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第9章 いつもより羽目を外した気がするの

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「呪いと言うからには呪った人物が必ずいるわけだけど、中には呪ったと言う自覚のない人がいたりするから厄介よね。全くもって面倒だわ」
「アイル、どう言うことですか? 呪うのに自覚がないなんてあり得ませんが……。何かしらの媒体を使って呪うものですよ?」

 うんうん。呪いってそういうものだよね!
 自分の大事にしてたペットを媒体にとか漫画や小説でよく見るもんね。
 でも何かしらの媒体を使った呪いならママ、太るどころかガリガリに痩せて死に近づくんじゃないかと思うんだけど……。
 こんな元気にプクプク……ムチムチ? やっぱりコロコロでいいや。
 とにかくこんな体型にはならないと思うんだ。
 誰もが同じことを思っているようで不思議そうな顔をして姉を見つめていた。

「いやいや、ところがどっこいあり得るんだなぁ~……。分かりやすく言うなら例えば……そう、ねぇ……。兄さんは背が高くて顔も良くて、性格も悪くない。騎士としての腕は一流だし、今は王子だし! 人としてなんかズルい! 憎い! せめてブクブクに太って醜くなれば良いのに! ──はい、これらの怨み嫉みが積み重なれば無自覚な呪いの完成です」

 姉の言葉に全員がそっとママを見たのは仕方ないと思われる。
 俺だってチラリと見ちゃったもん。
 そもそもふと降りてきた嫌な予感って結構当たるもんなんだなぁ~……。
 痩せても少ししたらリバウンドするから変だなとは思ってたんだよね。
 特にお菓子や食事の管理は徹底的にしてて夜は入り口に鍵を付けたくらいだし!
 運動だって少しずつ増やしてるのに数日後にはリバウンドをしてるんだ。
 だから体重の目盛が行ったり来たりという変なことになってたんだよね。
 
 それにしても呪い。呪いかぁ……。

 呪いを払うと言うと日本だと神社とかお寺ってイメージだから、ファンタジー世界となると教会で祓ってもらうのが定番だよね、きっと!
 教会ってそもそもそういうために存在してると思うんだ!

「えーっと呪いを祓うには教会かどこかにいけば良いんだよね? たぶん……」
「ルー。あのな? この世界は教会で日曜日にミサをするとかそんなのは一切なく、特に女性が教会に行くと言うのはその人に何か問題が生じて出家をする時だけだからな?」
「ついでに呪いを祓うなど便利なことは一切してくれませんよ? 金の無駄です。ついでに言えば建国と同時に教会関係者は全員フォーリスへお返ししました。この国にある教会は全て閉鎖中です」

 その言葉を聞いて俺と姉は首をかしげていた。



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