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第3章 事前の準備は必須です
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しおりを挟む兄の話によると一年に一回。もしくは誰かしらが墓参りに来ると荷物が届くそうだ。
出してもらうとそのお供え物? らしきものに俺は首をかしげた。
「ねぇ、兄? この薄い本の山は姉なのかな? 表紙になんというか男同士の肌露出が多いけど……」
「そうだな。何故か夏と冬に多めに届くな。アイツが描いたヤツの売れ残りと、買ったヤツだろうなぁ……」
「えーっと兄? なんか医療の専門的な本がたくさんだね。伯父さんとじーちゃんかな」
うちの親類はその場で手元にあるものを供える癖でもあるのだろうか……。
「あ、お父さんのお気に入りのビールとおつまみ、缶詰だ! あ、お母さん……。性懲りもなくクルミとかドライフルーツとか色々買ってるんだ……てか、お中元とかお歳暮とか届けに行く途中なの? 何これ……てか、実写のエロ本も多くない?」
「それはたぶん俺のダチか仕事場の先輩じゃないかな……」
……いいなぁ……俺、お供えしてもらえてるのかな……。
「と、言うわけでこの父さんの缶詰コレクション使うぞ」
鯖みそ缶、鰯の蒲焼き、サンマの蒲焼き、焼鳥、その他有名なちょっとお高いおつまみ缶詰と色々ーー。
これ、お父さんはお墓で兄と晩酌してたのでは……。
俺もあと3年経てばお父さんと兄と一緒にお酒飲めたのかなーー。
あ、想像したら泣けてくる……。
「るー? どうした?」
気づけばボロボロと涙をこぼしていて、兄はギュッと抱き締めてくれた。
「会いたいよぅ……」
「ん、そうだな……。るーはここに来て時間があまり経ってないし、末っ子だし、甘えん坊だもんな……」
「ふぇーん、お父さんたちに会いたいよぉ~……」
わんわん泣き出した俺を宥めるために時間を費やし、あまり料理はできませんでした。
◆
出発当日の朝、家はバタバタしていた。
俺は朝から各部屋をヨハンと歩き、家具を収納。
兄はパパとトーマスと3人で庭を歩きながら持っていく木々を選んでいる。
ローラ達女性たちは家の中の絨毯を剥がしてくるくる巻いていて、男達はその巻いたものをホールにまとめていた。
グレン兄さん達はジェラールさんと4人で街へ散策。
俺が面白いものがあったら買ってきてね! とお願いしたので無ければ買ってこないと思う。
ついでにミニキッチンは後付けなのでそのまま収納しました。
俺がリニューアルしたお風呂も綺麗さっぱりと壊して元のバスタブを置いたよ。
タイルとか置いていくとかするわけないよね! 勿体ないもん!
絨毯を下のホールへ運び終えた部屋から雨戸を閉め、戸締まりをしていき、全てが終わったのは日暮れ前。
皆でこの家での夜ご飯を食べ終えると、それぞれが動きだし、グレン兄さん含めて騎士達は馬を地下へ連れていった。
兄は先に地下へ行き、馬車の荷台を通路へと出していた。
トンネルを抜けるのに3時間くらいと見積もってるから、抜けた先で今日は終わりかな?
人も馬もやっぱりちゃんと寝ないとダメだしね……。
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