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第7章 ○○ストーリーは突然に

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「ルカ、本当に大丈夫なのかい? もっと違う場所でも……」

 パパに炭の火入れを頼むとそんなことを言われた。
 ライターあるけどパパがじっと見つめてるから無理だよね。
 だって火の属性の人の尊厳がなくなっちゃう!
 火を出せることが自慢って言う小さな器を破壊することだもんね。
 パパは風があるし、俺のやっちゃったイメージで新たに作ってしまったらしいヒーターとかあるけど──うん、火しか属性ない人のプライドがね……。
 って、話が反れちゃったかぁ……。
 えっと、辞書るさぁ? さっきから何が言いたいのさ……。小言?
 え? とりあえずパパの言葉にそろそろ反応しろ?
 うん、まぁ、確かに? オークのコロニー目の前だもんね。
 オークは殲滅というか、全滅したとは言えど犠牲になった女性達の墓の前。
 しかも俺が大泣きした原因が眠るであろう場所なのだから──。
 違う場所に移動した方が精神衛生上は良いかもしれないよねぇ~……。
 彼女達はきっとグレン兄さんとゼツさんが苦しみから解き放つために殺──ううん、手に掛けているとしてもそれはこの世界のルールなんだと思う。
 それはどんなに苦しくても、悲しくても受け入れなきゃいけないことだと思う。

 だって現代とは違って女性の社会進出なんてものは認められていないし、王や貴族の社会で平民の女性なんて下の下。
 貴族の女性だって自由なんかたぶん無い。家と家を繋ぐために嫁入りし、子供を産めばもう用はないんじゃないかと思ってしまうのは仕方ない。
 ココはそんな世界設定なのだから──。

 なら彼女たちへの供養のためにも美味しい料理をお供えしたいではないか。
 まぁ、オークの焼き肉しか出来ないのは皮肉でしかないけども……。

「パパ、僕は大丈夫だよ。それにね? 苦しんだはずの彼女たちの供養のためにも美味しい料理をお供えしたいの」

 そう言うとギューッと抱き締められた。
 そしてしばらくして──いや、かなりの時間が経過してから解放され、頭を優しく撫でられた。
 たぶん慰められたと言うか宥められたと言うか、パパの中でも割りきれたんだろうと思う。
 ただ、パパが唯一割りきれないのはこの高性能なバーベキューのコンロのみと思われ……。
 それに関しては俺はなにも言えません。
 そして教えろと言われても言えません。

 だって、出した俺自身が本気でわかんないんだもん!

 俺が僕キッチンを取り出して、作業台も取り出し、オークの肉を捌き始めるとパパも手伝ってくれた。
 手際が良いなと思ったけど、パパは貴族と言えど元騎士だから遠征とかの野営でやっているのかもしれない。

 ……あ! ローストポーク? ポーク? ……えと、ローストオーク? 作ってみようかな……。
 いや、角煮? それともチャーシュー? どれも捨てがたいよねっ!?
 うーん、青空焼き肉……じゃなかった。焼き終えてから食べるからバーベキューか……。うんうん、バーベキューだ!
 でも肉だけだとやっぱり味気ないし、スープも作ろうかな!
 この寒空だから体もポカポカするトロリとしたシチュー系!
 コンポタとか? それともカボチャ? 普通にシチュー?
 ビーフシ…………ポー──オークシチュー……とか?
 いやいや、オークの肉ならほぼ豚だし白い方が絶対に美味しいよね!
 よし、残ったら保存できるし、多目に作っちゃおう♪
 新たに地面に竈を作ると寸胴鍋を取り出した。
 ほんとは兄さんに水出してほしいけど、僕キッチンもお水が出る。
 アンドレアさんの家で魔石を交換したばかりだから大量に出るはず。
 玉ねぎと肉は多目にして、炒めてからカットした他の根菜をこれまた多目に入れる。
 そしてお水を大量に入れるとパパがなぜかドン引きしていた。
 どうしたのかと聞いてみればずいぶんと大量だねと……。
 なので余ったら保存しておきたいのと言うと納得された。
 そしてキュキュせんせーに講習してもらいながら無事、色んなものを大量に作り、保険で全てを取り分けてム・ゲンさんに預けた。
 しかも辞書るには食べたかったら複製してと言うと喜んで複製し始めた。
 寸胴鍋が増えてしまうが仕方ない。




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