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第5章 引っ越した報告してないけど、まぁ~いっか。

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 四~五つほど買うと入れてくれる持ち帰りの箱に入れられたソレはサクサクっとした俺の好きなシュークリームのお店のもの。
 一見サンタにも見えなくはない顎ヒゲのパパのイラストで有名なやつ。
 たぶんオーソドックスなカスタードのシュークリームだと思われる。
 なるほどね。あの英単語はおじさんって言うかパパの名前ではなくて顎ヒゲって意味だったのか。へぇ~……。

「…………あれ? なんだかとっても懐かしい顎ヒゲイラストだな」
「今日、解禁されたんだぁ~……」

 えへへ~と笑いながらそう言うとなんだか兄は切なそうな顔をして俺をギュッと抱き締めた。
 え、兄もシュークリームをずっと食べたかったってこと?
 んなわけないか……。
 と、なるとこの切なそうな原因はさっき鳴り響いたスマホだよね?

「兄、どうしたの? さっきのスマホが原因?」
「うん……まぁ、ちょっとな……」

 とりあえず部屋に用意されてたポットやカップなどのセットを使って適当にお茶をいれると、二人で仲良くソファーに座ってシュークリームを食べることにした。
 箱を開けると甘い良い香りがした。そして懐かしく感じた。
 このお店、兄が仕事帰りに寄ってくれないと食べられないんだよね。
 家からなん駅か行かないとお店無かったからね。
 時々、家族で車でお買い物してショッピングモールの中にあったら買ってたけど、なかなか食べられなかったんだよ。
 ………………でも、何て言うのかな。
 また食べられて凄く嬉しいんだけど、兄が俺の墓に供えてくれた気持ちを考えると凄く切ない。
 今日の一個目は兄の気持ちを受け取って大事に食べようーー。

「うまっ! 久し振りに食べたけど、うまっ!」

 ーーなんて思ったのもつかの間、久しぶりのシュークリームに我を忘れそうです。
 あぁ、地球の食べ物の神様。
 この世にシュークリームを作ってくれてありがとうございます。
 そして職人さん。
 美味しいものをさらに美味しく改良してくれてありがとう。

 てか、これを供えてくれてありがとう! 兄、大好き!

「あ、懐かしいな。コレ……」

 兄も久しぶりのシュークリームに笑顔が戻っていた。
 美味しいものはマジで正義!
 俺ではない誰かがなにもないゼロの状態からシュークリームを生み出して、そして作ってくれないかなぁ……。
 シュー生地を膨らませるの難しそうなんだよね。
 実際に姉は失敗して「誰が作るか! んなもん買えばよし!」ってそれ以降はシュークリームに挑戦することはなかったのは覚えております。
 でも、チャレンジして失敗するならコンビニで買った方が安上がりなのも正論と言えば正論。
 個人的な意見を言うならパティシエ、パティシエールを目指してなければ無理して作ることもないかな……とは思うんだ。
 手作りはどんなに不味かったとしても姉が作ってくれたって気持ちが一番嬉しいんだけどね……。




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