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第10章 そこのけそこのけ男の娘が通る

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 因みに繊維とか気にせずに適当に肉を刺して焼いたらこうなるんだよって見本の串も作らせて一緒に焼かせてみた。
 まあ、味だけをみればどんな風に刺そうが気にしなくてもいいんだろうけどさ、焼き上がりを見てすぐに誰もが見た目も大事だと納得してくれたみたいで良かったよ。

 俺個人としてもまさか適当に刺したとしてここまで隙間ができるとは思ってなかったけどさ──。

 別にね? 個人的には工程が簡単なチキンソテーでも全然構わないんだけど、いまだに手掴みな所があるからなぁ……。
 毒味をしたら冷めていく一方だし、ミリアム達が魔法を使ってその場で温め直してくれたとしても熱々ではない。
 いや、そもそもこの時代背景で貴族が温かいのものを食べられるわけがないから仕方ないけど、魔法を作ってしまったんだからいっそのこと出来立てと思わす程の熱々を食べたい。
 なので熱々だと手掴みは嫌というよりも無理だ。持てない!
 せめてフォークとナイフの一組で食べれられるようには浸透させたいなぁ~とか思ってるんだけど──なんだろうね。
 ナイフと思っていたら殺気に似た視線を感じたよ?
 顔をあげてみればとにかく目の前に焼き上がった美味しそうな焼き鳥の山が鎮座していた。
 そしてその奥では初めての料理だから興味津々で全員が見つめてる。
 いやもう、何て言うの? ガン見? レーザービームが出そうな目で見てるから暴動が起きる前に食べさせるしかないよね。
 うん、こうしよう。

 パパたちに出す前に毒味と言う名の試食。

 大義名分としては立派だと思われる。よし、これだ!
 だって俺以外のプロの料理人の方々からしたら得体の知れないものを自分の雇い主である王様に出せないでしょ?
 そんなわけで一人一本のみではあるが試食をすることにした。
 お皿二つにてんこ盛りって感じでたくさん作ったから少し減るくらいは全然大丈夫だろう。
 パクリと皆が一口食べた瞬間、カッと目を見開いたからちょっと怖かった。
 んでもって次の瞬間には各々がマシンガントークならぬマシンガン食レポが始まった。
 
 ──え、ナニコレ。

 俺の脳内はさ、「うーまーいーぞぉぉぉっつ!」と言って口から光線出したり、宇宙へ飛んでいったりみたいな過剰演出の昔のアニメ漫画を思い浮かべてたんだけど、実際は至高だ究極だと周囲をそれとなく巻き込んで親子喧嘩するタイプの大人な反応だった。

 ──当たり前か。

 一応剣と魔法のファンタジーなゲームの世界とは言えども、基本的なものは日本やアメリカと言う地球上の国々となんら変わらないんだから普通の人間が魔法を使えるにしたって口から光線とか宇宙に飛べるわけないもんなぁ……。
 どこかで期待してたからなのか思わず冷めた目で見つめちゃったよ……。




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