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第3章 事前の準備は必須です

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 兄に奥の部屋を頼むと、俺は馬とこの空間、野原などにクリーンをかけた。
 毒素を持つ変な虫がいたら嫌だし、馬が病気になるのも嫌だし……。
 そして馬達にヒールをかけてあげるとグレン兄さんが隣の部屋から慌てたようにやって来た。

「ルカ、すみませんが壁に一頭ずつの水入れを作ってあげてくれますか?」
「え、水入れないのっ!?」
「ヤトがうっかり忘れたそうです。作った先から私が水を入れますね」

 面倒なので壁に一直線に繋がる水入れを用意したよ。
 しかも深めにしたからすぐにはなくならないと思う。
 とりあえずエサも一頭ずつのぶら下げたし……あとはーー。

「うーん、ブラッシングとかした方がいいのかな……」
「クリーンで綺麗にしてあげましたけどねぇ……」
「ねぇ、グレン兄さん。ここの馬は一応飼い主って言って良いのかわからないけど相手がいるんだよね……」

 なので全員呼んでもらって一人ずつ見た目はとても美味しそうなクッキーを1枚ずつ渡した。

「馬さんの機嫌を保つのに作ったのでご褒美にあげてくださいね。人が食べても平気だけどたぶん美味しくないと思う」

 その言葉に皆は素直に愛馬にあげていた。
 馬は素直だもんね! 塩分もどこかで補給させないとなぁ……。
 うーん、素人な俺にはおやつを作るしか出来ないからなぁ……。
 ここはプロに任せるか……。

 馬との戯れもしくは甘やかしが終わって隣の部屋に行くと兄がベッドの設営を終えていました。
 実は兄には別行動するので馬のクッキーはすでに渡してある。
 なのでこの家に入れてからすぐにクッキーとブラッシングをしたらしいのだ。
 そういうところは抜かりないのが兄だよね。

「お、2人ともお疲れ~……」
「グレン兄さん。鍋に熱いお湯をお願いしていい?」

 俺は大きな寸胴鍋を出すとカモミールを大量に投下した。

「寝る前にハーブティーで少し落ち着きましょ」

 その言葉に兄がテーブルを出してカップも出すとヨハンが綺麗に並べ始めた。
 鍋にミニキッチンで作っておいたホットミルクを投入し、蜂蜜も投入すると女性が目をキラキラさせていた。

 ……何杯飲むつもりなんだろう……。

 一人2杯くらいを想定して更に余分に作ったけど……。
 お腹痛いとか言っても知らない!
 今日から自己責任でお願いします!

「ママ、ミリアムも、自分の体と相談して飲んでね? 自己管理、大事だよ?」

 にっこりとかわいい笑顔をしたつもりなのに何故か青い顔をされました。
 ……妖怪・ラスク食いのくせに!

「ねぇ、ルカちゃん」
「これから寝るのに食べる気ですか? あー、でも今すぐ太りたいなら仕方ないかなぁ……」
「太っ!?」
「当たり前じゃないですか。寝る前に食べたら誰もが太りますよ」

 その言葉に兄も無言で頷き、更にママ達はショックを受けた。

「水分なら平気?」
「取りすぎなければ。体の代謝が悪いと朝、浮腫みます」
「むくっ!?」

 えー? 常識じゃね? 本当に寝る前だと言うのに何杯飲もうとしてたの?




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