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第4章 街道は続くよ何処までも

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【ピンポンパンポーン♪ 異世界からお越しのルカ様にお伝えしたい事がございます。起きましたら脳内の辞書るへお声をお掛けくださいませ。本日は晴天なりー、晴天なりぃ……】

 ちがくないか? 最後の、ちがくないか? 晴天なりってちがくないか?
 しかもその放送って大きなショッピングモールで万引きとかあったときに警備の人を呼ぶ隠語じゃなかったっけ? あ、違うか。売り場に来いって放送だっけか? だったらカードを受け取り忘れたとかそんなのか……って、俺はクレジットカード持ってませんが? ボーッとベッドに横たわったまま考えていると兄に顔を覗き込まれた。
 珍しく眉間にシワが寄っていたみたいで、親指の腹で優しく伸ばされた。

「るー、どうした?」
「ねぇ、兄にはさ? ユウ・ゲンみたいに脳内で喋るというか天のお告げ的なナビゲーターみたいのいる?」
「ナビ? いや居ないけど……。ユウ・ゲンとフ・クシャが暇なときは女子トークしてるかな。たぶんルカの言うナビゲーターも兼ねてると思う」

 そんな言葉に俺は首をかしげた。
 ム・ゲンさんとフ・クセイさんの男子トークなんか聞いたことない。

【二人とも研究者タイプだから自分の仕事に没頭しちゃうんだよね。だからルカには俺がサポートについてるの】

 なるほど。確かにフ・クセイさんは物を複製するの大好きだもんなぁ……。
 それで? 辞書る。何かあったの? 声かけろだなんて珍しい。まさかイベントでも起こるとか言わないよね!

【あ、そうでした。そうでした。イベントではなく、ご注文になられたウィッグが出来上がったのでご連絡を致しましたぁ……。お代は俺にチューで良いよ♪】

 …………え、どうやって? 会ったことなくない? チューとか無理じゃね?
 そんなことを脳内で言いまくると辞書るは笑いながら【ツケにしとく】と言って消えた。
 どうやらお仕事の時間らしい。そもそも辞書るはなんの仕事をしてるんでしょうね……。ツケを払う日が来るのかは不明のまま。
 とりあえず俺が持ってても仕方無さそうなので、兄に『殿下ウィッグ』が出来た様だと報告するとすぐに出すように言われた。
 なので早速ム・ゲンさんに頼むとすぐに出してくれました。

 ム・ゲンさん、いつもありがとうございますーー。

 手元にある銀色の見事な人毛。切ってもなお艶は維持しているようだ。
 おぉ、久し振りの中二病な銀髪……失礼しました。
 ウィッグは何とも素晴らしい! 現代と質が変わらず軽量ですね!
 そんなことを思えば兄は俺を抱っこして椅子に座らせるとヘアカット用にアレンジしたレインコートを着せてウィッグを被せた。

「うぅ……。ここでもやるとは思わなかったの……」

 恥ずかしくて涙目のまま少し睨むと兄はクスクス笑って俺にキスをして来た。




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