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第7章 ○○ストーリーは突然に
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しおりを挟むグレン兄さんはそりゃ詳細に話してくれましたよ。
水属性が判明するまでの友人達の話や周りの大人達の話。
判明したときの手のひら返し的な話も詳細にね。
マジであの国滅びないかな……。
水属性を軽視はまぁ、良いけどさ……。蔑視してる人間はマジで死ねばイイのに──。
「──そして王城でパーティがあったので私は幼いですが父上に連れられて私の従者でもあったのでゼノとアンディ……。えーっと、ゼノとアンドレアの二人も連れて参加したんですよ。本来、子供は参加できないのですが、特例といったルールもそこにありましてね。それで私も参加をしたのですが……」
へぇ、ヨハンが前に言ってたけど本来の社交界と言うのは大人の世界で、成人した子息子女はまず自分の家でお披露目パーティをしてから日本で言う成人式のようなデビュタントという舞踏会が行われるって言ってたけど……。
あ、子供の時は銭湯で異性の方に入れるとかそう言うノリなのかな!
ちょっと大人の階段上る的な? うんうん、それなら数回程度ならアリかもしんないよね!
「私もつい最近教えられたのですが、父上がパーティーの後、殿下に会うたびに水属性だからと嘆くことはないとそう言われたそうです。確かに思い返せば初めて参加したパーティの最後に差し掛かる頃ですかねぇ……。母上が無理に食べさせた料理で今にも泣きそうな殿下のお願いによりこっそり魔法で水を出すと彼は毒味もさせずに躊躇なく飲み干したんです。魔法で出した水は美味しくなんてないのにね……」
というかさ? 水を軽視というか蔑視してたお国柄なのに飲むから水をくれ~って随分とご都合主義やしないか? そんな思いが見えたのかグレン兄さんは俺の頭をそっと撫でてくれた。
撫でている間、なんというか寂しそうな、嬉しそうな、それはそれはなんとも複雑な心境なのかそんな顔をしながらもグレン兄さんは話を続けた。
なんでもあのパーティ以降、参加することはなかったので殿下(てかどの殿下なの?)と会う機会は全くなく、第四騎士団に入ってからはちょこちょことすれ違う程度だが話をするようになったそうだ。
まぁ、話とは言っても「おはよう」とかの挨拶程度らしくて、でもいつもやる気の無さそうな殿下が無気力なままニコリと笑うと必ず「今日のグレンは○○の場所へ向かいながら目的地に行くと良いことあるよ」と言ってくれるそうだ。
なんと言うべきなのか無気力な感じは誰かを思わせるもののハッキリ言わないのでとりあえず話を聞くことにした。
遠回りにはなるらしいのだが殿下の言うことを無下にも出来ず共の者とそちらへ向かいながら歩くとあのゲスな王との遭遇も、嫌みな第三騎士団の団員(おっと、ここにも敵はいたのか……)にも出会わなかったそうな……。
他人からしたら特別良いことには遭遇しないらしいけれど、この小さな小さな良いことはグレン兄さんにとって救いでもあったみたいでよかったと思った。
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