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第7章 ○○ストーリーは突然に

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 お、男の娘……。

 この世界で再び目にす──再び耳にするとは思わなかったなぁ……。
 あ、でもこれは文字だから耳ではなく目で良いのかも? なんて目の前に突きつけられた単語を見なかったことにしたいのは仕方ない。

 とにかく文字から感じる熱量から察するに姉になんかおっそろしく誤解されたみたいで、いいわけというか理由を書き綴ったりと少しやり取りをした後に兄に王都で作ったのを更に良くするために湖畔の家でせっせと作ったフェルトの腰巻きでも巻かせとけば? と言われてそんなものもあったなぁ~……と思い出した。
 そういえば試作品は嫌がるトーマスを犠牲にしたんだっけ……。

「おぉ、腰巻き。そんなものもあったね!」

 ガサゴソと既に過去の産物へと追いやった物を取り出すと結構出てきた。
 あはは、しかも別居が解消もしくは生活がそれなりに落ち着いたらミリアム達にあげようと思って多めに複製しといたんだっけ……。
 そうそう、このフェルトで靴下もしくは靴とか出来たら良いのにねぇ……。
 まぁ、靴下にしたところでフェルト生地は伸びないから履きづらそうだけども……。
 毛糸は羊毛を紙撚にするというかそんな機械ないと無理だよね……。
 あれ? もしかして糸車で毛糸って出来るのかな……。
 まぁ、出来たとしても俺は自他ともに認める不器用さんだから編めないし必要性を感じない!
 …………俺は! だけどね……。うん……。
 手持ちに肌着と靴下とかはあるけど現代の物だからこの場で出せないのは許してください。

「あぁ、そう言えばあの洞窟内に靴がたくさんあったよ。彼女達のような被害にあった人達の物かなぁ……」

 ゼツさんがお腹の鞄から麻の袋みたいなのを取り出した。
 そうしたら比較的元気そうな女の人の「あの~、すみませ~ん」と言う声が聞こえた。

「あ、もしかして着替えまで終わったのかな……」

 そう言えばさっき、服を置いたときに「とりあえず用意した服を着てねー!」と言ったのを下着が無いことに気をとられていてすっかり忘れてたわ……。
 ゼツさんの持ってる袋の中を見ると結構な数の靴があった。
 しかし無造作に入れられてるけど、ちゃんとペアはあるのだろうか……。
 うーん、謎。でも一時的なものだし、揃ってなくても履ければ良いよね。
 裸足でいるよりは全然マシだよね……。
 そう思ってゼツさんと何故か手を繋いで彼女達の方へいくと俺達二人を見て少し怖がらせてしまったのかビクッと震えてから一ヶ所に集まっていた。

「あー、色んな目に遭って怖がるなって言うのは到底無理な話だから気にしないけど、服の下が少し寒いでしょ? 僕たちが居なくなったら中に身に付けてくれるかな……。一応腰巻きね? 下半身の寒さが少しは改善されると良いんだけど……」

 そう言って俺は自身の体を使って身に付け方を教えると魔法で台を作ってドサリと腰巻きを置いた。
 その間にゼツさんは袋から靴を全て出して、クリーンをかけると神経衰弱のように風の魔法で揃えていた。

 あ、良いなぁ、こんな風に使えるなら風の魔法は万能──。

 自分の手を使わないのに自分の手のように使えるのか……。
 あれ? やっぱり融通が利かないのは火の単独属性の人だけなんじゃね?
 あー、火の属性のみは「役立たず」になってしまいそうだ。
 確かゼノさんは前に兄さんが火って言ってたけど、あとで確認したら風も持ってるみたいだからソレを思い出して思わずホッとしてしまう。
 今のところ単独の火は王都のバカ王子だけだわ……。
 あと身近なところで火の属性はママとミリアムだけど、どうやらミリアムは土と風が少しあるみたいだよ?
 兄さんが割合が1%とからしくて今まで火以外を使ったことないって言ってたけど……。
 でもさ、使ったことないってマジで勿体なくね?
 



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