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第8章 戻ってきた日常……?
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しおりを挟む半月後。
「……さてと、ウォール」
俺は授業が終わるまでは部屋のドアの前に壁を作ることをパパに義務付かせられたので律儀に守り、授業をするのだが「いい加減に諦めなさい!」「イヤァ~っ! ルカちゃーん!!」と言う声と同時にダムダムと土魔法の壁を叩かれ、更にソレを叱る兄さんや兄の声が最近の授業中のBGMとなりつつある。
建国まで時間もそんなにないんだから真面目にママもやれよ。
しかも建国するだけなら今日にだって簡単に出来るんだよ?
強いて言えば王子としてこの世界での常識を詰め込む作業とママが王妃としてまずは恥ずかしくない程度に痩せるの待ちなんだよ?
コルセットでギューギューに恐ろしく絞っても俺三人分ってどんだけ!
「ミリアム、ママは痩せてきたの?」
「若干ですが引き締まったように思います。グレン様、ヤト様の運動の指導と母とモニカさんのエステ。ジュリ様とアイル様のストレッチという体操と……。実は夜、希望者のみですが女全員集まって一緒にストレッチというものをしてるのです。夜、よく眠れるようになりました。私はお二方に感謝しかないですね!」
「なんかちょっとママのその生活は羨ましいね。……そか、じゃぁ、僕も勉強を更に頑張らないとねぇ。僕にこの世界の常識を全て詰め込むのを待って、建国を先伸ばしにするとかホントに恥ずかしくて嫌だもの」
そう言うとミリアムはクスクス笑って「あとで奥様にルカ様が建国出来ないのは自分の授業の進みが遅いせいだと思われたくないから更に頑張るって言ってましたと伝えますね?」とママに伝えてとは言わなかったのに正確に伝わるとか逆にミリアムがすごくね?
「ではルカ様、奥様に負けないように今日の授業を始めましょうか」
テオさんは愉しげに笑うといつもより厳しく進められたのは言うまでもない。
◆
「うぅ……。ダンスなんか踊れなくたって良いじゃねぇかぁ……。世の中にはダンスの苦手な王子さまだっているんだよ。……たぶん……」
とサロンでゴネていると問答無用で俵持ちされてミリアムに連れていかれた。
ミリアムがなんか鬼に見えてきた今日この頃です。
「捕まっちゃったのね、ルーちゃん。じゃ、ボクサーもビックリな減量中のママさんに負けないように頑張りましょ……」
目の前にドレス型のワンピースを着た姉がいました。
実はこのダンスの授業は俺と姉の他にお父さんとお母さんもいます。
ダンスは貴族の嗜みデスカラネ……。
人数が多いのでこの時ばかりはゼツさんが奥様を連れてきて、シエロさんもジャンヌさんを連れ、テオさんとマリウスさんも手伝いと言うか指導に来てくれます。
今回はテオさんが私用があるらしく兄が手伝いに来てくれました。
兄は腐っても元王子さまですからね。教育バッチリですよ。
因みに姉は王女になるので俺と同じように常識の詰め込み、そして貴族の女なら当然と言う花嫁修行のようなことをしているのです。
ママの痩せるための指導は多分ストレス発散です。
──てか、何て言うか、歴史やらなんやらと授業開始してからと言うもの、誰も甘やかしてくれないっ!!
「うぅ……甘やかしてくれないからストレス貯まる……」
素直に言葉にしてみたら何気にひどい内容だった。
でもさ、グレン兄さんも、兄も、姉も、お母さんまでママに取られちゃってるんですけどっ!?
「ルー……」
「ルーちゃん……」
はっ! しかも独り言だったのに見事に聞かれてしまった。
「よし、ルー! 最近は甘やかしてなかったし、今日のダンス頑張ったら久し振りに夜、俺と一緒に寝よっか」
「っ!」
よし、頑張ろう! 兄と一緒に寝るの久し振りだぁ!
俄然やる気が出たので俺は苦手なダンスを頑張ることにした。
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