのようですね。透明石英、乳石英、紫水晶ですものね」
だが2人は知らない。
その高価な石英がヘドロ除去のお礼。
だが蓋を開けてみれば期待していた安価な粘土などではなかった。
しかも持っていることにすら恐怖を感じ、それ故に高価なものは早々に手元から無くしたいだけであることに……。
透明石英、乳石英、紫水晶。
この浄化に特化した石英の組合せにより、ローズマリーは通常を取り戻した。
フローライトによって拘束された子供達は現在、猿轡をして床に正座をさせられ、尚且つ腿にツルツルしているが重そうな石板を乗せられていた。
「あらあら、いけない子達ねぇ! 母をどうするつもりだったのかしら」
彼女の手には鞭が持たれ、三人のギリギリ当たらないところで鞭のパシーン!と言う音が鳴り響いていた。
強いて言えば当たるか当たらないかのギリギリを攻められているため、恐怖により青い顔をさらに青くしている。
その間にフローライトとジェイルは放り投げたプレゼントを見つめていた。
「見事になんとも言えぬ術よなぁ……。術者と同じレベルになるって呪いというか、呪いはなぁ……。リアちゃんもそりゃ口を閉ざすよなぁ……。これ、逆は効果ないし? 逆ならジェイルに同じものを掛けさせてあの三人に手渡し……埋め込むのに……」
「埋め込むんですか? それはそれで、気持ち悪いですね。それよりもコレを使うと言うことは、底辺である自分達を異常なくらい過大評価しているのか……。それとも母上を自分達よりも下だと貶しているのか……。もしくは母上を愚鈍にして自分達の盾にしようとしたのか。まさかの全部ですかね……」
ジェイルの言葉にフローライトはため息をついた。
そして「全部に100ウロ」と呟き、「あ! 父上ズルい! 俺も同じなのに!」とジェイルも呟いた。
賭けにはなりませんでした。
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