336 / 475
第8章 戻ってきた日常……?
32
しおりを挟む「ルカです。お呼びになられ──あぁ、パパ。呼んだ?」
養父とはいえど王さま(予定)のいる部屋だからね。
丁寧な言葉を使って中に入れば、部屋には要人は一人もいなかった。
なんだ、猫かぶりは損したな──なんて思いつつも普段のように話すとソファーに座らされ、出されたお茶を飲んだ。
「まぁ、話と言うのはね……」
「あ! もしかして新しい町の進み具合の報告かなにかですか? 雪もちらついてるし気になってたんです」
ニコッと笑うとパパと側にいたヨハンやローラ達筆頭に王都にいた使用人達に俺と一緒に来たゼノさんは苦笑いしていた。
部屋にはそれ以外にもたくさんの人がいるのだから無視してやるなよ……と言う意味かな?
まぁ、気になんてかけてあげませんけどねっ!
「それで、お話ってなんですか? 僕、春までにアンリ達にして欲しいことが山積みなんですけど──」
その言葉にパパは本気でドン引いていた。
まぁ、この部屋には騎士は居ないものの厨房の料理人に侍女といった使用人全てが押し寄せている。
仮にも王さまになる人に対してやることじゃないと思うのは俺だけなのか?
「ルカの依怙贔屓が過ぎるんじゃないかと言う訴えが多数上がっていてね」
「依怙贔屓? はて、どんなものでしょう?」
僕、わからないや~と笑っていると更にパパが引いていた。
「わかってるような顔をしてるくせに一から説明しないといけないのかな……?」
使用人と俺の間に立たされたパパの気持ちはわかりますけどね、ちょっと優しすぎやしませんかね。
使用人とは家族ぐるみといえどもコレから国家になるんだよ?
そんなことを思いつつも苦し紛れに言ったパパにヨハンがいたたまれなくなったのかわ手元にあった陳情書なのかな? 紙を見ながら苦情を淡々と読み上げた。
・部屋にローラとミリアム以外の侍女を入れない。
・アンリとユリアンが仕事をしないのはルカ様のせい。
・王都から帰ってきた者達との接し方の違い。
等々まだまだ罪状らしきものを読み上げるヨハンに少し同情した。
「……で? それが依怙贔屓ですか?」
「ルカ様、ちゃんと聞いてたんですか!?」
と、冒頭に戻るわけですが、俺がパパに依怙贔屓なの? と聞くと大勢だからなのか気が強くなったらしく誰かが「グレン坊っちゃんが優しいからって馬の骨がつけあがってんじゃねぇよ!」的なことをいったら流石にパパがキレました。
今言ったの誰だ! と今度は犯人探し。賑やかだなぁ……。
「ゼノさん。僕、馬の骨だって~♪」
ケラケラと笑っていると彼はため息をついた。
13
お気に入りに追加
3,566
あなたにおすすめの小説
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

どこにでもある話と思ったら、まさか?
きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)
エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。
魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。
若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。
*以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。
お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。
なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。
こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる