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第6章 (仮)異世界で開催!超会議(嘘です)!!
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しおりを挟む家族との感動? の再会を経て、カレーの夜食で家族団欒と会議をしてから数日後。
「ルカ君、ちゃんと! しっかり! 絶対に! しがみつくように掴まってるんだよ? 約束できるね?」
「はーい」
と、返事をしたら見送りに来ていた姉と兄が無言で目配せして、そしてなにかを理解したのか互いに頷くと俺の前で背を向けて座っているゼツさんの体と俺の体を一本の縄で離れないように縛ろうとしたのでやめさせた。
落ちないようにって事なんだろうけど、それはなんか酷いと思うの。
そんな思いが顔に滲み出ていたらしく二人にため息を疲れた。
「るーちゃん。この雪もそろそろ降りそうな初冬の時期に単車に乗るとして、そんな薄着で耐えられると思うの?」
単車ってことはバイクってことだよね? だとしたら冷たい風のなかでこの格好じゃ凍えて無理だろうね……。
この世界の防寒着なんてあるわけがないじゃん?
故にレインコートはしっかりと着てますよ! と言うよりも姉がコスプレ衣装を作るようにどっかからもらってきた服(どう見てもシエロさんの昔着ていた服)を改造してくれました。
レインコートのビニールとフェルトを仕込んでくれたお陰様で体はほんのりと暖かいですが、心はとてつもなく寒いです。
そう、強いて言うならば悪魔に魂を売った気分なのです。
だって、だって、シエロさんの昔着ていた服は俗にいう「甘ロリ」なんだよね……。
前回は着てみなよーっていう言葉をガン無視して自分の手持ちの服を着たのに結局は着る羽目になるっていうね……。
「ルー、良いか? 馬の速さってものをまず考えてみろ。体感としては高速道路を防寒着なしでオープンカーで走るようなものだ。お前、馬だからってなめてたら死ぬぞ」
はい。そのご意見はごもっともでございます。
脅された内容の高速道路はわからないだろうが、単語で理解したのだろうか、ゼツさんも同意するように頷いていた。
確かにこの初冬の朝。しかも早朝にオープンカーやバイクでこんな薄着じゃ凍死まっしぐら! 確実に死ぬよねっ!
既に霜が降りてるんだよ? 初冬と言うかすでに冬。
姉の作ってくれた内ポケットには俺の魔法で作ったカイロ(温石)がいくつか入っている。
だから、たぶん凍死はしないと思うんだけども……。
「ヤト君、ルカ君を俺の前に持ってくるよ……。手伝ってくれるかい?」
と言われて俺に有無を言わさず兄に下ろされ、持ち上げられ、ゼツさんに抱えられた。
そしてスポンッとゼツさんの着ているポンチョの中に入れられたのです。
しかもこのポンチョ、モンスターか何かの皮で出来ているのか風が通らず暖かい。
そうか、だからバイク乗ってる人は革ジャンとか着てるのか。
親切にもゼツさんは首もとを緩めてくれたので、そこからニュッと顔を出すと姉と兄が透かさずスマホでパシャパシャっと連写して撮っていた。
お願いします。恥ずかしい姿を撮らないで下さい。しかも連写で──。
ハッキリ言って迷惑です。
「子カンガるーちゃん、可愛い! 可愛すぎる! はぁ、うちの弟はマジ天使だわぁ~っ!」
そして彼女は落ち着きを取り戻したら取り戻したで、俺をじっと凝視していた。
何故だろう。懐かしく感じるのも変な話だが、姉に腐ったような目で見られた気がした──。
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