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第3章 事前の準備は必須です

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「グレン兄さんはそんなに強いんだぁ……」

 あ、でも確かに西の森に行ったとき、一番後ろを歩いてたよね……。
 たしかこういう隊列の一番後ろを歩く人が危ないんでしょ?
 本来はリーダーが一番後ろを歩くものらしくて、パパが一番後ろを歩くべきってグレン兄さんが言ったんだけど、パパが現役の騎士が後ろの方が反応が早いだろうと……。
 つまりは「グレンが騎士団長としてやっているのかこの際はっきりと見てやるよ」と言う気持ちが隠されていて、グレン兄さんもカチーンと来たらしく、「本当はルカと一緒に歩きたいだけでしょ?」とコレまたパパと同じように遠回しな言い方で静かに喧嘩してました。
 俺もだんだん会話を察するようになってきたなぁ。感慨深いわ……。
 たださ、言えることは身に付けなきゃダメだと言うから頑張ったけど、必要スキルなんですか? コレは……。
 俺、森に入る手前のあの時間だけが凄く怖かったです……。

「……ルカ、グレンのあの優しそうな見た目に騙されるなよ? アイツは幼い頃からハイネ様と嫌って言うほど手合わせをして来てるんだ」
「えーっと、確かグレン兄さんが言うにはパパは西の森のモンスターの1/5なんでしょ?」

 そう言うとゼノさんは顔を真っ青にして首を横に振っていた。
 え、違うの?

「ルカ、お前な? 西の森へ行ったならわかるだろ? 本来なら弱体してるとはいえ、モンスターに囲まれて3人で無事に生還できるわけがないんだぞ?」
「…………うーん、確かに弱体化してたみたいだけど1人で何体も倒してたもんね、パパ達……」
「え、マジか。弱体化していたとはいえ1人で倒してたのかよ……」

 ゼノさんがポカーンとしてます。
 あれ? コレは言ってはいけなかったことなのかな?

 でもパパもグレン兄さんもいつになく楽しそうに殺ってましたよ?

「ゴホン! とりあえずな? そのトーナメントが終わって、いざこざがあったんだ。お前は怒るだろうが、ほらグレンは水属性だから……」

 んで戦っていないヤツが不服を申し立てて兄さんがつまらなそうに「手合わせなら構いませんよ」と直ぐ様叩き潰して、それを見てた団長だった人が「ハンデを与えていたのに思い上がるな」と身に付けていた重りを外したので、兄さんも「だったら私も重りを外しますね」と、団長だった人の倍以上の重りを外して戦意を喪失させたらしい。
 成程、グレン兄さんは中々の黒さですな!

「でも水属性なんかに従いたくないって辞めるヤツが多くてな? だから俺らは同じ年のトーナメント上位のヤツに水属性に偏見のないヤツを募集したの。すぐに埋まったよ。第四騎士団は忙しさから給料だけはこの国一番ってくらい良いからな……」
「つまりはグレン兄さんもゼノさん達もお金持ちってことなの?」
「まぁ、忙しくて買い物とか使う暇がなかったから金だけならあるな」

 あれ? そういえばこの世界には銀行ってないよね……。
 もしかして金は全て手持ち? タンス預金なの?
 そうだ、そんなときはパパに聞こう!




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