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鬱発散……(加筆修正中)

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 抽選会が終わった長閑な昼のとある日。

「メインストリートは変えるつもりはないのじゃけれど、その周囲をどうしようかの? あ、そうじゃ! 今まで入り交じりにしていた2つをいっそ農業地区、工芸地区に分けてみるかの~? いや、でものぉ……。うーん……。なぁ、アール。アールはなにか案はないかの? ………………ん? 返事がない? アール? ……あれ? 居らん……。どこ行ったんじゃろ……。ま、いいか……」

 学園長に相応しい豪華な木彫りの装飾が施してある机を背にして、これまた高そうな絨毯が敷き詰められた床に大きな紙を広げ、クレヨン片手に絵(地図)を描いているその姿は幼い子供そのままであった。
 旅行客などに無料で配っている簡易的な手書きの地図をもとに画用紙に地形を描いていく。動かすことのできない門、領館、広場、学校、メインストリートを含む今回の改装は見送る予定の商業地域。そう言ったものを一生懸命に描き写し始めた。

「こーら、クリス? いい加減にしなよ?」
「うっ、にゃあぁーーっ! い、居るのにゃらさっき返事してくれれば……」
「ん? 今の驚いた声、ちょっとというかかなり可愛いね……って返事って何のこと? あぁ、もしかして席を少しばかり外していた時に声をかけてくれたのかな? 席をはずすの伝えなくてゴメンね? ……じゃなくて! クリス、君は代理? 代行? なのかここ最近は本当に微妙な所だけどーーとはいえ領主なんだから誰かに見られる前にテーブルに紙を広げて描きなよ。まぁ、その姿は凄く可愛いけどね? 俺は思いの外好きだけどね? でもやっぱり行儀が悪いと思うよ? それにフカフカの絨毯とはいえ床にそんなペタンと座っているのが今は遠くにいるシスコン王子にバレたら『骨盤が歪む』とかシーズン終わって帰ってきたらしばらく延々と言われるからね? 見張られたとしても俺は助けないよ?」

 いつも優しいアールがなぜだかグサリとかなり深く痛いところを突いてくる。
 今は社交シーズンで王都にいるため、側にはいないが妾の可愛い弟のジェイルは何故か座り方から何から何故か手厳しい。このようにペタンと座ろうものなら問答無用でガッと脇に腕を突っ込まれて持ち上げるなり椅子へ座らされる。そして数分、いや数時間に及ぶ場合もある小言が始まるのだ。


 くどくどくどくど、くどくどくどくど……。

 くどくどくどくど、くどくどくどくどっ!!


 いい加減、説教する事に飽きないのか? と聞きたいくらい説教をしてくるのだ。別に足組んだからと言って、床にペタリと座ったからと言って、すぐに体が歪むわけないじゃろがーーっ!! ……って声を大にして言いたい。でも反論が怖くて言えないけど……。

 ジェイルは説教する間、なんでか目が爛々と輝いてる気がするのだ。弟ながらなんか怖すぎる……。母上の血じゃろうか……。とにかく怖い。鞭は持たせないようにせねば!

「うぐぐっ! じゃ、じゃからこうしてわざと……。そう、わざとジェイルに告げ口をしそうな領館の職員の奴らから逃げてアールの居る学園長室に来てるのではないかっ! それにここには無駄……じゃなくて! えぇ~っと? そ、そう! 広々としとるし、空きスペースがたくさんあるから妾は不本意じゃけど、本気まじで不本意じゃけど! ちょっとばかしチマッとしとるし? コレくらいのスペースを占領したって邪魔にならんじゃろ? あと、テーブルで描くと膝とか腰。主に下半身が痛いんじゃもん! 立ち膝はダメージでかいんじゃよっ!!」

 ムッと顔をしかめて睨むものの、如何せん相手は小さい子から大人まで毎日相手をしている者のためか笑いながらその場の空気を変えられてしまう。いつものことなので仕方ないのだが、残念ながら妾がどんなに文句を言おうがそんな姿がアールにはただの猫の威嚇にしか見えないらしく、赤ん坊の時に出会ったその日ーーいや、数日後から笑顔でやたらと頭を撫でてくる。しかもそれが撫でて欲しいところを的確に攻めてくるという素晴らしい手なのだ。しかも気持ちいいので止めろとは言えず、寧ろもっと撫でろと言った気がする。

「俺は絶対に告げ口はしないけど、ここの職員である教師達の口までは管理してないんだよ。例えば今、教師が来てクリスのその姿を見たとしようね? ジェイル君が帰ってきたときに『ペタンと床に座って片手にクレヨン持ちながらお絵描きしてる姿は可愛かった』と言う感想が彼の耳に入ったらどうする? どうなるかな……」
「うくぐぐ……」

 そんないつ来るかわからないのに気を使うのも、見られてバレる恐怖の説教と言う流れはかなり怖いから今からは机でやろう……。そうしよう!

 妾、臨機応変に行動したいと思う!






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