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第9章 いつもより羽目を外した気がするの

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「え、でもゲームでは……ねぇ、姉?」
「そうよねぇ。バカみたいな金額を請求されて祓えたわよね?」

 俺達の言葉に兄は少し考えてから何故か一人だけ納得していた。
 その後すぐにちゃんと説明をしてくれたけど、なんでもフォーリス公国の教会の話になるのだが金に汚い貴族かぶれが多いらしくて、たぶんお金を相手から奪えるだけ奪って、祓ったと嘘を言って武器すら奪うんじゃないかとの事で思わず「あーりーえーるーぅっ!」と叫んだのは仕方ないと思うんだ。

 まぁ、前にもちらりと説明した気がするけど、ミドリちゃんのような武器が選んだ人だけが鞘から抜けるという俗にいうソウル──いや、スピリットソードと言うのかな?
 とにかく主以外には誰も抜けないからゲームではインテリア雑貨として雑貨屋さんに売られている。
 スピリットソードという響きは個人的には格好いいから好き。
 それに抜く抜けないと言うだけなら本当に格好良い……。
 副作用としてモンスターが全滅しない限りはずっと戦い続ける──というか、気絶や麻痺。
 つまり相手が動けない状態にならない限りは勝手に戦い続けるんだよね。
 ミドリちゃんの場合、鞘から抜いて武器として手に持つだけでオートの戦闘モード。
 最近はミドリちゃんも覚えてくれたらしくて、お手入れの時は鞘から出しても側に誰かいても襲わない。
 そして絶対に俺はやらないと誓うけど、ゲームでは詳細は書かれないが実体験として武器と体が一体となるらしくてどんなに武器を棄てようが山や海、盗みのプロと言った族に取られたとしても寝て起きたら武器が自力で主の枕元に舞い戻っている。
 ゲームではホラーだと思ってたけど実際に武器の主となり、ミドリちゃんが可愛く思えた今では何をされても自力で戻ってくるとかマジで健気だと思うのよ。
 あえてまた言うけど前にもちらりと説明したとおり、ゲームでは本気でミドリちゃんのような武器とサヨナラをしたい時は主人公のホームであるフォーリスの王都の城に次いで大きな教会へと主人公自らの足で行き、力の強い上の人。
 教皇だか教祖だか知らないけどそんな上の方な感じの人に巨額の金を払って呪いを解除してもらう。

 武器とサヨナラしたい。

 ただそれだけの事なのに破産をしてしまうんだよ。
 そっち異世界人が勝手にこの世界に喚び出したのにも関わらず勇者(男主人公)や聖女(女主人公)から大金を容赦なく奪う。
 しかも思い出すだけでも腹が立つから何度も何度も言っちゃうけど前にも説明したようにテンプレのセリフがこれまた腹立つの。

 『そなたを呼び出したのは王族であって我々ではない。よって我らには関係ない。勇者だか聖女だか知らないが勘違いをするな』

 ──とか抜かしやがって、このゲスがっ! ただの守銭奴なだけだろっ!? 金が大好きなんだろ?──て、思ってしまうのは仕方ないの。
 つまりはこう言うことなんだね?




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