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第7章 ○○ストーリーは突然に

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 餌……。……え、餌? うーんと……。餌ってなんだっけ?
 少し首をかしげていると兄や姉、グレン兄さんも含めて餌を意味しているものを知ってる全員はよくわかっていない俺を見て微笑ましく見つめている。
 なんだかその微笑ましく見つめてるつもりなんだろうけど、俺からしたら可哀想な子を見る様な目がすっごく、居心地が悪いのっ!
 そう思った次の瞬間、餌云々を思い出した俺はやっぱりアホの子認定されてそうだなと思ったのは仕方ないのかもしれない──。

「あ、あぁ! はいはい。『餌』ね。なんだぁ、この人はお父さん達の方に行くと思ってたぁ~っ!」

 何て言えば姉はクスクスと笑っていた。

「ルカ君は本当に可愛いなぁ」

 と、マリウスさんの声がしたのでパッと振り向くとピンクの髪に水色の瞳の柔らかい雰囲気の男性がいた。
 質の良い生地でグレン兄さん達みたいに動きやすそうな騎士っぽい服装。
 偉ぶってる貴族の華美なだけのジャケットではない所謂制服のようなキリッとしていて、でも機能性が良さそうな服装だった。
 しかも腰には片手剣があった所を見ると兄と姉の護衛みたいなものなのかな?
 俺で言うグレン兄さん、パパ、ゼツさん過保護な保護者のように……。
 マリウスさぁ~ん! と突進すると抱きつく寸前で軽々と抱っこされた。
 パンチの練習をさせてくれなかったので残念に思っていると姉が側に来て俺をジーっと見ていた。
 あれ? 姉の目が少し怒っているような気がする……。

「ルーちゃん、ズルい……。抱っことかうらやま……」
「愛流、諦めろ。ルーは仕方ないだろ?」
「そんなこと、言われなくたってわかってるわよ! うぅ……」

 そんなやり取りを見ていると俺は首をかしげ、マリウスさんは小さく笑った。

「アイル。何度も言いますが、私はもうおじさんですから、ね?」

 その言葉に俺は更に首をかしげた。
 おじさん……。うーん、まぁ、年齢からしたらそうなのかな?
 なにせ兄がマリウスさんの子供ってことは所謂子持ち。
 しかも産んだからママ……と言うか、性格を考慮すればやっぱりパパだしねぇ……。
 ママでもあり、パパでもあるならマミィ+パピィでマピィもしくはパミィで良くないか?
 えっと、男女は男みたいな女だから、マリウスさんは男だし、マピィになるのかな?
 あれ? でも産んだんだからパミィ? え、複雑化した!
 よ、よし、忘れよう♪ うんうん、それがいい!

「ねぇ、兄? もしかして、姉はマリウスさんを狙ってるの? ラブ? ライク? どっち?」

 と素朴な疑問を投げると姉は顔を真っ赤にして照れ、兄は苦笑いしていた。

「ふむ、なるほど……」

 姉はマリウスさんに対してLOVEと書く好きの方なんですね?
 そしてマリウスさんの台詞から察するに姉と付き合うには年の差ありすぎってことなのかな?
 えー? 芸能人は娘とか孫みたいなのと結婚してる人いるじゃん!
 ……って事は、マリウスさんが若返れば王様にも宰相にも敵と呼ばれるメンツにバレないってことになるんじゃないか?
 ジーっとマリウスさんを見ていると兄は何かやらかすと思ったのか俺を凝視していた。




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