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第4章 街道は続くよ何処までも
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しおりを挟む「兄さん、この鍋に大量にお湯をいれて?」
「湯ですか? わかりました」
目の前には炊き出しでも珍しいサイズの寸胴鍋があります。
兄は踏み台に乗って作業中。
でも言ったらきっと怒ると思うので言わないけども、髪に引火したら怖いので綺麗なその長い髪はローラやモニカみたいにネットで髪を一纏めにしていてちょっと可愛いのです。
「これぐらいですか?」
「うーん、ここら辺までかな。スープは〆のために多めに残しておきたい」
トマトリゾット楽しみだなぁ~っ♪
そうだ、肉を切り終えたら兄の隣でチーズを作ろう!
いや、その前に肉でもう一品か……。
「るー、鍋にいれる肉を兄さんと焼いてくれるか?」
「らじゃ! ガーリックが必要だよね」
あの寸胴鍋は兄とグレン兄さんの2人で下ろし、ラーメン屋のように低めの竈をいつのまにか用意した兄は楽しげに味見をしては調整していた。
俺とグレン兄さんは2人で3回ほど肉を焼いては兄の鍋にいれ、焼いては兄の鍋にいれーーを繰り返した。
表面に焼き目をつけるだけだから中が生だとか気にしない!
「グレン兄さんに兄? もう一品はどうするの?」
「兄さんに食べたいもの聞けば? トマト鍋は俺が食べたくなったからだし」
「なに食べたい? っていってもわからないかもしれないからどんなのか教えてね?」
そう言うとグレン兄さんに「ルカたちの家で食べていたものが食べたい」と言われたので兄と顔を見合わせて肉をじぃーっと見つめた。
「るー、しょうが焼き」
「ですよね! 僕もそう思った」
理由? 簡単だからです。
タマネギ、ショウガ、そしてポン酢。これが我が家のしょうが焼き!
ポン酢はキュキュせんせーが教えてくれたので作りましたよ! 自家製です。
トマト鍋が出来上がると兄は大量のスープだけを〆用なのかいくつかの鍋に取り置いてゼノさんとアンドレアさんを呼ぶと鍋を運ばせた。
そして焼き上がったしょうが焼きを次々と大皿に盛っていった。
その作業台の片隅で兄はと言うとしょうが焼きをお昼御飯用のお弁当として作っていた。
「兄さん、大盛りの肉ってこのくらいで足りる?」
「個人的にはもう少し欲しいですかね」
兄と俺の食べない量なので食べそうな人に聞く辺り兄はかなりの面倒くさがりと思われる。
「よっしゃ! 終わり~っ♪ あとは〆だけだね!」
「んじゃ、ゼノさんとアンドレアさん。重いからよろしくでーす」
「ヤト、俺らをなんだと……」
ゼノさんがそういうと兄はニコリと笑いました。
そしてキッパリと「狩りに行かなかったから体力をもて余した元騎士?」と言うと2人は無言で運んだ。
いや、その通りだとは思うけど……。容赦ないね、兄……。
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