クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか？

第９章 いつもより羽目を外した気がするの

８

「さっさと言いなさい。──と言うかルカが素直に言えばゼノ君は解放されるんだよ？」

　話を聞けば俺が寝た時間とゼノさんの正座開始の時間はほぼ変わらなそうなんだよね……。
　時計を見つめるとこの城に到着したのがオレンジ色。
　今は黄色だから確実に一時間は経っているわけで……。
　おや、そもそも足のしびれってヒールで治るのか？　それともケ○ル──ホ○ミも回復だったか……。
　キ○リー、キ○ラル、キ○リク、ザ○ハ、シャ○ク？　ブ○ナ、ポイ○ナ、エ○ナ、エ○ナガ……。
　あ、エ○ナか！　てか唱えればいいのか？　いやでも他ゲーだし、このクソゲーとはメーカーも違うから無理か？
　そう言えばこの世界。つまりはロマファンはそんな便利な魔法がそもそもなかったような……いや、あったか……。あったはず？
　主人公のステフリを間違えると聖魔法は一切覚えなかった気がする。
　筋力極振りすると体力が強化される──が残念なことに魔法の一種で一時的に騎士団の団長クラスになれるだけで効果が切れればただの人。
　魔力極振りすると攻撃魔法の効果が強まる──が、例えるなら火の玉が一個のところ二個になるとか、少し大きくなるくらいであまり意味がない。

　うん、やっぱりクソゲーはクソゲーだわ！

　思い出すと腹立たしいからゲームの事を考えないようにしてたけどクソゲーに違いないわ……。
　ステフリはマジでバグなんじゃないかと思いたい。
　あれ？　そう言えばステフリといえばステータスなんてものはあまり頭になかったけども、振り分けポイントってあるのかな。
　ステータスウィンドウをこの世界に来て一回だけ開いたことあるけど、そんなものは一切なかったような……。
　いや待って？　俺、プロフォールのみしか見てなくない？
　よし、時間があったら隅から隅までチェックして振り分けポイントがあったら確実に筋力極振りする！
　そうしたらきっと男らしい体を手に入れられるよね。

　ムッキムキ～っ！ムッキムキ～っ！

　いい！　これは良い！　辞書るに提案せねば！　と思ったら「却下！」「却下ですノヨ！」　却下、却下と脳内で色んな人々から却下された。
　なんか酷くね？　俺、グレン兄さんみたいに男らしい体つきになりたいのに……。
　因みに兄も俺と同じように弱々しい体つきをしてますが体術が使えるぶん、俺より遥かに男らしい体をしてます。
　脱いだら凄い細マッチョって言うんだっけ？
　そう言えばこの世界って肉襦袢──じゃなくてゴリマッチョって見かけないなぁ……。
　いいなぁ、細マッチョ。プニプニ触感の俺の体どうなってんの？

「ルカ、ちゃんと聞いてるかい？」
「くそぉ、グレン兄さんも兄も揃って細身の癖に筋肉質とかなんて羨ましい。僕も頑張って筋肉を──ん？」

　視線を感じて我に返れば全員から可哀想な子を見るような目で見られてました。
　やめてぇ！　可哀想じゃないから！　違うの！　可哀想な子を見るような目で見ちゃいやぁ！

「ルカはそのままでいいんだよ。パパとしてはもう少し太ってくれると安心……」
「そうそう！　ルカくんは痩せすぎだよ！」
「うんうん！　少しふっくらした方が更に可愛いよ」
「可哀想に……。ご飯をあまり与えられていないのならうちの子になるかい？」

　いや、侯爵の子はちょっと……。
　あ、そうでしたそうでした。ゼノさんを助けねば！