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第9章 いつもより羽目を外した気がするの
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しおりを挟む「だん……陛下? 急にお呼びになってどう────え、えぇ~とですね……。わ、私、大事な用事を思い出しましたので部屋に戻らせていただきますわねっ」
俺の我儘により呼び出されたママは渋々やって来たみたいだが、部屋の中は子供も含めて主要メンバーが勢揃いだったことも関係しているのか、はたまた野生の感なのか……。
とにかく凄く嫌な予感がしたのかもしれない。
逃げようとしました!
年齢はあれだがお嬢様らしく、オホホホと言いながら入ってきたときよりも機敏な動きと言いますか、クルッとターンして来た道を戻ろうとしていた。
俺が作った竹輪の持ち手縄跳びではなく、姉が完璧なものを作り出した現代風の縄跳びを使って痩せはしたが未だにコロコロ──じゃなくて、ふっくらしてらっしゃるその豊満? なボディは本来、コルセットはあまり必要ではない中世よりも文化の進んだ帝政時代のエンパイアドレスに隠されている。
まぁ、前にママがコルセット無しで着てたときにお腹がものすごく出てていたのでちょっとみっともないかなと思ったわけですよ。
コルセットをつけさせてます。
今よりも遥かに綺麗になったママを早く見られるように祈る日々でございます。
でもコルセットをつけさせるところに話を持っていくのが大変だった。
詳細な説明は省くけども……。
とにかくママにそんなにお腹が出てると懐妊していると思われるかもね~……。
でも月日が経つにつれて誰かが思ってることを口にすると思うんだ。
こんな風にさ……と俺は町のおばちゃんをイメージして話した。
『それにしてもなかなか生まれないわねぇ、あの方のお腹の子は……』
『うふふ、あら? もしや、ただお太りになられただけなのではなくて?』
『まぁ! つまりは夫や家族。民全てを騙していると言うことなのかしら! そんな方は王妃にふさわしくないわ!』
『陛下は騙されてしまったのね!? あぁ、なんてお可哀想な陛下』
『そうだ。嘆願、嘆願をしましょう! 悪質な詐欺師は撲滅しなくては!』
『そうね! みんな、声を大にして王へ私たちの意思を届けるのよ!』
なぁ~んて思われるかもしれないよ? なんてことを姉と小芝居をしたらその場に泣き崩れまして、その日からママだけはエンパイアドレスの下にコルセットでギチギチに締め付けている──んだけどまだまだフォルムがコロコロしてましてね。残念感が凄いの。
「サラ、諦めて早くこちらに来なさい。話が進まない」
「うっ……はい──」
ゆったりと歩き出したがどうしても行きたくないらしくてものすごく遅い。
体が拒否してるんですかねぇ……。
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