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第8章 戻ってきた日常……?

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 くぅきゅるる……。

 お腹が空いたからもう頭を使うことはするなと体が訴えました。
 そのお腹の切実な訴えはゼノさんの耳にも届いたらしく、クスクスと笑いながらも俺をなだめるように良い子良い子と頭を撫でていた。
 まぁ、ここ最近の俺は医者擬きとして頑張っているのだからもっと撫でてくれても良いんだよ?
 むしろもっと褒めて、そしてもっと撫でろ!

「お腹すいたなぁ。よし、殺伐とした戦争の話なんて物騒なものはやめてご飯にしよう。違う話題にしようね! とりあえず現状、優先するのはこの診療所の寝たきりもそれなりに減ってきたし、退院してくれる人が増えると良いんだけどねって事だよね?」

 無関係で遠くの戦争開戦間近ネタより関係者である近場の戦場診療所を何とかしなければ!

 席に着かせたゼノさんの前に簡素ではあるが昼食を出し、一緒に食事をする。
 ゼノさんと一緒に食べるのは彼が報告に行く度にパパに俺がどれくらい食べたかを報告する義務を課せられてるからである。
 そして王族は別として主人と従者が一緒に食べることはしないと言われたものの、一人で食べるのはかなり寂しいし、精神的な苦痛でもあるので一緒に食べるようにお願いした。
 そして本来なら食堂でゆっくり食べたいけども、診療所ここにいる間は本当に何があるかわからないから簡単なものにしてるのよ。
 個人的にはお茶漬けでも良いんだけど、栄養バランスが悪いとパパが飛んできちゃうからね……。
 あと食べ物の臭いがキツくないものね。
 食べたあとにクリーンで綺麗にしたとしても時々嗅覚が鋭い人犬並みっているからね。
 それが原因で吐いちゃったら部屋担当の仕事が増えちゃうから嫌なのよ。
 イコール、俺の仕事も増えるってことだし!

「あ、そう言えばミリアムも言ってると思うけど、部屋干しの洗濯室が物凄く好評みたいだぞ? 天気が悪くてもよく乾くってさ……」
「そう……。前にゼツさんに貰ったたくさんの魔石が役に立ったね~♪」

 洗濯したシーツやマスクをドライで乾かしてもいいんだけどさ? 患者が多いから量が多いし、その分の魔力が減ったことで感染するかもしれないのはちょっと嫌だ。
 あと除菌のクリーンは俺しか出来ないだろうから煮沸消毒後に干した状態にしてくれるとこちらとしても助かるんだよね。
 でもさ、あの貰った魔石をどうしたらいいのよ。
 そもそもケースで貰ったまま、手付かずで大量にあるんですけど? 複製したら無限だよ? 複製をしないにしてもどうやったら無くなるのよ、アレ!

 ゼノさんとの食事を終え、二人でお茶を飲んでゆっくりしているとドアをノックされて侍女さんに「急患です!」と言われた。
 傍にいたゼノさんと急いで行くとそこに居たのはテオドールさんとマリウスさんのお兄さん。
 つまりは現ガルシア伯じゃなくて、えーっと侯爵でした。

 ──マジか……。医者擬きが対処するには大物過ぎやしないか?




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