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今日は何の日
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しおりを挟む「クリスタリア様。貴女様を溺死しそうなくらい溺愛しているお父さん達と、恐ろしいくらいのシスコンな王子が怖いのでおいそれと騙すようなことを俺が出来ると思います? だから秘書とは呼ばずに名前か愛称だと嬉しいのですが?」
「……とりあえず確認のため名前は……」
と、言うとアールが「本当に知らなかったんだね……」と囁くとため息をついた。
いや、やっぱり「実は真名でーす」とか言われたら怖すぎるじゃろ?
「クリス。この子の名前はエティエンヌ。エティって呼ぶと良いよ。俺も奥さんも家族、仕事仲間もそれで読んでいるはずだよ?」
「ん、わかった。エティ、これからもよろしくなのじゃよ」
「はい、クリスタリア様。こちらこそよろしくお願いします」
そしてその後は報告書を全て仕分けをした。
食事関連の報告)肉しか食べない! お菓子しか食べない! 野菜食べない! 等
睡眠関連の報告)朝決まった時間に起きない。夜更かしする。等
仕事関連の報告)毎年毎年嘆いてばかり。ここ最近は特に茶会すらもまともにする気なし! ちゃんと仕事して欲しい。等
金銭関連の報告)立場上ドレスは仕方ない。でも宝石とかアクセサリー系を買いすぎな気がする。等
うむ、うちの母上はなかなかじゃな……。
「無能と思わせれば来年は王妃を回避できるとでも思ってしまったんじゃろか……。何だかそれはそれで可哀想じゃの……。とは言えども甘やかすつもりは全くないがなっ! ーーと、言うか本当に母上と愚弟妹達は税金をなんだと思ってるんじゃろなぁ……。ジェイルだけでも矯正できて本当によかったの……」
しみじみと呟くと皆はため息をついた。
「アンジェリア様。申し訳ないのじゃが、野菜を使った菓子のレシピを1つほど譲ってはくれないかの……」
「うーん、ではアレンジしやすいマフィンとかいかが? すりつぶした人参。茹でてから薬研でペーストにしたほうれん草。野菜なら何でも入れられるわよ? いも類も木の実もね。勿論、木苺も入れられるわよ? とりあえず後で書き写しておくわね?」
「なるほど! よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げると嬉しそうに頭を撫でられた。
それはもう楽しそうと言うか嬉しそうと言うか……。
撫でる手は優しく、見つめる顔は笑顔だった。
「……うぅ……」
野垂れ寝回避と仕分けを手伝ってくれたのだから我慢我慢……。
頭撫では恩返しとしてプライドなんて心のクローゼットの奥に閉じ込めてやりますよっ!
我慢、我慢ーーーーうぅっ……じっとみんなに見られているこの羞恥心……。
この心がなんとも言えぬ恥ずかしさを訴えてるのは我慢、我慢。
我慢、我慢、我慢、我慢…………むーりーっ!!
助けを求めるためにアールの名前を呼びつつもじっと見つめた。
こんなにも恥ずかしいんですよ~っ。
助けて~っ的な目で見つめ……情けないとか今はどうでも良い! 羞恥心には勝てそうにない。
「ぷくくっ……。クリスはほんとに可愛いね。顔が真っ赤だよ? よいしょっと……。よしよし、そんなに恥ずかしかったんだねぇ……」
抱っこされて子供のように宥められた。しかも背中をポンポンされた。
「普通逆だと思うのよね……」
「抱っこよりも頭撫での方が恥ずかしくないですわよね……」
奥方達にもクスクスと笑われてしまった。
でも仕方ない。
そもそも妾、あまり頭を撫でられた記憶ないし?
どちらかって言うとアールにこんな感じで抱っことか膝の上に座ってる方が回数的にも多かったし、時間的にも長いし……。
成長が4倍遅いために健康のための夜の散歩も3食の食事の移動も全て抱っこ生活が数十年……。
「ほら、それにアールは暇潰しがてら妾の教育係じゃったし? だから抱っこされるととてつもなく安心すると言うか、落ち着くと言うか……」
「さすが! フフっ、やりますわね。旦那様……」
……何の話? と、エティを見ると静かに目を反らされた。
俺に聞かないで下さいと態度で示されたらしい。
成程、身の危険を感じるのじゃな?
わかった。妾も空気になっていようとするかの……。
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