クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか?

けいき

文字の大きさ
上 下
145 / 475
第4章 街道は続くよ何処までも

15

しおりを挟む

「兄さん、この鍋に大量にお湯をいれて?」
「湯ですか? わかりました」

 目の前には炊き出しでも珍しいサイズの寸胴鍋があります。
 兄は踏み台に乗って作業中。
 でも言ったらきっと怒ると思うので言わないけども、髪に引火したら怖いので綺麗なその長い髪はローラやモニカみたいにネットで髪を一纏めにしていてちょっと可愛いのです。

「これぐらいですか?」
「うーん、ここら辺までかな。スープは〆のために多めに残しておきたい」

 トマトリゾット楽しみだなぁ~っ♪
 そうだ、肉を切り終えたら兄の隣でチーズを作ろう!
 いや、その前に肉でもう一品か……。

「るー、鍋にいれる肉を兄さんと焼いてくれるか?」
「らじゃ! ガーリックが必要だよね」

 あの寸胴鍋は兄とグレン兄さんの2人で下ろし、ラーメン屋のように低めの竈をいつのまにか用意した兄は楽しげに味見をしては調整していた。
 俺とグレン兄さんは2人で3回ほど肉を焼いては兄の鍋にいれ、焼いては兄の鍋にいれーーを繰り返した。
 表面に焼き目をつけるだけだから中が生だとか気にしない!

「グレン兄さんに兄? もう一品はどうするの?」
「兄さんに食べたいもの聞けば? トマト鍋は俺が食べたくなったからだし」
「なに食べたい? っていってもわからないかもしれないからどんなのか教えてね?」

 そう言うとグレン兄さんに「ルカたちの家で食べていたものが食べたい」と言われたので兄と顔を見合わせて肉をじぃーっと見つめた。

「るー、しょうが焼き」
「ですよね! 僕もそう思った」

 理由? 簡単だからです。
 タマネギ、ショウガ、そしてポン酢。これが我が家のしょうが焼き!
 ポン酢はキュキュせんせーが教えてくれたので作りましたよ! 自家製です。

 トマト鍋が出来上がると兄は大量のスープだけを〆用なのかいくつかの鍋に取り置いてゼノさんとアンドレアさんを呼ぶと鍋を運ばせた。

 そして焼き上がったしょうが焼きを次々と大皿に盛っていった。
 その作業台の片隅で兄はと言うとしょうが焼きをお昼御飯用のお弁当として作っていた。

「兄さん、大盛りの肉ってこのくらいで足りる?」
「個人的にはもう少し欲しいですかね」

 兄と俺の食べない量なので食べそうな人に聞く辺り兄はかなりの面倒くさがりと思われる。

「よっしゃ! 終わり~っ♪ あとは〆だけだね!」
「んじゃ、ゼノさんとアンドレアさん。重いからよろしくでーす」
「ヤト、俺らをなんだと……」

 ゼノさんがそういうと兄はニコリと笑いました。
 そしてキッパリと「狩りに行かなかったから体力をもて余した元騎士?」と言うと2人は無言で運んだ。
 いや、その通りだとは思うけど……。容赦ないね、兄……。




しおりを挟む
感想 410

あなたにおすすめの小説

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

どこにでもある話と思ったら、まさか?

きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】記憶を失くした旦那さま

山葵
恋愛
副騎士団長として働く旦那さまが部下を庇い頭を打ってしまう。 目が覚めた時には、私との結婚生活も全て忘れていた。 彼は愛しているのはリターナだと言った。 そんな時、離縁したリターナさんが戻って来たと知らせが来る…。

処理中です...