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姉物語・チュートリアルが終わったそうです
しおりを挟む「そうそう、手荷物にね? 君たちが死ぬ前に着用していた服と今着てる服のスペア数着。あと手荷物なんかが再現して入ってるからね。じゃあ、ゲーム的チュートリアルは終わったし、第二の人生へ行ってらっしゃ~い」
と笑顔で手を振られて見送られた。
「あれ、チュートリアルだったのか……。しかも第二の人生がスタートから些かhardモードじゃないのっ!?」
と言うと私たち三人は強い光の渦みたいなものに飲み込まれたのだった……。
なんかちょっと光が強すぎて溺れそうというか、酔いそうなんだけど……。てか確実に酔った……。
◆
「うぅ、気持ち悪い……」
目を開けたとき、人生で一番の悪い目覚めを体験した……。
「なっ!」
「えっ! 後から三人もっ!?」
私たちを飲み込んだらしい光が消えると私たちは見たことのないコンクリートとは違う石造りの建物に居た。
しかも床はヒンヤリというか、氷みたいな冷たい石が張られ、天井には異国の宮殿でよくある趣味がいいのか悪いのかわからない天井絵。
てかちょっと雑に描かれたキリスト誕生! みたいな感じ?
それに視界に入った柱と床はやっぱり異国の宮殿って感じで全体的に大理石っぽい感じがする……。
──うん、全てが金の無駄。マジで無駄。
「ってかここ、ドコよ。開眼一番に見える胸くそ悪い絵がマジ最悪なんだけど……」
「あらまぁ~……。こんな冷たい石の敷かれた床に放り出されて、体が冷えちゃうじゃないねぇ~……。凍死させる気なのかしら……」
「うーん? なんか周りの人の格好からしても古代でも現代でもなさそうだねぇ~……。ただ、中世でも近世でもなさそうな……」
と会話をしていると取り繕ったように偉そうな人が慌てるようにやって来て、テンプレのような説明をしてくれた。
なんか聞き覚えというか、記憶にある名前の国名だったけど今は無視しておこう。
正直なところ面倒くさい。
「──えーっと、つまり? 若干名、上から目線の話し方は癪に障るけど、私達はあんたらにこの国へと誘拐もしくは拉致をされたと言うことでオッケー?」
「誘拐。拉致かぁ~……。それはそれは犯罪で有罪だねぇ~……。国家的犯罪って言うべきなのかな? それで? ここはあえて聞きますけど、私達はあちらにはちゃんと帰れるんですかね」
お父さん……。一応私達はもう死んでるんだよ? とは思うものの、この無駄な時間の意味は相手よりも優位に立つための労力とでも言うべきかしらね。
私達はもう日本には帰れないのはわかると言うか理解はしてるからね……。
とりあえず相手方に自分達は被害者なのだということを明確にして、少しでも優位に立つために手持ちのカードは使うべきだ。
それは三人がここへ来て一瞬にして一致した事実であった。
「いや、その……。済まない、この召喚は一方通行であなた方を還すことが出来ないのだ」
「あらあら、ふざけんじゃねぇですのよ? こちらの都合も考えずに呼び出してこの世界で暮らしている人が倒せないモンスターと戦えって? しかも帰れない? 何様でやがりますの?」
口が良いんだか悪いんだかわからないお母さんに私も便乗しちゃおう! ストレス発散は大事よね。
「犯罪者の統治する国に手を貸す義務はねぇですのよ!」
私はキッパリ言ってやった。
お母さんも隣でうんうん頷いてから「私達は即刻この国を出るからその為の資金としばらく……。そうだな、数年分の生活費を込みで慰謝料として貰ってやるですわ?」とぎゃんぎゃん捲し立てて言うと第三王子は髪をかけあげてため息をついた。
慰謝料……。
こう言うときのお母さんはいつも生き生きしてるなぁ……と思っていたらお父さんは黙ってニコニコしていた。
なんで参加しないのかな? なんて思っていたらお母さんが脱線しようとしたら「違うでしょ」と軌道修正をしている。
あ、成る程。私達が得意な分野(交渉、文句、クレーム等々)だから話が脱線しないように、訂正したり見張ってくれてるのかな?
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