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第10章 そこのけそこのけ男の娘が通る
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しおりを挟む「パパが春になるまで女の子の格好で過ごせとか言わなければ週に何回か遊びに行ったかもしれないのに……」
「いえ、ルル様。ルカ様の姿は今とても危ないのですよ。つい最近もルカ様目当ての賊が侵入を試みましてね? 今、地下牢はあり得ないほどに大盛況なのです」
まさかの地下牢が繁忙期突入!
俺のスタンガンブレスレットも大活躍してた。
うん。そう言えばここ最近、ブレスレットの発注が来てたもんなぁ。
ゼツさんにある日突然「牢屋で作った腕輪を早急に100個作って欲しいらしい」と言われ、目の前に魔石の山を作られた日にはため息をついたもんですよ。
一日で作り終えましたけどね! 楽しかったんだから仕方ない。
「ルカ様。申し上げにくいのですが、腕のよいお医者様はとても貴重な存在でして、国規模で争いも起きる事柄なのですよ。前回の流行り病ではフォーリスでは二万人以上は死んだと言われてますし……」
「いや、国の規模が違うでしょ?」
それに腕の良いって俺、手術とかしてませんからね?
「なので平均に直すとこの国では千人以上は確実に死んでいる計算ですね。丁度ルカ様が助けた患者全員+αをこの国の死亡者に足せば大体同じくらいになりますかね……」
+αは退院した人が看病のしかたを見よう見まねでやり、成功したのも含めるっぽい。
そしてローラも帝国もフォーリスと似たような死亡者数ですよ? と言い、更には帝国は第二皇子夫妻が死亡したらしいことを教えてくれた。
……え、ちょっと待って? 帝国の王族が死んだの?
家督争いとか平気なの? えぇっ!? 俺、帝国に狙われてんの? んでもってつまりヨハンが遠回しにいってることを想定すると俺、絶滅危惧種ってこと?
レッドデータⅡ類に表記されちゃうの? ──冗談だけども。
な、なるほど。ルルはルカを守るため隠れ蓑でもあるわけね?
でも変装したところでルカの存在を間者の人が確認してなければ──バレバレじゃね?
でもルカは亡くなりましたと言ったら俺はずっとルルのまま。
それはさすがに嫌だ。
「うーん、地下牢が大盛況ってことはこの城に各国の間者の言うかスパイ的なのは確認されてるってことだよね? 特に帝国?」
「えぇ、そうですね」
「なら尚更ルカの姿は必要なんじゃないの?」
まさかの二人からも却下された。
ぷっく~と頬を膨らませているとローラに宥められ、ヨハンに宥められ、何故かパパの執務室の前にやって来ていた。
王子希望のアンリ達のところに連れて行ってくれると思ったのに酷いや。
ノックをして返事がないままヨハンたちは部屋に乗り込んだ。
──え、俺にはマナーを守れと言うくせにこの行動……。
矛盾してないか? 俺を叱るとか普通に考えたら出来なくね?
そんなことをヨハンの腕の中で思っていたらパパが机に突っ伏してだらけてた。
あー、なんか察した。これ、日常のヒトコマ……ってことなのかな。
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