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鬱発散……(加筆修正中)

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「ーーとにかく、お疲れ様なのじゃ。……のぉ? ちょっと怒らないで聞いてくれるかの? ……アールはハーピーに欲情はせんのかの?」
「ん? ……欲情……? 一体何の話? ーーと、言うかあのね、クリス……。俺にもね? 好みと言うものはあるんだよ? そこん所、ちゃんと理解と言うか、分かってるの?」
「…………なるほど、美人で胸が豊満でギリギリまで露出していても好みではないから残虐にもなれる……とな……」

 ダンジョンに吸収されつつあるハーピーだったものを見つめると何故か目を塞がれた。

「はい、あまり気持ちの良くないものを凝視しないの」
「むぅ……」

 まぁ、確かに上半身は人に似てるのだから肉塊。
 いや、肉片? を見ると気分が悪くなりそうな気もする……。
 昼食はトマトソースは敬遠したい所じゃな……。
 まぁ、出されたら結局ちゃんと残さず食べるけどな!

「とりあえずまた増えるまでお茶にでもしようか……」

 安全地帯にあるその一角は本当にダンジョンの中? と言いたいくらい充実していた。
 寝泊まりできるテントにちゃんとした絨毯を敷き、ソファーやハンモック。
 テーブルセットが設置してある。

「あれ? 更に本棚も出したの?」
「うむ! とりあえず暇潰しにの?」

 アールが椅子に座ると妾はそそくさと紅茶を用意する。
 ……が、気がついたアールに奪われた!

「大丈夫なのはわかるけど、それでもやっぱり怖いから運ぶのはやめなさい。お茶、淹れてくれてありがとね?」

 さりげなくこめかみ……いや、目尻? 辺りにキスをされた。

 むぅ……。そういうことをすぐにやるから父上に殴られるのに……。
 アールの癖なのじゃろか?

 ため息をつきつつも椅子に座るとポシェットから時間停止させた物。
 前に魔物が落としたお菓子を取り出した。
 それを茶菓子に仲良くティータイム。

「それにしてもオーガって見た目のわりに甘党なのかな……。あんなに強面なのにドロップするのがクッキーとかマカロンとかチョコとかなんだか可愛いよね。それともキレやすいから防止策としてスイーツの持ち歩き……。それはそれで、やっぱり可愛いな」
「あ、でも時々レアなのかこんなのも出すぞ?」

 テーブルにドンッと置くと何故かアールがドン引きしていた。

「んーと? コレはなにかな? お肉みたいだけど?」
「鑑定によると骨付きのオークの肉焼き(モモ肉)らしい……。オーガはもしかして美食家なのかのぉ……。オークの肉は中々美味らしいが生活習慣として魔物を食べる意識が広がらなくて妾の冷蔵庫にも肉が時間停止したまま増えていく一方じゃよ……」

 ため息をつくとアークは何やら綺麗なナイフを取り出して少し肉の塊から3切れくらい切り取ると残りは勝手にポシェットにしまわれた。

「あ、確かに美味しいかも……」

 切り取ったものを賽の目にして皿に盛られるとフォークで刺して食べていた。
 クリスタリアも椅子に座ると「あーん……」と食べさせられた。

「むぐむぐ……うまっ……。よし、魔物肉専門店ジビエとして店を出そう! そうだ! そうしよう!!」
「ちょっと、ちょっと? オークの肉を君はどんだけ貯めてるって言うの? お店で出したらかなり消費………………あぁ……」

 そう言ってアールはポシェットを弄ると無言だった。















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