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第7章 ○○ストーリーは突然に

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 その口を塞いでいる間、中で何があったかザックリと兄が話をするとお母さんとお父さん。姉は徐にため息をついてグレン兄さんの頭やら肩をポンポンと優しく叩いていた。
 そして三人の口から出てくる言葉は「はい、説得失敗。ドンマァーイ(姉)」とか「まだまだルーちゃんのリードは預けられねぇな(母)」とか「でも逆効果ってのは学習したんだし?(父)」といったものが聞こえる。

 ねぇ、お母さん。
 そのリードはエスコートとか、社交ダンスの男性みたいなリード(lead)であって、犬の散歩に使う縄のようなやつ。リーシュ(leash)の事じゃないよね?

 そして兄に対しては「軌道修正くらいしてやれよ」と姉が言うなり兄はため息をついて「ルーが興味津々で聞いてた」と言うとお父さんに可哀想な子を見るように俺の頭をヨシヨシと何故か撫でられた。
 あれ? よく解らないけど宥められてるのかな……。

「レン、たぶんそれは撫でるじゃなくてペシッと優しく叩くべきよ?」
「そう思ったんだけど、このままでいて欲しい欲が勝っちゃって……」

 あ、どうやらお父さんに甘やかされてるようだ。

「ねぇ、ねぇ? それでどうしたらいいの? 椅子と餌とマサカルド」
『………………椅子……』

 あ、言い間違えた。えっと、前伯爵だっけ?
 俺が言い間違えたのに気付いたのかゼツさんは笑いだし、それ以外はどうしたものかと言う表情だった。
 前伯爵という本人を目の前にして中身は違えども彼のようにお腹を抱えて笑うという事は出来なかったようだ。
 …………あっ! そうだ、そうだよ! モノは試しだよね!
 お父さん達のスキルとやらを駆使してやってみるだけやってみよう。
 それが挑戦。チャレンジ、チャレンジ精神というものだよね。
 ならそれなりの理由を言って隔離しちゃおう!
 俺って頭よくなぁ~い?

 んでもって、俺もスキル欲し~い!

「あ、そうだ! お腹もすいたし、とりあえずご飯食べてから考えようよ……。でもその前に壊れたものとか掃除しないとだし? その間、何かあったら困るから俺と兄と姉、お父さんとお母さんがマサカルドと餌をどっかの部屋で見張ってるよ! 聖属性しかいなければ悪さも出来ないよね!」
「うーん? だったらあの角地はかなり綺麗だからそこに壁を作って待ってましょ? 全員で一時間もあれば綺麗に片付けはきっと終わるでしょ」

 姉が兄の脇を小突くと兄は土魔法のプレハブ小屋……嘘です。
 窓も何もない、いつもの箱を作ってました。
 玄関らしき開いてる所に向かってお父さんは椅子──じゃなくてお爺さんを、お母さんは餌を軽々と引き摺って歩き出した。
 そして兄によって穴が塞がれ、閉まっているのを確認すると間髪入れずに各々「で?」と切り出した。




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