クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか?

けいき

文字の大きさ
上 下
299 / 475
第7章 ○○ストーリーは突然に

40

しおりを挟む

 グレン兄さんはそりゃ詳細に話してくれましたよ。
 水属性が判明するまでの友人達の話や周りの大人達の話。
 判明したときの手のひら返し的な話も詳細にね。
 マジであの国滅びないかな……。
 水属性を軽視はまぁ、良いけどさ……。蔑視してる人間はマジで死ねばイイのに──。

「──そして王城でパーティがあったので私は幼いですが父上に連れられて私の従者でもあったのでゼノとアンディ……。えーっと、ゼノとアンドレアの二人も連れて参加したんですよ。本来、子供は参加できないのですが、特例といったルールもそこにありましてね。それで私も参加をしたのですが……」

 へぇ、ヨハンが前に言ってたけど本来の社交界と言うのは大人の世界で、成人した子息子女はまず自分の家でお披露目パーティをしてから日本で言う成人式のようなデビュタントという舞踏会が行われるって言ってたけど……。
 あ、子供の時は銭湯で異性の方に入れるとかそう言うノリなのかな!
 ちょっと大人の階段上る的な? うんうん、それなら数回程度ならアリかもしんないよね!

「私もつい最近教えられたのですが、父上がパーティーの後、殿下に会うたびに水属性だからと嘆くことはないとそう言われたそうです。確かに思い返せば初めて参加したパーティの最後に差し掛かる頃ですかねぇ……。母上が無理に食べさせた料理で今にも泣きそうな殿下のお願いによりこっそり魔法で水を出すと彼は毒味もさせずに躊躇なく飲み干したんです。魔法で出した水は美味しくなんてないのにね……」

 というかさ? 水を軽視というか蔑視してたお国柄なのに飲むから水をくれ~って随分とご都合主義やしないか? そんな思いが見えたのかグレン兄さんは俺の頭をそっと撫でてくれた。
 撫でている間、なんというか寂しそうな、嬉しそうな、それはそれはなんとも複雑な心境なのかそんな顔をしながらもグレン兄さんは話を続けた。
 なんでもあのパーティ以降、参加することはなかったので殿下(てかどの殿下なの?)と会う機会は全くなく、第四騎士団に入ってからはちょこちょことすれ違う程度だが話をするようになったそうだ。
 まぁ、話とは言っても「おはよう」とかの挨拶程度らしくて、でもいつもやる気の無さそうな殿下が無気力なままニコリと笑うと必ず「今日のグレンは○○の場所へ向かいながら目的地に行くと良いことあるよ」と言ってくれるそうだ。
 なんと言うべきなのか無気力な感じは誰かを思わせるもののハッキリ言わないのでとりあえず話を聞くことにした。
 遠回りにはなるらしいのだが殿下の言うことを無下にも出来ず共の者とそちらへ向かいながら歩くとあのゲスな王との遭遇も、嫌みな第三騎士団の団員(おっと、ここにも敵はいたのか……)にも出会わなかったそうな……。
 他人からしたら特別良いことには遭遇しないらしいけれど、この小さな小さな良いことはグレン兄さんにとって救いでもあったみたいでよかったと思った。




しおりを挟む
感想 410

あなたにおすすめの小説

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

どこにでもある話と思ったら、まさか?

きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】記憶を失くした旦那さま

山葵
恋愛
副騎士団長として働く旦那さまが部下を庇い頭を打ってしまう。 目が覚めた時には、私との結婚生活も全て忘れていた。 彼は愛しているのはリターナだと言った。 そんな時、離縁したリターナさんが戻って来たと知らせが来る…。

処理中です...