153 / 475
第4章 街道は続くよ何処までも
23
しおりを挟む「おぉ、サッパリしたわ……。頭もスゲー軽く感じる。さてとクリーンよろ」
「あーい!」
無事バーバーゼノは閉店しました。
何故かパパは嘆いている気がします。
「可愛かったヤトが一瞬にして……」
「美少女から美少年になりましたね……」
「逆に襲われそうだな」
皆好き勝手なことを話し出したので兄も何を思ったかその場で髪を黒に変化させてしまった。
『…………エロッ!』
うん、銀髪だと爽やかさとか可愛い感じだったのに、黒になった瞬間に黒というイメージなのか妖艶さが増えた気がしました。
「おぉ、お父さんを思い出す」
俺だけが兄をジーっと見つめていた。
「あの、ルカさん? もしかしていつぞやのお父様の話はこれよりも酷いのですか?」
「ジェラールさん。だからね? 前にも言った通り、うちのお父さんは歩く公害なんだってば! なにもしてないのに目があったら男はトイレに駆け込んで性処理して、女は気絶とか想像で妊娠しちゃうのよ」
「なんかよくわからんけど俺、そんな父さんみたいにエロくなんかないと思うけど? 何て言うか失礼じゃね?」
兄は散らばった髪を回収して消滅させると俺を軽々と抱っこした。
「ねぇ、兄。パパがフリーズしたよ? どうしよう?」
「うーん、そっとしておこうか……」
改めて兄を見ると見覚えのある姿にホッとする。
あぁ、兄だぁ~……。
「目の色は変わらないんだね」
「目の色も変えられるっぽいけど、金も薄茶もそんな変わらねぇしなぁ~……。髪が黒になって俺としては安心というか落ち着くわ……。なんか銀髪って反射率の高いだけの白髪みたいに感じてなぁ……」
若いのに一気に年を取った気分というか、過度なストレスで色味を失った気分というかーー。まぁ、複雑な気分にさせたらしいよ。
だがしかし! そんなことよりもーー。
「ゼノさーん。オリーブ! オリーブ!」
兄に抱っこされたまま俺がいうとゼノさんに頭をポンポンされた。
「残念ながら今は収穫の時期じゃねぇのよ。実の収穫は秋だ、秋!」
その言葉に「なぁーんだ。つまんないの……」と、一気に俺と兄のやる気が低下したのは仕方ない。
「ところでオリーブにどうして拘るんだ? 実も美味しいってわけじゃないだろ?」
「逆にさ、オリーブはどんな使われ方してんの?」
するとゼツさんとゼノさんがパパを放置して教えてくれました。
なるほど、オリーブの葉っぱをブランデーに漬けてチンキを作るのか……。
皮膚病とかの治療なのかな?
「確かにオリーブの葉っぱは抗菌作用があったな」
「と言うことはお茶にしたら風邪予防に使えるかな?」
「チンキをお湯に溶かして飲めばいいんじゃね?」
「それって子供には辛くない? だってチンキってことはアルコールだよ?」
と誰も割り込むことができないのか延々と続く俺と兄の談義に皆は目を丸くして無言で見つめていた。
「そうだ! 粉茶だ! 粉茶だよ! 兄、石臼だ!」
「あー、なるほど……。石臼ねーー」
「ゼノさん、種類とかなんでもいいからオリーブの葉っぱ多めに頂戴? 今すぐ!」
仕方ないと思ったのかゼノさんは部屋から出ていき、使用人に頼んだのかすぐにザルに山盛りで戻ってきた。
24
お気に入りに追加
3,560
あなたにおすすめの小説
もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!
ありぽん
ファンタジー
[第3回次世代ファンタジーカップエントリー]
特別賞受賞 書籍化決定!!
応援くださった皆様、ありがとうございます!!
望月奏(中学1年生)は、ある日車に撥ねられそうになっていた子犬を庇い、命を落としてしまう。
そして気づけば奏の前には白く輝く玉がふわふわと浮いていて。光り輝く玉は何と神様。
神様によれば、今回奏が死んだのは、神様のせいだったらしく。
そこで奏は神様のお詫びとして、新しい世界で生きることに。
これは自分では規格外ではないと思っている奏が、規格外の力でもふもふ相棒と、
たくさんのもふもふ達と楽しく幸せに暮らす物語。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる