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第9章 いつもより羽目を外した気がするの
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しおりを挟むあれ? そう言えばママはどこに行った?
あの巨た──ふくよかな体型の女性が見当たらない。
キョロキョロしているとゼツさんとシエロさんが側にやって来た。
「ルカぴょん、どうしたの?」
「シエロさん。あのね? ママはどうしたの? いつもならまだ床に座って嘆いてるはずだよね? 邪魔だから運び出したの?」
そう言うと部屋は静かになってしまった。
あ、そもそもな話、俺の言い方を間違えた。
本音がつい口から出てしまった。いけない、いけない。
なので「つい本音が口から出ちゃいました」と素直に謝ると更に部屋は静かになってしまったと言う悪循環。
……で、俺の着替え中に何かあったの? ……でしか?
なんとか誤魔化そうという気持ちもあり、恐る恐る聞くとパパがため息をつき、全員が苦笑いをしていた。
誤魔化せなかったけど、追及は無しにしてもらえそうだ。
そしてパパやゼツさん。シエロさんに侯爵達は話しづらそうだったので隠れて笑っていたお父さんに聞くと、俺達が出ていってからしばらくしてスイッチが切り替わったのか我に返ったママが自分の体のあちらこちらを触り、触りまくり、重い体に絶句し、窓に映る自分に発狂し、モニカを何度も何度も連呼し、侍女数人をつれて出ていったそうだ。
お父さんとしては初めて見るその機敏な動きに心のなかで拍手したと言っていたことから覚醒したと思われる。
「おおっ! ってことはだよ? ママ、ダイエットするってよ。最終章? 突入したの? クランクインしたの?」
ボソッと呟くと「今回は自主的にダイエットするからそのタイトルは正解か……」と兄に言われ、姉も静かに頷いた。
超大作だったママ、ダイエットもついに最終章を迎えたかぁ!
でもなぁ、個人的にはママの実家の方の家族を呼んでの一悶着を見てみたかったような……。
やる気を出した今、呼ぶことは叶わないので残念に思う。
「あ、そうだ。本にしたら売れるかなぁ……。タイトルは『呪いで怠惰になった私が全てを取り戻すまで』……とかどうだろう?」
「個人的には読んでみたくはあるけど、国全体では識字率が悪いから売れないかなぁ」
マリウスさんが真面目な感じでそう言うと他の大人達は全員失笑していた。
識字率は子供が働かなくても良いくらい豊かじゃないと普及しないからなぁ……。
それもそうかぁ~……と返事をすると兄と姉から「真面目な天然は集まると質が悪い」とかそんな言葉が聞こえた気がした。
何でだろう? 俺を天然の人の中に入れないで欲しいんだけど……。
俺、普通じゃんね? 時々さっきみたいに知らないうちに素直に口を滑らすけど普通じゃん?
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