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第5章 引っ越した報告してないけど、まぁ~いっか。

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「「マサカルド・タイラーぁ?」」

 ってどこのどなたですか……?
 本気で嫌な感じしかしないんだけど……。

「ーーの、墓というか首塚な?」

 アンドレアさんがそう言うと俺と兄は徐に首をかしげて目の前の三人を見つめていた。

「とりあえずそのーーえっと? マサカルドさん? はさ、なにをした人なの?」
「そうだなぁ、遥か昔は帝国や王国。この国みたいな公国。大きな国ではなくて小さな国。領地と領地で領土争いをしていたんだよ。だからこのランドルフ領地はランドルフ国って思って?」

 ゼノさんのそんな説明のあとゼツさんが詳しい説明をしてくれた。

 マサカルドはこのランドルフの隣の領地の領主と言うか、小さな国の王様の親戚で、マサカルドのお祖父さんがゼツさんやシエロさんみたいにひとつの町を管理というか納めていたらしい。
 簡潔に言えば現代で分かりやすくすると王様が知事で、マサカルドの一族は区長や市長ってところかなぁ……。
 え、ちがう? ごめん、俺もよくわかってない。
 実は暗記必須の歴史の授業が大嫌いというか、苦手なのです。

「えーっと、簡単に纏めたら親族間の揉め事ってことで良いの?」

 兄の言葉に三人はなんとも言えない顔をしていたのでそれも違うらしい。

 事の発端はマサカルドの祖父が仕えていたのかはさておき、主からその場所の管理を任されて妻と息子を連れてやってきた。
 つまりは王様から与えられたと言うよりも派遣されたってことかな? うーん、赴任?

 料理店の暖簾分け……ではないのは確かだよね、うん。 本気で歴史、きらぁーい。

 その当時、彼らの裁量権が大きくてその土地ではやりたい放題。
 祖父は王様に言われた任期を終えてもその場所に居残り、居心地がさぞ良かったのだろうと思っていたら騎士を集めて財力と武力を蓄えていったそうな……。
 そして祖父から息子に代わり、息子が亡くなり孫の代。
 マサカルドの代になったことをきっかけに親族間で領土の奪い合いが始まった。


 ……話を折るけどさ、そもそも王様の土地であって親族とは言えど、タイラーの家の領土じゃなくね?
 そう言ったらゼノさんにゴホンーーと咳だけで最後までちゃんと話を聞けと無言だが言われた気がしたので口を閉ざした。


 この争いの中でマサカルドは父の弟である叔父を殺害。その家族も同様。
 そして当時仕えていた王の座を奪おうと争うようになる。
 まぁ、歴史の資料からハッキリしているのはマサカルドが祖父と同じような派遣されている親族や騎士を攻めて、王が派遣したものに与えた印綬という証明書を奪う行為を続けたということだそうだ。

 ちなみに印綬というのは官職印とそれを身につけるための帯状の組紐らしい。
 うーん、現代の紫綬勲章とかそんな感じなのかなぁ……。違うか(笑)。
 まぁ、とりあえず話を歴史に戻そうかな。

 ゼツさんが言うには、領土争いに勝利した彼はその国の半分以上を制圧。
 王を真似て独自の派遣社員(文官)を任命し、王に対してますます反旗を翻していったそうな……。




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