クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか?

けいき

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第4章 街道は続くよ何処までも

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 ただいま森へやって来ている。
 木こりが入って間引いているのか西の森のように鬱蒼とした感じはなく、どちらかと言えば木漏れ日が入り、仄かな日差しが心地よい。
 剣を振り回しても木には当たりにくいくらいに間引かれている。
 なるほど、騎士などではなく木こりが入れるほどモンスターは弱くなっているのかーー。
 だとしたら西の森が異常だと言うことになるのだが、逆に言えばモンスターが強いから他国からの侵略にも耐えられる。
 いや、一石二鳥と言うところだろうかーー。
 軍隊を率いてこられても恐ろしく強いモンスターが壁として立ち憚る。
 壁とならなくてもモンスターが恐ろしく強いのだから軍隊の規模を小さくしてくれるだろう。

 逆に言えばモンスターが城を襲うことだってあるだろうにーー。

 俺は抜け出したフォーリス魔法公国の周辺を思い出していた。

「ねぇ、パパさん。モンスターが見当たらないんだけどーー」

 現在、ランドルフ領地の入り口である城塞都市オリバーから近くの森へ足を運んでいる。言わずもがな、俺と兄のストレス解消のためである。
 正確に言えばミドリちゃんとヒイロくんのストレス解消のためである。
 ストレスで刃こぼれしちゃいそうなのです。

「やっぱり山の方がいるんじゃないの?」
「ヤト、山はルカがーーね?」

 パパのその言葉に俺は察した。険しい山だから登れないでしょ? そういうことらしい。
 確かに高尾山のようなケーブルカーつきの低山ならともかく、しっかりした登山道などない山を登るのは流石にキツい。
 現代のような登山靴や装備があるわけがないのだからーー。

「これじゃ、ピクニックだなぁ……」
「いい運動ではあるけどね」

 その言葉に俺と兄はオリバーの区長館にいるママを思い出した。
 着いたその日、モニカとローラが「奥様、お疲れでしょう? 風呂へ行きましょう」と連れていき、その後はエステをしまくると言う……。
 お腹回りを念入りに絞り、絞り、絞りまくり、我が家の侍女総出。
 兄の連れてきたガルシアの侍女も総出。オリバーの侍女も総出。
 代わる代わる侍女が交代しまくりエンドレスの肉絞りだったらしく館内はママの悲鳴が響いていた。

 あれを見るというか聞くとトレッドミル、エアロバイク、クロストレーナー、欲しくなっちゃうよねーー。
 ステアクライマーとかアブドミナルにチェストプレス……ジム経営。
 思わずほわぁ~ん……と漫画で言えば柔らかそうな雲の中で少しばかり体が成長して細マッチョになった自分。見た目として男らしいかどうかは別として憧れの細マッチョな自分を思い浮かべた。




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